乙ゲーから転生した悪役令嬢は何気に女子高生を満喫しています。
19
文化祭の日の生徒会の朝は早い。
昨日のゴミとかがきちんと片付けられているか総出で朝からチェックだ。
「昨日公安の委員長と変な話をしていたでしょう?」
副生徒会長、寺島冬子に不満そうに口にされた。ビンゴ大会の話だろう。
「あれま、聞こえてた?つまんないの。みんなの知らないところであいつに勝とうと思ってたのに。」
「どんな賭けをしたって言うんですか、まさか生徒会の存続に関わるものじゃないでしょうね?」
「まさかあ、まあでも正直俺にとっちゃ一大事っていうか。あいつは人の恋路をなんだと思ってるのかね。」
「そのまんまあなたにお返ししますよ。その大人気なさと言ったら、彼があなたの邪魔をするのもわかります。」
「うわーひどい。寺島もあいつの味方するの?俺泣いちゃうんだけど。」
泣き真似をすると寺島の眉間に皺がよる。そしてお前とは話にならない、と作業に戻られてしまった。
「無視なんてひどいなぁ。」
ーー昨日のあいつの提案には俺もすぐにのった。のるしかなかった、そういう内容だ。まあしようと思えばいつでもできるが人としてどうなの?ってなるっていうか。それが合法で叶うと言うなら、のらない手はない。脳裏に彼女の笑顔が浮かぶ。
ああ、何はともあれーー
「後夜祭が楽しみだ。」
「…で、なんでいるんですか?」
「少し緊急の用だったからな。今年は生徒会の仕事もないし来たまでだ。」
文化祭二日目の朝、圧倒的デジャヴ。端にいる灯も私の様子を見てヒヤヒヤしている。それでも気にしない黒髪ウェーブはドリンクを注文する。
「昨日も思いましたけどそんなに、私が必要系な用なんですか?ていうか私じゃなくてもよくありません?また生徒会勧誘みたいなのはごめんなんですけど。」
「いや、そういうものではない。儚日にしか頼めないもっと個人的な問題だ。ふははっそれを昨日から心配していたのか。」
ゲーム攻略のハッピーエンドでしか見せない笑顔をこんな場面で見ることになろうとは。
「とりあえず、シフトが終わったら場所を移させてもらえないか?」
そう言われて私は止むを得ず、溶定について行くことになった。これで殺されたらジ・エンドなわけだが、なんだかこの人は前世とは違う感じがするっていうか。まあそんな直感的なものを信じてはいけないよな。ついて行くと決めたなら完全ガードでいかなければならない。
ガチャッ
連れてこられたのは生徒会室の奥の空き部屋だった。
「一瞬ビクッとしたな。安心しろ何もしない。儚日はコーヒーは飲めるか?」
この部屋を溶定は私物化しているのか慣れた手つきでコーヒーを作る。いい感じに部屋にコーヒーの香りが広がる。
「で、その…今回は儚日に相談があってだな。」
私を座らせた机の向かいに座り、柄にもなくもじもじと動く。その様子すら様になるのはなんだかムカつく。この人が望まなかったからか茗荷谷と違って前生徒会長が溶定だと知る人は少ない。でもこの見た目だったら茗荷谷くらいファンはついていただろう。もはや前世の恐怖よりも前世と現世での怒りのが勝るようになってしまったため、少々強気な口調になる。コーヒーはおいしかった。
「なんですか、女の子ですか。そんな恋の相談みたいな雰囲気で。」
ガタンッ!!
思わずビクッとする。いきなり溶定が立ち上がったのだ。
「なっ、その…いや。」
よく見ると顔を真っ赤にさせている。あららビンゴみたいだ。こんな男に好かれる女性、どんな美形なんだか(ヤンデレルート入ったらご愁傷さまだけど)。…ん、待てよ?現世のユーリは好きな人いるの?私はぴょんと立ち上がり、赤い顔のままの溶定の両手を自分の両手で包み込む。
「えっ!その話!詳しく聞かせてください!!」
これはまさかの!私の死亡フラグをへし折れるいい機会では…?これを逃すわけにはいかないわ!
