えっ、転移失敗!? ……成功? 〜ポンコツ駄女神のおかげで異世界と日本を行き来できるようになったので現代兵器と異世界スキルで気ままに生きようと思います〜
3-1 星川実里 1
星川グループといえば、いまや国内はおろか、海外にまで名をとどろかせる大企業体である。
南の町を拠点とするこの大企業の現総裁・星川文彦こそ、星川実里の父親であった。
ただし、ふたりのあいだに血のつながりはない。
実里の実の父は彼女が幼い頃に事故でなくなっており、しばらくのあいだ実里は母ひとり子ひとりの生活を送っていた。
そんなある日、母と星川文彦との再婚話が持ち上がった。
文彦と実里の両親は幼なじみだった。
小中から高校、大学まで同じで、よく行動をともにしていたらしい。
大学卒業とともに文彦が星川グループの幹部候補として働き始めるにあたって、実里の両親とは疎遠になっていた。
その後、実里の両親が結婚するのとほぼ時期を同じくして、文彦も見合いで妻を娶った。
文彦の妻は、長男・文也を出産後、なにやらいろいろと揉めたすえに離婚し、家を出ていった。
文彦と実里の母はその後同窓会で再会。
焼けぼっくいに火というわけではないが、なにかと意気投合し、再婚することとなった。
そのとき、実里は中学生だった。
星川文彦の息子である文也は優秀な男だった。
容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能で、人好きのする性格から男女問わず人気があった。
そんな優秀なふたつ年下の義理の弟に、実里は襲われた。
彼女が高校に上がったばかりの頃だった。
以降、実里は文也のいいなりとなった。
弟との行為に嫌悪感はなかった。
ただ、それは壁を1枚隔てた向こう側の出来事のようだった。
実里の精神は最初に襲われたとき、すでに壊れていた。
高校卒業後は義弟の指示で近くの短大に通った。
実里の短大卒業と同時に、文也は首都の大学に通うことが決まった。
無論、最高峰の大学である。
もちろん文也は実里を一緒に連れていくつもりだったが、父が星川グループの地元企業への就職を決めてしまったので、実里は南の町に残ることになった。
ただし、義弟から開放されたわけではない。
実里は文也が用意した部屋に住まわされ、常に監視された。
電話やメール、ウェブカメラなどで束縛され、文也はことあるごとに実里の元へ帰ってきては彼女を求めた。
文也は大学に通うようになってから、ろくでもない連中とつき合うようになった。
彼は自分が通っていた大学ではなく、近くの私立大学で身分を偽ってとあるサークルに所属していた。
後年不祥事を起こして問題になるようなサークルだったが、そこを不健全な集団として機能させ始めたのが文也だった。
ある日、文也はサークルの仲間を連れて実里のもとを訪れた。
ああ、自分はいまから多人数を相手にするのだな、と他人事のように実里が考えていると、突然文也が癇癪を起こし、サークル仲間を追い払った。
「ああ、姉さん!! 僕は姉さんを心底愛してると気づいたよ!! 姉さんに僕以外の男が触るなんて耐えられない。もう、仕事も辞めて、僕だけのために生きてよ!!」
そう言って泣きわめく義弟の姿を、実里はただ気持ち悪いと思った。
それからすぐに、実里は仕事を辞めることになった。
「無理をさせてすまなかった……」
なぜか義父は心底申し訳なさそうに実里に頭を下げ、母も随分心配してくれた。
おそらく文也がなにか手を回した結果だろうが、実里にとってはどうでもいいことだった。
それからはほぼ軟禁状態だった。
べつに外出を禁止されているわけではないが、文也が確認したときに部屋にいないと癇癪を起こすようになったので、実里はスマートフォン片手に暇をつぶしながらなくぼんやり過ごすことが多くなった。
転機が訪れたのは文也が大学を卒業してからだった。
学生として優秀だった文也は、社会人としてさらに優秀だった。
学生時代からグループ内のいくつか会社の経営に口を出していたが、文也が関わった会社は例外なく業績を上げていた。
その文也が、本格的にグループの経営に加わることになった。
複数の会社役員を兼任することとなり、学生の頃とは比べものにならないほど忙しくなった。
その結果、実里の様子を窺うことも少なくなった。
文也からの干渉が減って自由な時間が増えたとき、ふと実里は義弟が泣きながら行為におよぶ光景を思い出し、夜の店の扉を叩いた。
それから実里は暇を見つけては出勤した。
義弟の所有物である自分を、名前も知らぬ男で汚すという行為に昏い悦びを覚えた。
ときおり自分の前に現われては狂ったように愛を語る義弟が滑稽《こっけい》で仕方がなく、無意識のうちに笑みが漏れることが増えた。
実里に愛されていると信じて疑わない文也は、義姉の愛がいっそう深まったと勘違いし、いよいよ結婚を考えるようになっていた。
血のつながりはないので、不可能ではないはずである。
最大の障害は実父だが、グループ内で力を見せれば説得できるだろう。
星川グループは新規事業拡大先として中南米に進出することになった。
その旗頭に、文也が立つ。
ここで成果を上げれば実里との結婚にグッと近づけるはずだと、文也は意気込んでいた。
「姉さん……いや、実里。僕はかならず今度の計画で成果を上げ、あなたを迎えにくるからね。しばらく寂しい思いをさせるけど、我慢してほしい」
実里はただ虚ろに微笑むだけだった。
――――――――――
6月には更新再開といっておきながら3ヵ月も遅れてしまって申し訳ありませんでした…!
