天界に召されたら全員☆堕天しちゃってた♡
堕天使結ばれちゃった♡
「料理…どこにあるんだ?」
俺がそう尋ねると、堕天使はスッと手を俺の体から退けて立ち上がった。衣擦れの音も立てずに今朝作ったと思われるオムライスを持って来た。卵がふわふわしていて、ホワイトソースがけだ。
かなりの腕だな。
「どうぞ」
その声は、なぜか震えを必死に押しこらえるような声だった。
「ありがとう。いただきます。」
心を込めて言った。
そして、スプーンでオムライスをすくおうとすると堕天使は突然、
「やっぱり私が食べる!!」
と言って、料理を俺の手から力ずくで奪い取ろうとした。そして、オムライスは宙を舞った。
ベチャ。
オムライスがフローリングに叩きつけられる音が沈黙に響いた。
散らばったオムライスの中から大量のトウガラシが見えた。
そして、堕天使の頰を一縷の涙が走る。
泣くことなのか?と思わない訳ではない…
が、俺はやはりお人好しであることをやめられない。
畜生、これだから俺は……!
「何してんだよ!
あーあ、せっかくのオムライスが飛び散っちゃったじゃねーかよ…  食べ物は大事にしろって誰にも教わらなかったのか?堕天使。」
そして、スプーン一杯に散らばったオムライスをすくって口に入れた。
想像をはるかに超える辛さだ。
だがそれでも続けなければならないと思った。
「お、おれ、からいのすきだから。けっこーいけるな、こ、こえ。」
口を動かす度にヒリヒリと焼け付く様に痛むのを必死に耐えて声を振り絞った。だが、堕天使はいっそう顔を歪めて叫んだ。
「…どうして…?  どうしてかなたはそんなに優しくするの?私になんて優しくしないでよ!!!」
「お前が泣いているからだよ」
即答した。だが、この時の俺には堕天使の涙の理由など、検討もつかなかった。
「でも、私はあなたを殺した殺人天使。あなたは私を恨んで当然だしその権利もある!あなたが私に奴隷になれといえば私は奴隷になるつもりだった。あなたが私に死ねといえば私は死ぬつもりだった。なのに……」
「ッ……!」
その時、俺は自分の嫌気がさす程の馬鹿さ加減に気付いた。堕天使は初めて会ったあの時からずっと俺を天界に召したことを気に病んでいたんだ。
俺に嫌われようとして、あんな言い方をしたり、トウガラシのたっぷり入ったオムライスを作ったりしたのだ。
なのに俺はその状況を非日常として楽しいと感じてしまっていた…
俺がもっと真っ直ぐにこいつの瞳を見ていれば……
「今から、ひとつ罪滅ぼしと思って俺の願いを聞いてくれるか?」
「うん。なんでも言って…」
「俺はお前にこの短い時間ではあるが…
ほんの少しだけだが好感を持ってしまった…。これでもな…。だから、俺の為だと思ってこれからを生きろ。な、」
ありきたりなセリフかもしれない。それに、こんな場面でもなければこいつにだけは絶対に言いたくなかった。
それでも、嘘は無いそう自信を持って言い切れる。
「……………バカ…………」
「んっ?何か言ったか?」
「後悔するなって言ったのよ!」
「後悔なんてしねーよ。」
「そっ…」
そう囁いた堕天使の口元が少し上がった気がした。
「じゃあ、はじめるよ!」
「えっ何を?」
俺が言い終える前に、堕天使の透き通るような水色の髪が、七色に輝き出した。
「全能神が命ずる!アフロディーテの楔よ!我とかの者を永久の契りを以って結べ!」
へっ?なに?全能神?永久の契り?
一際まばゆい極光が部屋全体を包んだ。
わっけ分かんねーわ!
