signal of dead

浪村

第2章 3話 「死んだAI」からの頼み

翌日。乃亜が尚もダメ元を前提でキーボードを弾く。しかし、何度やっても液晶に表示されるのは「エラーコード:RAAA150」の文字だけ
(「エラーコード:RAAA150」は「パスコードの不一致」を意味する)

これを朝から今の今(午後3時)までひたすらに続けている

乃亜「………ダメかな」

乃亜が椅子から離れ、全員が諦めかけた。その時

少女の声「そこの者達、止まりなさい」

全員「!?」

5人とも驚いて、液晶を振り返った。液晶画面にはついさっきまで表示されていた通信機ページは無く、代わりに少女が映っていた

湊音「誰だ?」

果萌「女の子?」

魁人「けど、この時代にしては画質が…」

斗哉「妙にアナログじゃないか?」

乃亜「あなたは…誰?」

乃亜が聞くと

液晶に映る少女「私は、ある人間によって作られたオリジナルAI、デッドプリンセス。今起こっている、Dウイルスの悪夢の元凶を知っている」

斗哉「Dウイルスの…」

魁人「元凶を…」

湊音「知ってるだって?」

デッドプリンセス「ええ。この悪夢の元凶は、極秘結社『トルバン社の社長、ノーグス・ウェスキンス』よ。彼の監督下のもとで私は作られ、彼の監督下のもとで先日のカールスモートン州のティノーラバイオ研究所の悪夢は引き起こされた。ウェスキンスの指導で実験が行われ、悪夢が始まった途端に彼は研究所との連絡経路を絶った。自分で作った、この私さえも裏切って。そこで1つ、お願いがあるわ」

斗哉「なんだ?」

デッドプリンセス「ウェスキンスを倒し、血清を世界に拡散して。地球を…この世界を、元に戻してほしいの」

デッドプリンセスと名乗る少女AIがそうお願いしてきた

魁人「血清を…世界に、拡散?」

乃亜「けど…」

斗哉「その人を『倒してくれ』と言われても…」

果萌「何があるか分からないし…」

湊音「ましてや、今その…ウェスキンス?がどこに居るのかさえも…」

デッドプリンセス「それなら、心配いらないわよ」

デッドプリンセスはそう言うと、瞬時にGPS検索をかけて、この悪夢の元凶だという「ノーグス・ウェスキンス」という人間のGPS座標を液晶に示した

デッドプリンセス「ウェスキンスは…彼は今、アメリカはワイオミング州、トルメールの研究施設に居るわ」

乃亜「ワイオミング州…アメリカ…確かに…」

魁人「おいおい…全く、用意周到なお嬢さんAIだなぁ…」

果萌「アメリカに…行くの?」

湊音「行くしかねえだろ」

斗哉「まずは船を確保しなきゃな…」

デッドプリンセス「じゃあ、お願いしていいのかしら?」

乃亜「もちろん」

湊音「俺らがこの悪夢に終止符を打つ」

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