話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

香川外科の愉快な仲間たち

こうやまみか

久米先生編 「夏事件」の後 68

「香川教授に直接お願いして、久米先生のご両親にお会いになって下さるようにと申し上げることは出来ますが?」
 田中先生の言葉に、思わず飛び上がってしまった。文字通りの意味で、ただ、10センチほどだったが。
「ええええぇぇぇ」
 跳び上がったオレの身体を嫌そうな感じで眉根を寄せて身体を手荒な感じで支えてくれた。多分、オレにも、そして他の人が巻き込まれて怪我をさせたり、病院内の設備を壊さないためだろう。
 まあ、Fカップでウエストが58、ヒップが80㎝とかの美女の身体だったらオレも触りたいけれど、相手が同性なら――仕事では仕方ないから常に触れているけれども――田中先生と同じ「塩対応」なのは仕方ないだろうな……と思う。もう少し優しさが欲しかったものの、それはワガママだろう。
「危ないので気を付けて下さい。また何もない所で転倒して、患者さんに心配をかけるようなことは厳に慎んで頂かないと。
 そんなに驚くようなことを言いましたか?」
 田中先生には――プライベートでも教授と呑みに行っていたとか評判のカウンター割烹で食事をしていたのを目撃したとかいうウワサはちらほらオレの耳にも入ってくるので――教授を病院外で会うことは簡単なことなのかも知れないけれど、オレなんかがそんなことを仕出かそうもんなら医局の先輩方に白眼視というか絶対零度の視線を浴びせかけられることは請け合いだ。まぁ、香川教授と外で食事する特権を持っているのは、あと柏木先生くらいだろう。二人は同級生だったらしいし、凱旋帰国の直後はどう接していいか分からなかった感じだったけれども、今はそういうポジションの違いを受け入れていながらもかつての交流のようなものは復活したみたいだった。 
「いやいや!そんな畏れ多すぎることは絶対に天罰が下るに違いないです。
 それに、ウチの両親もどうおもてなししたら良いか……。母は死ぬほど悩みますし、父は後退した前髪と頭皮が透けて見える頭頂部が更に酷くなると思います、心労で……」
 田中先生の硬そうな唇が面白そうに吊り上った。
「この髪質はどちらの遺伝ですか?」
 オレの髪の毛を引っ張りながら笑いを含んだ目で見られた。
「父ですけれど??痛い、痛いっ!!引っ張ったら抜けますって……」
 完全に悪戯イタズラっ子のような感じの田中先生の可笑しそうな表情を涙目で見てしまう。
「頭皮ケアはマメにしておいた方が良いですよ。抜けてしまえば取り返しがつかないことになりますから。
 これは毛根の強度を確かめているのです。つまりは久米先生のためです」
 そうかな?

「香川外科の愉快な仲間たち」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「コメディー」の人気作品

コメント

コメントを書く