学生時代

Me-ya

恋と嘘と現実と 31

「………失礼します……」

「遠慮しなくていいよ。今日、家、誰も居ないからさ」

玄関先で声をかけた僕に、靴を脱いて家の中に上がりながら千尋が言う。

結局、あの後、僕は千尋の黒い笑顔と脅迫に屈する形で千尋に腕を掴まれたまま、千尋の家に連れてこられたのだ。

誰だ。

千尋を爽やか君だなんて言って騒いでいるヤツは…。

畜生。

騙された。

爽やかなのは笑顔だけじゃないか。

だいたい、あの笑顔がいけない。

笑顔になった時、唇からキランと覗く真っ白い歯が千尋を爽やかに見せているんだ。

あれは詐欺だよな。

うん。

皆、騙されているぞ。


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