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香川外科の愉快な仲間たち

こうやまみか

久米先生編 「夏事件」の後 24

「もしかしたら、変なウイルスとか仕込みます?」
 PCを田中先生に取られた過去を思い出して――まあ、新ヴァージョンが出たから買ったので余ったとオレが言ったせいなので自業自得と言えなくもないが――思わず身構えてしまった。
 オレのPCには、ぶっちゃけオレ以外に見せたくないというか知られたくないような画像とか動画も保存してあるのも事実だ。
 そんなモノを全部コピーするようなソフトを田中先生が持っていたら大変危険だ。
 田中先生は、物凄く心外そうな表情ながらも、口角を上げた凄味の有る笑みを浮かべている。
 ――その笑みが怖いのは言うまでもない。
「ああ、その手が有りましたね。私としたことが気付きませんでした。
 しかし、教授との共著の本の原稿を、医局の威信がかかっている親睦会の折鶴勝負の練習まで放棄して」
 変なウイルス発言がマズかったのだろう、田中先生の声が氷点下に下がったような気がする。大好きな唐揚げも何だか味がしないのは気のせいだろうか?冷たくなっても美味しいように作られているというのに。
「それはひたすら謝ります。済みませんでした。申し訳ないです。己の不徳の致すところです。汚名挽回の機会が与えられたら、香川外科のために粉骨砕身頑張りますので許して下さい」
 香川外科に入局してからは、周りが熱血体育会系の人がいなかったせいで油断していたものの、大学時代には割とたくさんいたので、そういうノリは知っていたし、その対処法も。
 ただ、田中先生は体育会系のクラブには入っていなかったと聞いていたが。
「まあ、許しますけどね。ただ、唐揚げを口から噴き出すのは止めて下さい」
 オレは慌てて口の周りをセブイレで貰った紙のシートで拭った。
「素直で宜しいですね。
 いやあ、台本を覚えるタイプの久米先生対策に、乾杯の挨拶とかアクアマリン姫がこう言えばこう答えるみたいな想定集を作ろうかと思っていたのです。プリントアウトした紙のスペースでは到底収まりきれる量じゃないですよね?
 それにこの台本を作ったベースが有るでしょうから、それに上書き保存で作った方が早いかなと思いまして。
 それで次のデートに繋がるように頑張って下さい。
 いくら私の台本が完璧だったとしても、聞き取れないほどの早口だったり噛み噛みで上手く言葉が話せなかったりした場合は、久米先生の責任ですから」
 田中先生の背中に後光が射したような気がした。
 すると。

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