学生時代

Me-ya

恋と嘘と現実と 23

「隼人、帰ろうぜ」

放課後。

教室を出たところで声がかかり、振り向くと治夫が寧音とにこやかに笑いながら僕に手を振っていた。

寧音は、腕を絡めて治夫を見詰めている。

最近、治夫に対して独占欲を隠さない寧音は女子達の間で孤立気味だ。

今も、二人を遠巻きに眺めながら女子達がヒソヒソと囁きあっている。

治夫はモテるからな。

そんな治夫と付き合い、その上、他の女子が治夫に近付かないように牽制をする寧音。

嫉妬やヤッカミも当然、あるだろう。

それでも平気な顔で、態度を変えず治夫に引っ付いて歩く寧音は凄いと思う。

本当に、治夫が好きなんだ。

治夫を手に入れる為なら、何を言われても平気だし、何でもするという寧音の姿勢は僕にはないものだし…できない。

ある意味、羨ましい………。

「………隼人?」

治夫の訝しげな声で我に返った。

「………あ……何?」

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