学生時代

Me-ya

恋と嘘と現実と 20

「…あ、悪い。昼は隼人と学食に行くから」

「…え~…」

寧音の誘いをあっさりと断った治夫に、寧音は不満げだ。

治夫に気付かれないように、僕をこっそりと睨んでいる。

「…いいよ。僕、今日は弁当だから。治夫は寧音と二人で学食に行ってこいよ」

…本当は弁当なんて持ってきてないけど…。

治夫が寧音より僕を優先してくれた。

それが嬉しい、なんて…。

重症だ…。

でも、間違ってはいけない。

治夫にとって僕は、大切な友人。

それだけだ。

それ以上は望んではいけないし、望めない。

だから僕は、売店でパンでも買って教室で食べよう。

そう思っていた。

のに…。

「じゃ俺、売店でパン買ってくるから、待ってて」

治夫が当然のように、僕にそう言うから…。

「待ってよ、治夫。隼人もいいって言っているんだし、学食に行こうよ」

寧音の言葉に、零れそうになる涙を堪える。

「悪い。俺、もう隼人と昼を食べる約束したから。寧音とはまた今度な」

あっさりと寧音の誘いを断る治夫。


「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く