ソシャゲの相棒(♂)は異世界転移したら美少女だった!?

雨夜☆ドリー

〜第三章〜 遭遇!【一】

 EIを始めた頃、巫女姿だったサクラは、もはや忍びスタイルに変わっていた。隠密行動、索敵能力ももう一人前のプレイヤーになっている。
 そんなサクラを先頭に馬車の前にカヴァル、右にブッフォン、左にスズと、馬車の操車に僕。マーチンさん、レインは馬車の中と、某RPGの様な隊列で王都グラン·カルロリムを出た。

 グラン·カルロリムの南門を抜けて南の街道を行く。

 途中何回か魔獣モンスターとの交戦はあったけど、今や冒険者ランクSとなった四人の相手ではなかった。

 馬車の中ではマーチンさんは読書に勤しみ、レインはスースーと寝息を立てている。

 「順調だなぁー」

 思わず口から零れる言葉…。
 すると、読書に勤しんでいたマーチンさんから、
 「フラグかな?」
 と、ボソッと聞こえた。
 「まぁ、フラグ立っても、アイツらなら大丈夫ですよ」
 グラン·カルロリムを出発して、かれこれ五時間程…距離にして四十キロ程は進んでると思う、この道すがら強敵や危機的なものに遭遇はしていない。
 僕がそう思うのも無理はない状況だった。

 僕とマーチンさんがそんな会話をしていたら、レインがようやく目を覚ました。
 「お、やっと起きたか」
 「…うん。今どの辺?」
 「まだ、ザルホザーツには着かんな…まだ休んでいるといい」
 「マーチンさんありがと。でも大丈夫」

 「そろそろ身体動かしたいわね」

 と、背伸びをするレイン…。
 「これも…フラグかな?」
 「これも…フラグ?」
 と、マーチンさんとハモる。
 

 その数秒後だった……。

 馬車の前、百メートル先に索敵行動中のサクラからパーティーチャットならぬパーティー念話が入る。
 「前方に敵影!数は10体……いや!11体かな?」
 「1体強そうなのがいるっ!」

 念話を聞いたカヴァルは小隊のメンバーに速やかに指示を出す。

 「サクラちゃんはそのまま敵影を見失わないように!」
 「ブッフォン前進しサクラちゃんと前衛交代!」
 「スズさんは俺の十メートル後についてきて」
 「了解!!!」
 「馬車組は任せる!」
 「あぁ、任された」
 と、マーチンさん。

 「出番なさそうねー」

 レインがウズウズしながら走っていくカヴァル達を見つめる。
 「しかし、サクラくんが強敵かも…と話していたからレインくんも見に行って来ればよかろう」
 「えっ?いいの!やったぁー!じゃあ邪魔にならないように見てくるねっ」

 そう言うと馬車から飛び降り突っ走って行くレインだった……。

 (子供かよ………)
 心の中でそう呟きながらも、実は僕も見に行きたかったりしたのだった…。

 「リョウマくんも行くか?」
 「…!……大丈夫です!」
 マーチンさん恐るべし………。

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