High School Break

堕天使x

1章 1話 〜事件発覚〜

昼休み
私立第1異能学園の2年E組では今日も論争が勃発していた。教室は机によって中央に境界線が引かれ、右に20人、左に20人の生徒がいる。
「絶対に超能力だ!色々応用が効くし、何と言っても強いだろ!」
と、教室の右側にいた男子生徒、入山誠が大声で言い張る。すると左側にいた女子生徒、宮園夏希も
「いーや、絶対に魔法よ!魔法はいくつかの術式を同時起動できるもの!それに、物理法則を完全に無視できるじゃない!」
と言い返す。
 神奈川県の北西部約4分の1を使う次世代科学研究都市。その中央に位置する異能学園では、魔法師と超能力師の2種類の技術者を養成している。そして、それぞれがより強くなるために、魔法師志望の生徒も超能力師志望の生徒も同じ教室で授業を受ける。
しかし、超能力師と魔法師で教室は二手に分かれ、2日に一回くらいは言い争っている。
「フンッ、術式をいくつも同時に使ったところで、そんな豆鉄砲意味ないだろ。」
と、超能力陣営の1人が言ったところで、魔法側の1人、西平奏多が耐えきれなくなり、術式を起動し始めた。
「な、生意気なんだよ!いつもいつも調子に乗りやがって!」
そのキレた生徒の右手は赤く燃え、炎は竜のような形となり、その頭が生徒へと向かう。
しかし、その竜の胴体は一瞬にしてスパッと切れる。竜を斬ったのはプラズマ弾。その弾の出所は
「おい、校内での術式起動は校則違反だ。術式を今すぐ畳め。」
超能力部生徒会副会長、水瀬遥斗。その右手には電子銃。
彼の成績は常に上位5位以内には入っているエリートだ。
そんな成績優秀者の生徒会副会長に言われればやめるしかない。西平は素直に術式を畳む。

昼休みが終わり5時間目に入る。今日は魔法部も超能力部も合同でテストだ。保健体育の教師がテストについての指示をする。
「よし、今日は予告していた体術のテストだ。最初にあそこから走り、あのマットを巻きつけた棒に体当たり、それが終わったら俺の方へ来て、受け身の練習だ。」
そう言って手本を見せる。
上手い人も下手な人も居たが、目を引いたのは水瀬の体術。体当たりの姿勢、受け身の形。その両方において目を見張るものであり、特に超能力部では歓声が上がる。本人はあまり気にしていないが。


6時限目まで終え生徒は一斉に下校する。放課後に残る生徒は少なく、ほとんどの生徒はすぐにいなくなる。残るのは生徒会と、たまにいる忘れ物をした人だ。
米原凜もそんな中忘れ物をした人の1人で、水瀬と同じく2年E組の生徒だ。明日期限の宿題を学校に忘れ、取りに来ている。
帰ろうとすると教員の1人が、肩に青いブルーシートに包まれた何かを担いで、別館倉庫の裏の奥の方に入っていくのが見えた。
好奇心旺盛な米原は、向こうにもスペースがあるのかな?などと思い、吸い込まれるようにその教員について行く。そして物陰に隠れながら観察していると、
 ブルーシートに包まれていたのは生徒だった。靴などを見る限り恐らく3年生。しかし教員が姿勢を変えてしまい生徒は見えなくなる。すると直後
ジョキ、ジョキという音がする。
生徒がいるはずの位置の周りに血しぶきが飛ぶ。
「─────っ!?」
何が行われているのか分からず脳内が恐怖で埋め尽くされていた。
すぐに米原は逃げるが、足音がどうしても鳴ってしまい、
「誰かいるのか!......って気のせいか。」
などと声が飛ぶ。
米原は目の前で起こったことを誰かに相談しないととても処理出来そうにない。(そっそうだ、あの冷静な水瀬君ならきっとある程度理解してくれるはず......)
そう思い米原は生徒会室へ向かう。
生徒会室のドアを開け、縋るように会長、水瀬の名前を呼ぶ
「み、水瀬君!ひひひ、人が死んでて、血が出てて、先生がブルーシートに包んでて!」
突然ノック無しに突撃して来た米原に少し驚いた表情を見せる水瀬。
「米原か?もう帰ってる時間だと思うが......どうした?ひとまず外に出てくれ」
そして生徒会室の外に出る。
「と言うか人が死んでると言うのはどう言うことだ?水でも飲んでから落ち着いて話せ」
「え、えっとまず......」
米原は忘れ物を取りに来たこと、教員について行ったことなど、全てを出来るだけ細かく伝えた。
「教師が殺人?生徒を?そんな事があり得るのか?それはどの教員か分かるか?」
と言い水瀬は教員の顔写真のリストを見せる。
「え、えっと......この人だったと思う。」
「この人は1年の教師か分かった、情報ありがとう、米原。もう少し調べてみようと思う。」
「うん、ありがとう。じゃあ帰るね」
そう言って米原は生徒会室を出て行く。
事件に関しては家で処理することにして、ひとまず仕事を済ませる事にする。

(もう5時......そろそろ帰るか)
「では、そろそろ帰らせて頂きます。」
生徒会長などに挨拶をして、鞄を持ち、外へ出る。
(殺人事件......まだ確たる証拠がないからどうとも言えないが、もしそうならかなり重要な事件だな。)
しかしここで水瀬は一つの違和感に気づく。
(殺すのであればナイフでも魔法でも超能力でもいいはず。ジョキ、と言う音は恐らく......ハサミか。なぜハサミなんか使ったんだ?何か裏があるのか?)
結局ウェブなどで調べたが、参考になりそうな情報は無く、その日は寝た。

「現代アクション」の人気作品

コメント

コメントを書く