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学生時代

Me-ya

恋と嘘と現実と 10

寧音は泣いてないのに、僕だけ泣いて…。

それも、寧音の前で…。

オマケに涙はなかなか止まらないし…。

「…何、泣いているのよ?」

…ほら。

寧音の呆れたような声が聞こえた。

「…安心したら…涙が…」

「…まったく…どうして女性の私が泣いてないのに、男性の隼人が泣くのよ」

「…だって…止まらなくて…ごめん…」

「早く泣き止んでよね。私が虐めているみたいに見られるでしょ」

「…ごめん…」

「とりあえず私、おばさんの所に行って詳しい話を聞いてくる」

「…ぼ、僕も…」

「隼人はその前に泣き止んで!」

グズグズと鼻を啜りながらなんとか立ち上がろうとする僕をピシッと指差して、寧音は言う。

去っていく寧音の後ろ姿を見詰めながら、僕は必死で流れる涙を拭った。

「面会謝絶で、家族しか治夫には会えないらしいわ」

それから少しして、やっと涙が止まった僕は病室に向かったが、そこには寧音だけがいて僕にそう言った。

「…え…一目、顔だけでも…」

「無理よ。面会謝絶だもの…とりあえず、今日は帰った方がいいみたい」

治夫の顔を一目だけでも見たかったが、寧寧音にピシャリと拒否される。

「…あ…じゃ…おばさんに…」

「…おばさんは今、先生と話しているから。私達は帰りましょう」

「…え…でも…」

「私達が居ても、邪魔になるだけよ」

寧音は僕の手を取って、グイグイと引っ張る。

「私は絶対に認めないし、許さないから」

手を引っ張られて病院を出た時、寧音に言われた。

僕の気持ちに気付いたらしい寧音の言葉。

それが普通の反応だろう。

だから、ショックは受けなかった。

…少し、哀しかったけど…。

でも、誰よりも治夫が大切で失えない存在だと気付いてしまった今、覚悟を決めなくてはならない。

治夫の気持ちを受け入れる覚悟。

寧音を敵にまわす覚悟。

これが愛情か愛情じゃないかなんて、わからない。

ただ、治夫を失いたくない。

だから、僕も治夫に告白する。

治夫の意識が戻り、面会謝絶が解けたら…。

そう決意すると…ヤバい…今からドキドキしてきた。

治夫はどんな顔をするだろうか。

驚くだろうか。



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