昨日のゴミとかがきちんと片付けられているか総出で朝からチェックだ。
「昨日公安の委員長と変な話をしていたでしょう?」
副生徒会長、寺島冬子に不満そうに口にされた。ビンゴ大会の話だろう。
「あれま、聞こえてた?つまんないの。みんなの知らないところであいつに勝とうと思ってたのに。」
「どんな賭けをしたって言うんですか、まさか生徒会の存続に関わるものじゃないでしょうね?」
「まさかあ、まあでも正直俺にとっちゃ一大事っていうか。あいつは人の恋路をなんだと思ってるのかね。」
「そのまんまあなたにお返ししますよ。その大人気なさと言ったら、彼があなたの邪魔をするのもわかります。」
「うわーひどい。寺島もあいつの味方するの?俺泣いちゃうんだけど。」
泣き真似をすると寺島の眉間に皺がよる。そしてお前とは話にならない、と作業に戻られてしまった。
「無視なんてひどいなぁ。」
ーー昨日のあいつの提案には俺もすぐにのった。のるしかなかった、そういう内容だ。まあしようと思えばいつでもできるが人としてどうなの?ってなるっていうか。それが合法で叶うと言うなら、のらない手はない。脳裏に彼女の笑顔が浮かぶ。
ああ、何はともあれーー
「後夜祭が楽しみだ。」
「…で、なんでいるんですか?」
「少し緊急の用だったからな。今年は生徒会の仕事もないし来たまでだ。」
文化祭二日目の朝、圧倒的デジャヴ。端にいる灯も私の様子を見てヒヤヒヤしている。それでも気にしない黒髪ウェーブはドリンクを注文する。
「昨日も思いましたけどそんなに、私が必要系な用なんですか?ていうか私じゃなくてもよくありません?また生徒会勧誘みたいなのはごめんなんですけど。」
「いや、そういうものではない。儚日にしか頼めないもっと個人的な問題だ。ふははっそれを昨日から心配していたのか。」
ゲーム攻略のハッピーエンドでしか見せない笑顔をこんな場面で見ることになろうとは。
「とりあえず、シフトが終わったら場所を移させてもらえないか?」
そう言われて私は止むを得ず、溶定について行くことになった。これで殺されたらジ・エンドなわけだが、なんだかこの人は前世とは違う感じがするっていうか。まあそんな直感的なものを信じてはいけないよな。ついて行くと決めたなら完全ガードでいかなければならない。
ガチャッ
連れてこられたのは生徒会室の奥の空き部屋だった。
「一瞬ビクッとしたな。安心しろ何もしない。儚日はコーヒーは飲めるか?」
この部屋を溶定は私物化しているのか慣れた手つきでコーヒーを作る。いい感じに部屋にコーヒーの香りが広がる。
「で、その…今回は儚日に相談があってだな。」
私を座らせた机の向かいに座り、柄にもなくもじもじと動く。その様子すら様になるのはなんだかムカつく。この人が望まなかったからか茗荷谷と違って前生徒会長が溶定だと知る人は少ない。でもこの見た目だったら茗荷谷くらいファンはついていただろう。もはや前世の恐怖よりも前世と現世での怒りのが勝るようになってしまったため、少々強気な口調になる。コーヒーはおいしかった。
「なんですか、女の子ですか。そんな恋の相談みたいな雰囲気で。」
ガタンッ!!
思わずビクッとする。いきなり溶定が立ち上がったのだ。
「なっ、その…いや。」
よく見ると顔を真っ赤にさせている。あららビンゴみたいだ。こんな男に好かれる女性、どんな美形なんだか(ヤンデレルート入ったらご愁傷さまだけど)。…ん、待てよ?現世のユーリは好きな人いるの?私はぴょんと立ち上がり、赤い顔のままの溶定の両手を自分の両手で包み込む。
「えっ!その話!詳しく聞かせてください!!」
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