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香川外科の愉快な仲間たち

こうやまみか

久米先生編 4

「おーい、久米、今日のK戸女学院の合コン、当然参加するよな?」
 今までは「合コン」と聞くと脊髄反射のように「参加する!!」と言ってきた。
 しかも神B女学院は近畿地方でダントツのお嬢様率を誇っているし、何度もドラマ化されている名作「白い〇塔」の教授や助教授の――当時――奥さんの出身大学はもれなくこの大学だった。
 ただ、合コンに精を出すよりも、先に一人前の医師になって、そして香川教授の医局――幸いなことに心臓外科を選んだ自分の先見の明を褒めてやりたい気分だった。
「当分、いや香川教授の医局に入るまで合コン断ちをすることに決めた。
 あの外科医としてキラキラした人達を見ていたら、何だか合コンにうつつを抜かしてばかりじゃいけないような気がしたから。
 モニター室でも学ぶべきことはたくさんあるので、僅かな隙間時間を作ってでも、通いたい。
 だから、井藤でも誘ってくれよ」
 人間嫌い――割と医学部に入るような人間は人の命を助けたいとかそういう「人と接する」ことが好きな人間の割合が多いと思う。特に外科の場合は。その中で浮いている――という表現は控え目過ぎるだろう――アイツは絶対に来ないという確信は有ったが、絶対に参加すると思われていた俺がパスするとなると、人数が一人足りなくなる。
「…………誘ってもいいけど、久米の場合は女の子がちょっと引く程度のイジられキャラで……ドン引きはされない。しかし井藤のヤツはドン引きどころか、次の合コンの開催すら危うくなるレベルで……。ううむ。どうしたものか……」
 医学部に合格して合コンデビューしました!的な点は一緒だが、心を入れ替えた今となってはその時間が勿体ないと考えてしまっている。
 それに、あのモニタールームをサッカーのワールドカップと間違えているようなどこかの科の先生の大きすぎる独り言を聞く限りでは、香川教授の手術には「まさかの」研修医まで参加しているらしい。
 普通だったら、ウチの大学病院の研修医を辞めて公立とか私立の病院に行った方が「医師扱い」イコール「人間扱い」されるというウワサは良く聞く。
 それが香川教授の医局では実力で勝負が出来ると聞いていた。
 今まではウワサで――アメリカから実績を買われて凱旋帰国して、国立大学医学部教授の最年少の記録を樹立した人だけに――色々と聞いてはいた。
 ただ、今までの輝かし過ぎる実績から自信家で傲慢な人柄であっても全くおかしくない――というかそっちの方がしっくりくるような気がしたが、手術を見る限りそういう雰囲気は一切なくて、ただ、静謐な手技への情熱だけを内に秘めている人のような気がした。

 ちなみに。

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