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香川外科の愉快な仲間たち

こうやまみか

久米先生編 「夏事件」の後 62

 田中先生は――バリバリの商社レディ、しかも総合職で「性格も容姿も最高」と言っている【極上の恋人】さんが居るとはいえ――独身だし、ウチの両親には説得力がないかな?とも思う。
 香川教授に直訴する勇気は絶対にない、プライベートな問題なだけになおさら。それでなくとも研修医のオレからしたら雲の上の人なんだし。
 田中先生は「一介の医局員風情が、よく教授と仲良く出来るよな」とかの悪口めいたウワサは医局の内外で聞かれたものだった。とはいっても田中先生の場合、Aiセンター長だし、オレが学生だった頃に起こった医局内のゴタゴタのせいで手術中の嫌がらせにも――順送りで出世を目論んでいた人間がアメリカからの凱旋帰国でイキナリの教授職というのが気に食わなかったとか後から聞いた――敢然と立ち向かって行った第一人者だ。
 証言を求められたオレが一番良く知っているのではないかとも思うのだけれど。
 そして医局内の「影の実力者」とか「医局の小姑こじゅうと」とか呼ばれている。
 だから独身でも有益なアドバイスは貰えるだろう。
 香川教授がウチにいらして下さって両親を説得して下さる……。そんなことは夢物語だろうしそこまでは望んでいない。というか恐れ多すぎて逆に怖い。
「深窓のご令嬢達はさ、オレがK大付属病院勤務の医師だからこんな写真とか『釣り書き』とかを寄越したわけで……オレの人間性とかそういうモノで好きになったんじゃないよね。
 病院長の厳重な箝口令が敷かれていて、詳しくは言えないんだけど……最近オレの元同級生が警察の御厄介になった事件があってさ、その事件の発端は某教授の奥さんがフランスだかイタリアだかは忘れたけどクレジットカード5枚もパンクさせるお買い物爆発をしたらしくて、そのお金の補填ほてんにそいつが全額出したんだよ。で、某教授はその弱みが有るので強く言えなくなって、医局内は滅茶苦茶になってしまったんだ。
 奥さんは資産家出身らしかったんだけど、バブル崩壊の時に実家は破産したとかで……。だからそういうお嬢様と結婚するリスクも病院側としては見過ごせない状況になってきてるんだって。
 それに比べて岡田さんはオレのことをある程度知っていて、言い寄る医師達には見向きもせずにオレとデートしたいって言ってくれている女性なんだ。
 だから、そういう人と付き合いたいなと思っている。だって、病院には医師なんてゴマンと居る中でオレを選んでくれたんだもの」
 お父さんは納得したような感じで頷いてくれた。
 後は。

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