光が消えて目が慣れてくると目の前に天使がいた。その天使はこう呟いた。
「約束通り、私はあなたの為だけにこの命を使うことにします。よろしくね、パートナーさん♡」
「………」
あまりに突拍子な事態について行けないでいると、説明(笑)が入った。
「言ったよね?『俺の為だと思ってこれからを生きろ!な、』って。」
「そういう意味じゃないよ!てか、帰るよな⁈」
「それは、無理です♡
私は帰ることができません。なぜなら、契約をしてしまったということは、すなわち、私たちが結ばれてしまったことを意味するからです!!たとえそれが私のわがままから起こしたことであろうと!!!」
天使はどこかで聞いたようなセリフを狂言じみた口調でいたずらな笑みを浮かべて言った。だが、この先は前とは違うことを言おう。
「そうか。なら仕方がないよな。よろしく頼むぜパートナー!」
「うん!」
天使は、泣きながら言った。だが今度は笑っていた。
そして、こう続けた。
「私の名前は堕天使でも天使でもないよ…! 白玉って呼んで。」
「ああ。白玉。かわいい名前だな。」
「…からかうなし……」
白玉はそっぽ向いて虫が鳴くような声で言った。耳たぶがほんのり赤い。
俺はまだ聞かなくちゃいけないことがたくさんあることに気づいた。
「なあ、白玉。さっき全能神とか言わなかったか?」
「言ったけど?どうかしたの?」
さらっと恐ろしいことを…
「ほんとに全能なのか?」
「まさか〜。そんなはずないじゃん。ハハハハハ。」
「だよな!そうだよな!ハハハハハ。」
俺は心底安心していた。
「まあ、それでも最高神なんだけどね。」
瞬く間に安心は打ち砕かれた。
「……」
「どうかしたの?」
白玉は本当に俺がなにに驚いているか分からないような顔をしている。
だから、俺は絶望混じりに言った。
「最高神の仕事しなくていいの?」
「これまでもそして、これからもしなくても大丈夫だよ」
はあ……
俺は最高神がこんなでも廻り続けなければならないこの世界のことを不敏だと思った。かくいう俺もこいつに廻されて、ロリ天使と訳の分からない契りを結んじまったわけだが……
俺はそんな日常を嫌いじゃない。
俺がそう尋ねると、堕天使はスッと手を俺の体から退けて立ち上がった。衣擦れの音も立てずに今朝作ったと思われるオムライスを持って来た。卵がふわふわしていて、ホワイトソースがけだ。
かなりの腕だな。
「どうぞ」
その声は、なぜか震えを必死に押しこらえるような声だった。
「ありがとう。いただきます。」
心を込めて言った。
そして、スプーンでオムライスをすくおうとすると堕天使は突然、
「やっぱり私が食べる!!」
と言って、料理を俺の手から力ずくで奪い取ろうとした。そして、オムライスは宙を舞った。
ベチャ。
オムライスがフローリングに叩きつけられる音が沈黙に響いた。
散らばったオムライスの中から大量のトウガラシが見えた。
そして、堕天使の頰を一縷の涙が走る。
泣くことなのか?と思わない訳ではない…
が、俺はやはりお人好しであることをやめられない。
畜生、これだから俺は……!
「何してんだよ!
