踏切電車向こう側
1-6(私) 決められた運命
窓を眺めると終電に煽られ走る多数の人たちがいた
昼間と変わり人気は徐々に無くなって行き
残るのは帰りたく無いとせがむ大学生
時間に縛られて明日も何かの予定を作る。
予定がある事にその者たちは安堵し現実を忘れる。 
期日の迫ったレポート
何日も休みギリギリの単位
来るべき社会人への道
最近の決められたレールがコレ。
そのレールから外れたものに待つのは社会からの冷たい目と
過去の時間を思い出しては自分を現状を嘆く無駄な時間。
もちろんその中でも成功する者はいるだろう。
神は慈悲深い————
だがそれもまた1つのレール
皆んな自分で選択したと思っているのだろうがそれらは全て個々の特性に特化したレールの中間地点に過ぎない。
そして私も
そして彼も
少しの落ち着いた吐息と共に
先程まで離さんとしていたペンを彼は置いた。
その絵をじっと見つめて
完成した喜びを噛み締めているのだろうか。
決めた—————
彼からその絵を奪い取って破り捨ててやろう。
きっと彼はその光景を目にして
怒りを覚えその絵に使った数時間を
後悔するのだろう。
別に悪いことをするわけじゃ無い。
決められたレールには
決められた時間が存在する。
だから無駄な事に時間を使っていると教えてあげるためなのだから。
きっと次からは絵を描く事は無駄だと自覚するだろう。
数時間かけて描いた絵でも数秒で壊れることを知れば。
そして私は
冷めたハンバーグに手を合わせて
余韻に浸ったいた彼に声をかけたのだった。
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