学生時代

Me-ya

いつか、君の声が 13

-放課後の屋上。

夕日が眩しく、吹く風が寒い。

でも、僕は寒さなんて感じない。

頬は熱く、胸はドキドキ。

掌なんか汗をかいていて、何度ズボンの裾で拭いたかわからない。

緊張している…確実に、緊張している。

(…おかしいな…今まで治夫と会うのにこんなに緊張した事、ないのに)

-原因はわかっている。

今日、聞いた…あの噂のせいだ。

治夫がK大学を受験するらしいという噂。

(…僕は聞いていない)

K大学なんて治夫の口から今まで聞いた事がない。

治夫は。

治夫は地元の大学を受けるって…。

…そう言ってたのに。

『-隼人にはもう会いたくないんですって』

急に。

寧音に言われた言葉が思い出される。

あの時は、また寧音のおじゃま虫が僕と治夫の仲を邪魔しやがって…くらいに軽く考えていたけど。

急に連絡が繋がらなくなった治夫。

いつも電話をしても、留守電で。

LINEも既読スルーで。

僕を避けている。

受験勉強で忙しいのかと思っていたけど、女性とはデートしているみたいだし。

志望していた大学の変更。

(………ちょっと、待て)

この流れで話があるって………。

これって……。

もしかして…。

(………僕が振られるパターンですかー!?)


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