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香川外科の愉快な仲間たち

こうやまみか

久米先生編 「夏事件」の後 136

「佐藤君、ご苦労だった。ついでにコーヒーも教授用のを使って淹れてくれたまえ」
 先ほど物凄く抽象的な注意をしていた――あんな方法だと絶対に本人のためにはならない!!いや、相手がアクアマリン姫こと岡田看護師だからそう思ったわけではない。たとえ破壊力がハンパない顔面凶器ブスでもそう判断したと思う。ま、そんな女性は二次元には良く居るけれども実際に会ったことはない――佐藤看護師がムスッとした感じを隠していない。
 医局の中では手の空いた先生達ですら「香川外科の方がいらして下さった」とか「これで少しは肩身が広くなるかもしれない!有り難いことです」とか聞こえよがしに言っているというのに。
 まあ、病院の看板でもあり、稼ぎ頭の香川教授の虎の威を借りる積りは毛頭ないけれども、脳外科の先生達の希望の星にいつの間にかなってしまっている。
 そういう医局の雰囲気というか空気なのに佐藤看護師は「何でコーヒーなんて淹れないといけないんですか!?」と表情が物語っていた。
「あ!先輩、私がします。私はその程度しか出来ないので」
 佐藤看護師の苦々しい表情は――鈍感だと自覚している――オレですら察するレベルなのでアクアマリン姫が気づかないハズはない。
「そう、じゃあお願いね。あっちの缶が教授用だから」
 佐藤看護師が指差した先にはコーヒーの缶が所狭しと並んでいた。
 ちなみに、彼女は既婚者らしく結婚指輪をはめていた。香川教授も何だか「悲劇的な恋」をしているようで、プラチナのシンプルな指輪を総回診の時とかの手を使わない時に身に付けているのは知っているし、総回診は患者さんを直接触る機会はほぼ無い。だから、指輪をしていても良いんだけれど、看護師の場合は患者さんに接する機会も多いし、指輪に雑菌が入ることも良く知られている。
 だから本当は指輪なんて付けたらダメなんだけど、そういうのを注意する人間が居ないのだろうか?ウチの科では絶対に注意するんだけれど、田中先生辺りが。
 そんなことを考えていると、岡田看護師が困った表情を浮かべているのに気付いた。
 そしてその視線の先はコーヒーの粉(?)が入った缶が多すぎるほど並んでいる棚だった。
 「だから言っただろ?」と思いながらも必死に笑顔を作って――引きつっていたかもしれないが――佐藤看護師と木村先生の顔を交互に見て、何と言えばかどが立たないかと考えを巡らした。
 すると。
 

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