High School Break

堕天使x

3話〜地下へ〜

......と、考えていたが、あそこに1人で乗り込むと言うのはあまり得策ではないだろう。
よく言えば協力者、悪く言えば道連れ。取り敢えず一緒について来てくれる人を探す。
(やはり実際に見た米原か?でも現場を見て思い出してパニックになるかもしれない。ならば)
生徒会長に全てを打ち明け、生徒会の仕事として行くべきか。それも良い方法とは言えないだろうが、今考えられる中ではそれが最善策だ。
生徒会長は超能力に関して、生徒の中でトップレベルだ。やはりいると最も良い。
昼休み、生徒会室に生徒会長、西堂美琴を生徒会室に呼ぶ。
「こんな時間にどうしたの?何か相談したい事でもあった?」
「ええ、相談というと少し違いますが、ここ最近僕が調査していることに関して少し協力していただけないかと思いまして」
「ふーん珍しいじゃない。水瀬君が私を頼るなんて。それで、何を協力すれば良いのかしら?」
そして、水瀬は葭谷と言う生徒が殺された所から、3年生に聞き込みをした所、現場で見た魔法陣についてなどを詳しく話した。
「うーん、警察とかに言うっていうのはどうなの?」
「ええ、最初は考えましたが、証拠を集めるうちに思いの外裏がありそうだと思い、もう少し証拠を上げないと揉み消されるのでは無いかと思いまして。」
「裏がある、か。それで?私には何を協力して欲しいのかな。」
「ええ、実はこの魔法陣の奥に、おそらくですが隠し部屋が在りまして、そこに来て頂けないかと。」
すると西堂は少し考えたが、
「うん、分かったわ。いつ調べに行くの?」
「今日の放課後にお願いします。」
「はい、分かった。他に何かある?」
「いえ、特に。では、ありがとうございました。」
西堂はは〜い、と言い外に出て行き、水瀬も一緒に外へ出る。

放課後、一度生徒会室に集まりすぐにその現場へ向かう。
「それにしても殺人ねぇ......いまいち実感が湧かないからどうとも言えないけど、ホントだったら凄いことだから、きちんと調査しないとね」
「ええ、僕の見立てでは殺人があった事はほぼ確定しています。ですが、その裏に何があるのかはまだ掴めていません。」
「ふぅん」
そうこうしているうちに現場へ着く。
「ここです。ここにある無数の魔法陣は魔力吸収術式です。そして、向こうに例の施錠術式が。」
西堂は施錠術式のある魔法陣に手をかざし、魔法陣の解読を始める。
「間違いない、これは施錠術式ね。」
「開錠はできそうなんですか?」
「うーん......まあ補助器を使えばなんとか開けれるかなって感じ。えーと...あった」
西堂はポケットを探り、腕に付けるリングを取り出した。
そして、それを右手に付け、再び魔法陣に手をかざす。リングは微かに橙に光り、魔法陣も連動して橙に光る。
5分ほどすると光が消える。
「よし、終わったわ」
今度は水瀬が物理運動制御術と呼ばれる術式を使い、地面を持ち上げた。
さっきまで境の無かった地面には綺麗な線が走る。

中は明るく清潔で、階段が伸びていた。
異様な程静かで、一段一段の足音が中で響く。
階数にしておよそ3階分下った辺りで、階段は終わっていた。
そこにあったのは幅5、6メートル、奥に10メートル程の四角い空間。3方の壁に金属のドアが付いてる。
「何ここ......」
「......ひとまずドアの先を調査しましょう」
西堂は左側のドアのセキュリティについて探る。
「うーん...これは私には開錠出来ないかな。魔術式とか超能力式なら良いんだけど、これは機械式ね。教員の指紋が無いと開かないっぽいわよ。」
すると水瀬は学ランのポケットを探り、5センチ四方程の透明なフィルムを取り出す。
「なに?それは」
「教員の指紋です」
こんな事もあるかも知れない、と思い予め教員の指紋を採取していたのだ。
フィルムを指紋のリーダーに当て、そこに親指を乗せる。
すると、ピーという音が鳴り、近くにあった赤い小さなランプが緑色になった。
2人は大きく深呼吸をする。そして覚悟を決める。
一応、という事で手袋を付け、ドアを慎重に開ける。

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