あーあ、せっかくのオムライスが飛び散っちゃったじゃねーかよ…  食べ物は大事にしろって誰にも教わらなかったのか?堕天使。」
そして、スプーン一杯に散らばったオムライスをすくって口に入れた。
想像をはるかに超える辛さだ。
だがそれでも続けなければならないと思った。
「お、おれ、からいのすきだから。けっこーいけるな、こ、こえ。」
口を動かす度にヒリヒリと焼け付く様に痛むのを必死に耐えて声を振り絞った。だが、堕天使はいっそう顔を歪めて叫んだ。
「…どうして…?  どうしてかなたはそんなに優しくするの?私になんて優しくしないでよ!!!」
「お前が泣いているからだよ」
即答した。だが、この時の俺には堕天使の涙の理由など、検討もつかなかった。
「でも、私はあなたを殺した殺人天使。あなたは私を恨んで当然だしその権利もある!あなたが私に奴隷になれといえば私は奴隷になるつもりだった。あなたが私に死ねといえば私は死ぬつもりだった。なのに……」
「ッ……!」
その時、俺は自分の嫌気がさす程の馬鹿さ加減に気付いた。堕天使は初めて会ったあの時からずっと俺を天界に召したことを気に病んでいたんだ。
俺に嫌われようとして、あんな言い方をしたり、トウガラシのたっぷり入ったオムライスを作ったりしたのだ。
なのに俺はその状況を非日常として楽しいと感じてしまっていた…
俺がもっと真っ直ぐにこいつの瞳を見ていれば……
「今から、ひとつ罪滅ぼしと思って俺の願いを聞いてくれるか?」
「うん。なんでも言って…」
「俺はお前にこの短い時間ではあるが…
ほんの少しだけだが好感を持ってしまった…。これでもな…。だから、俺の為だと思ってこれからを生きろ。な、」
ありきたりなセリフかもしれない。それに、こんな場面でもなければこいつにだけは絶対に言いたくなかった。
それでも、嘘は無いそう自信を持って言い切れる。
「……………バカ…………」
「んっ?何か言ったか?」
「後悔するなって言ったのよ!」
「後悔なんてしねーよ。」
「そっ…」
そう囁いた堕天使の口元が少し上がった気がした。
「じゃあ、はじめるよ!」
「えっ何を?」
俺が言い終える前に、堕天使の透き通るような水色の髪が、七色に輝き出した。
「全能神が命ずる!アフロディーテの楔よ!我とかの者を永久の契りを以って結べ!」
へっ?なに?全能神?永久の契り?
一際まばゆい極光が部屋全体を包んだ。
わっけ分かんねーわ!
光が消えて目が慣れてくると目の前に天使がいた。その天使はこう呟いた。
「約束通り、私はあなたの為だけにこの命を使うことにします。よろしくね、パートナーさん♡」
「………」
あまりに突拍子な事態について行けないでいると、説明(笑)が入った。
「言ったよね?『俺の為だと思ってこれからを生きろ!な、』って。」
「そういう意味じゃないよ!てか、帰るよな⁈」
「それは、無理です♡
私は帰ることができません。なぜなら、契約をしてしまったということは、すなわち、私たちが結ばれてしまったことを意味するからです!!たとえそれが私のわがままから起こしたことであろうと!!!」
天使はどこかで聞いたようなセリフを狂言じみた口調でいたずらな笑みを浮かべて言った。だが、この先は前とは違うことを言おう。
「そうか。なら仕方がないよな。よろしく頼むぜパートナー!」
「うん!」
天使は、泣きながら言った。だが今度は笑っていた。
そして、こう続けた。
「私の名前は堕天使でも天使でもないよ…! 白玉って呼んで。」
「ああ。白玉。かわいい名前だな。」
「…からかうなし……」
白玉はそっぽ向いて虫が鳴くような声で言った。耳たぶがほんのり赤い。
俺はまだ聞かなくちゃいけないことがたくさんあることに気づいた。
「なあ、白玉。さっき全能神とか言わなかったか?」
「言ったけど?どうかしたの?」
さらっと恐ろしいことを…
「ほんとに全能なのか?」
「まさか〜。そんなはずないじゃん。ハハハハハ。」
「だよな!そうだよな!ハハハハハ。」
俺は心底安心していた。
「まあ、それでも最高神なんだけどね。」
瞬く間に安心は打ち砕かれた。
「……」
「どうかしたの?」
白玉は本当に俺がなにに驚いているか分からないような顔をしている。
だから、俺は絶望混じりに言った。
「最高神の仕事しなくていいの?」
「これまでもそして、これからもしなくても大丈夫だよ」
はあ……
俺は最高神がこんなでも廻り続けなければならないこの世界のことを不敏だと思った。かくいう俺もこいつに廻されて、ロリ天使と訳の分からない契りを結んじまったわけだが……
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