香川外科の愉快な仲間たち

こうやまみか

久米先生編 「夏事件」の後 112

「ま、久米先生の場合、『頼りになる騎士』には見えないか……。騎士ってコトは馬に乗るわけでしょ?そんなの馬が可哀相だわよねぇ……」
 確かに我が医局が誇るイケメンの田中先生なら――乗馬が出来るかどうかは知らない――颯爽と白馬を駆ってこちらに来てくれるという状況はとても似あいそうだ。
 オレは時代劇とか見ないけど、ハマっている恋愛シュミレーションゲームのコイン欲しさに他のゲームにも手を染めていて、その中では有り得ないようなイケメンの戦国武将と――しかもまげは結っていなくて、今でも通用するような髪型だ。まあ、日本人なのに金髪とかそういうのを気にしなければ――恋をするというゲームが有って、そこでは白馬を駆ってヒロインを助けに来るというシーンが有ったような気がする。
 目的がコインなので、シナリオは飛ばし読みとかスキップとかしているので詳細は分からないものの。
 田中先生が馬に乗れるのならそのゲーム張りにカッコ良くなるだろうな……と思いながらも一応反論を試みた。こういう点「も」田中先生が得意としている分野なので、オレも先生みたくなりたかったので。
「馬って案外丈夫なんですよ?何せ昔は重いよろいかぶとに身を包んだ武将を軽々と運んだんですよ。何でも総重量は……」
 えと、何キロだっけ?なんか喉の辺りまで出て来ている感じなのに具体的な数字が出てこないのはもどかしい。
「そんな細々したことはどうでも良いのよっ!患者さんのバイタルだったら重要な情報だけれども、ね。
 とにかく、脳外科に行ってアクアマリン姫とやらを救うナイトになりなさい。
 ま、ナイトじゃなくて弾除けでも良いけどね。ただ、怪我をして帰って来ないでね。久米先生もウチの重要な戦力なのも確かだから。じゃあ、私は帰って寝るわ。この画像持って行きなさいよね」
 何だか励まされているのかバカにされているのかは分からないような杉田師長の言葉だったが「脳外科に行ってアクアマリン姫のナイトになる」というのは確かにカッコいいというか萌えツボだろう。あ、萌えツボとかは姫の前では言ってはいけないかもしれない。
 オレの得意のネット調査で「女性が嫌悪感を抱く異性」に「オタク」も上位にランクインしていたので。
 それに、オレの部屋に飾ってあるフィギアも――彼女が部屋に来てくれる日が来れば、という前提だが――捨てる……のは勿体ないので、クローゼットにでも仕舞っておこう。うん、そうしよう。だって単品で買ったヤツも有るけれども「中身は見てのお楽しみ」的な何が入っているか分からないというイベントも有って、そのためにお目当てのフミオちゃんをゲットするために50個も「大人買い」をしたのだから。
 杉田師長にお礼を言ってから脳外科を目指した。どうせ、香川教授は手術中だし、オレも一応そのスタッフだったのでこの時間の仕事は入っていない。
 すると。

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