ひとまず三章終了までは毎日更新しますので、引き続きよろしくお願いします。
南の町を拠点とするこの大企業の現総裁・星川文彦こそ、星川実里の父親であった。
ただし、ふたりのあいだに血のつながりはない。
実里の実の父は彼女が幼い頃に事故でなくなっており、しばらくのあいだ実里は母ひとり子ひとりの生活を送っていた。
そんなある日、母と星川文彦との再婚話が持ち上がった。
文彦と実里の両親は幼なじみだった。
小中から高校、大学まで同じで、よく行動をともにしていたらしい。
大学卒業とともに文彦が星川グループの幹部候補として働き始めるにあたって、実里の両親とは疎遠になっていた。
その後、実里の両親が結婚するのとほぼ時期を同じくして、文彦も見合いで妻を娶った。
文彦の妻は、長男・文也を出産後、なにやらいろいろと揉めたすえに離婚し、家を出ていった。
文彦と実里の母はその後同窓会で再会。
焼けぼっくいに火というわけではないが、なにかと意気投合し、再婚することとなった。
そのとき、実里は中学生だった。
星川文彦の息子である文也は優秀な男だった。
容姿端麗、頭脳明晰、スポーツ万能で、人好きのする性格から男女問わず人気があった。
そんな優秀なふたつ年下の義理の弟に、実里は襲われた。
彼女が高校に上がったばかりの頃だった。
以降、実里は文也のいいなりとなった。
弟との行為に嫌悪感はなかった。
ただ、それは壁を1枚隔てた向こう側の出来事のようだった。
実里の精神は最初に襲われたとき、すでに壊れていた。
高校卒業後は義弟の指示で近くの短大に通った。
実里の短大卒業と同時に、文也は首都の大学に通うことが決まった。
無論、最高峰の大学である。
もちろん文也は実里を一緒に連れていくつもりだったが、父が星川グループの地元企業への就職を決めてしまったので、実里は南の町に残ることになった。
ただし、義弟から開放されたわけではない。
実里は文也が用意した部屋に住まわされ、常に監視された。
電話やメール、ウェブカメラなどで束縛され、文也はことあるごとに実里の元へ帰ってきては彼女を求めた。
文也は大学に通うようになってから、ろくでもない連中とつき合うようになった。
彼は自分が通っていた大学ではなく、近くの私立大学で身分を偽ってとあるサークルに所属していた。
後年不祥事を起こして問題になるようなサークルだったが、そこを不健全な集団として機能させ始めたのが文也だった。
ある日、文也はサークルの仲間を連れて実里のもとを訪れた。
ああ、自分はいまから多人数を相手にするのだな、と他人事のように実里が考えていると、突然文也が癇癪を起こし、サークル仲間を追い払った。
「ああ、姉さん!! 僕は姉さんを心底愛してると気づいたよ!! 姉さんに僕以外の男が触るなんて耐えられない。もう、仕事も辞めて、僕だけのために生きてよ!!」
そう言って泣きわめく義弟の姿を、実里はただ気持ち悪いと思った。
それからすぐに、実里は仕事を辞めることになった。
「無理をさせてすまなかった……」
なぜか義父は心底申し訳なさそうに実里に頭を下げ、母も随分心配してくれた。
おそらく文也がなにか手を回した結果だろうが、実里にとってはどうでもいいことだった。
それからはほぼ軟禁状態だった。
べつに外出を禁止されているわけではないが、文也が確認したときに部屋にいないと癇癪を起こすようになったので、実里はスマートフォン片手に暇をつぶしながらなくぼんやり過ごすことが多くなった。
転機が訪れたのは文也が大学を卒業してからだった。
学生として優秀だった文也は、社会人としてさらに優秀だった。
学生時代からグループ内のいくつか会社の経営に口を出していたが、文也が関わった会社は例外なく業績を上げていた。
その文也が、本格的にグループの経営に加わることになった。
複数の会社役員を兼任することとなり、学生の頃とは比べものにならないほど忙しくなった。
その結果、実里の様子を窺うことも少なくなった。
文也からの干渉が減って自由な時間が増えたとき、ふと実里は義弟が泣きながら行為におよぶ光景を思い出し、夜の店の扉を叩いた。
それから実里は暇を見つけては出勤した。
義弟の所有物である自分を、名前も知らぬ男で汚すという行為に昏い悦びを覚えた。
ときおり自分の前に現われては狂ったように愛を語る義弟が滑稽《こっけい》で仕方がなく、無意識のうちに笑みが漏れることが増えた。
実里に愛されていると信じて疑わない文也は、義姉の愛がいっそう深まったと勘違いし、いよいよ結婚を考えるようになっていた。
血のつながりはないので、不可能ではないはずである。
最大の障害は実父だが、グループ内で力を見せれば説得できるだろう。
星川グループは新規事業拡大先として中南米に進出することになった。
その旗頭に、文也が立つ。
ここで成果を上げれば実里との結婚にグッと近づけるはずだと、文也は意気込んでいた。
「姉さん……いや、実里。僕はかならず今度の計画で成果を上げ、あなたを迎えにくるからね。しばらく寂しい思いをさせるけど、我慢してほしい」
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