香川外科の愉快な仲間たち
久米先生編 「夏事件」の後 51
アクアマリン姫様こと岡田さんは田中先生関係のナースからも手術室ベテランナースの柏木先生の奥さん関係の人脈でも――何でもナースは意地悪な小姑以上にそういう点は鵜の目鷹の目らしいので不倫なんかしている看護師は密かに目の敵にされるらしい、しかも何年もウワサが継続するらしい、たとえ一回きりの「そういう関係」だったとしても――浮いた噂は一件もない。
むしろ複数人の――人数は5人説と8人説が有るらしいが――未婚既婚の医師からデートに誘われたことが有ったらしいがことごとく断っていたとのことだった。
だから、お母さんが吐き捨てるようなことは一切ないと思う。
「田中先生とか柏木先生のことは話してるよね。
柏木先生の奥さんは手術室のベテランナースで、院内の不倫のウワサは絶対に耳に入る女性なんだけど、岡田さんは不倫どころかデートの誘いすら断っていることで有名らしいよ。
それに田中先生はナースに……」
お母さんは田中先生と聞いて口紅を引いた唇を笑みの形に変えた。
「ああ、田中先生ってとても良くしてくれている先生でしょ。しかも『あの』香川教授の懐刀と呼ばれているなんて……素敵ね。
それにバレンタインのチョコレート獲得で病院一の先生なのよね」
そう言えば家に帰ったら田中先生のことを一番話しているような気がした。
「それはそうだけれど、研修医時代にナースの人生相談にマメにしていた人なんだ。だから、柏木看護師とは全然違う人ともたくさん交流が有って、その二人から岡田さんは一度も浮いた噂がないことは確定だよ。
それでもダメなのかな……」
お母さんの鬼のような形相は相変わらずだ。さっきよりは2割ほど緩和されてはいたけれども。
お父さんも腕組みをして黙って話を聞いている。腕組みは確か拒絶のサインだったような気がする。
ただ、田中先生の危惧が当たったのは流石だったけれども、オレには最悪だった。
「未婚の医師もデートに誘ったそうだけれど、キッパリ断った女性なんだよ。
お母さんの言う、性悪ナースじゃないんだけど、さ」
キッチンの空気がどんよりと重くなっているのをヒシヒシと感じた。
「お父さんはどうして反対なの?」
膠着した現状をどうにか打破したくてお父さんにも聞くことにした。
般若のお面みたいなお母さんよりも、まだマシなような気がして。
すると。
むしろ複数人の――人数は5人説と8人説が有るらしいが――未婚既婚の医師からデートに誘われたことが有ったらしいがことごとく断っていたとのことだった。
だから、お母さんが吐き捨てるようなことは一切ないと思う。
「田中先生とか柏木先生のことは話してるよね。
柏木先生の奥さんは手術室のベテランナースで、院内の不倫のウワサは絶対に耳に入る女性なんだけど、岡田さんは不倫どころかデートの誘いすら断っていることで有名らしいよ。
それに田中先生はナースに……」
お母さんは田中先生と聞いて口紅を引いた唇を笑みの形に変えた。
「ああ、田中先生ってとても良くしてくれている先生でしょ。しかも『あの』香川教授の懐刀と呼ばれているなんて……素敵ね。
それにバレンタインのチョコレート獲得で病院一の先生なのよね」
そう言えば家に帰ったら田中先生のことを一番話しているような気がした。
「それはそうだけれど、研修医時代にナースの人生相談にマメにしていた人なんだ。だから、柏木看護師とは全然違う人ともたくさん交流が有って、その二人から岡田さんは一度も浮いた噂がないことは確定だよ。
それでもダメなのかな……」
お母さんの鬼のような形相は相変わらずだ。さっきよりは2割ほど緩和されてはいたけれども。
お父さんも腕組みをして黙って話を聞いている。腕組みは確か拒絶のサインだったような気がする。
ただ、田中先生の危惧が当たったのは流石だったけれども、オレには最悪だった。
「未婚の医師もデートに誘ったそうだけれど、キッパリ断った女性なんだよ。
お母さんの言う、性悪ナースじゃないんだけど、さ」
キッチンの空気がどんよりと重くなっているのをヒシヒシと感じた。
「お父さんはどうして反対なの?」
膠着した現状をどうにか打破したくてお父さんにも聞くことにした。
般若のお面みたいなお母さんよりも、まだマシなような気がして。
すると。
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