目が覚めたら異世界でした。

ろあ

旅。

死んだはずの時間から15分経過した頃。

街の大通りは賑やかだ。
それに比べ星は途方に暮れていた。

『なんで死ねないの、生きても意味なんかないよ』
ずっとこんな事ばかりを考えていた。

『おぉお嬢ちゃんどうしたんだい?』
誰かに呼ばれて顔を上げた星の目の前に鎧を着て完全武装のスキンヘッドのおっちゃんが立っていた。

星はびっくりしてひっくり返りそうになった。
頭にはキラーンと言わんばかりに輝いて日焼けした頭はゴキ●リのように黒光りを見せていた。

『お嬢ちゃんこんなところで何をしてるの?』
心配そうに話しかけてくれる見かけによらず優しいスキンヘッド。

『あ、あぁぁぁ、だ、大丈夫です…』
恐怖のあまり声が出ず全然大丈夫そうに思えない。

『何がともあれここではあれだ。ギルドに行って酒でも飲みながら話すか!』

『ギルド?』内心ゲームも全くやった事がない星はギルドってなに?と疑問に思っていたがお酒は好きな為スキンヘッドのおっちゃんに付いて行くことにした。

『ほら!ねぇちゃん一緒に飲もうぜ?
俺この前の討伐クエストで財布温まってるからよー!!
な?いいだろ?』
酔っ払いの冒険者がギルド内で働いてる女性に飲みのお誘いをしていた。

『ごめんなさい私まだお仕事の最中なので!!』

『連れねーなー』

ギルドの中はすごく楽しそうで冒険者がビールを片手に宴会をしているようだった。

『まぁーあれだとりあえず座んな』
そう言われて星は少しギシギシ唸るベンチに腰を下ろした。

『ねぇちゃーん!こっちにビール2つくれー!
ビールを飲みながら話ししよか!』
なんて優しくて男のらしいんだろと思い少しにやけた星。

『かんぱーい!!』
勢いよく乾杯をしゴクゴクとビールを飲み干した。
『んでお嬢ちゃんどうしたんだい?
このギルドマスタークストガオスに言いなはれ!』
名前の面白さと顔に似合わないギルドマスターの称号に思わずニヤついてしまう星。

『えっとですね…』そう言って元彼に振られた話し、自殺しようとして今に至ることをクストガオスに伝えた。

『お嬢ちゃん大変だったな
でも命は1つだけもっと大切にしないとダメだぞ!こうやって巡り会えたのも生きてるからこそだ!嫌な事なんか今は忘れて今日は飲み明かすぞ!!!』

『そうですね!』
とニコっと笑ってビールを豪快に飲んでたその時…

『ギルドとやらはここか!?』
ギルド内が静まり返る大声で叫んだのは星が異世界に来る前日に星を振ったあの男だったのだ…

つづく

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