異世界のダンジョン講師
神の爺さん、略して神爺
「ハァ、ハァ、ハァ・・・・・・。お主と話してると疲れるわい」
神爺は息を切らしていた。神の爺さんだから略して神爺。俺は心の中でこの爺さんをそう呼ぶことにする。
「おい、爺さんの吐息なんて需要ないと思うぞ」
「いやだからお主のせいッ!・・・・・・いやもう漫才はいいわい」
そう言って話題を変えようとする神爺は呼吸を整える。
「オホンッ!では仕方がないのでもう一度説明するとしようかの」
「はい、お願いします」
ようやくまともな会話が始まる。
「いいか、お主にはこれから異世界に行ってもらおうと思う」
まともじゃなかった。ていうかこの爺さん自分を神とか言ってたな。そもそもまともじゃなかったわ。
「いいから話を聞けい!」
今度は思考を読んだようだ。突然のツッコミが入る。
「これからお主には異世界にいってもらおうと思う。もちろん行くかどうかの選択はお主次第なのじゃが・・・・・・」
「あ、じゃあ辞退しまーす」
「うぉいッ!」
選択権があると聞いた時点で俺の選択はノーに決まっている。神爺の続いていたであろう話を遮り、すかさず返事をする。
「だから、お願いだから最後まで話を聞いて下さい」
自称神が俺の言動にお願いだから黙っててと遠回しに懇願してくる。その懇願に俺は黙って首肯した。
「ええ、では気を取り直して。お主には異世界にいってもらおうと思う。もちろん行くかどうかの選択はお主次第なのじゃが・・・・・・」
そこから続く神爺の話は突拍子のないものだった。なんでも魔法や魔物、迷宮や獣人にエルフやドワーフといった多種族が存在する世界。そこでは長年続いていた人間と魔族の戦いに終止符が打たれ、和睦という形で戦いが終わったらしい。
しかし、そこで問題となるのは資源の争奪。人間は魔族から魔石を奪うことはできず、魔族は人間から食料を奪うことができなくなった。だが、彼らはこれからの和平のためにも新しい可能性を模索し続けたらしい。それが迷宮。尽きることなく湧いてくる魔物は魔石を持ち、その素材は食料や生活用品としても利用できる。そして魔族と人々は互いに手を取り合い迷宮を生計の一部として組みこもうと魔族と人種を混ぜた新しい迷宮攻略冒険者養成学校を作ったらしい。
「しかしその学校がうまくいっとらんでの〜」
人間には人間の、魔族には魔族の価値観や戦い方がある。それまでの戦いで先入観を持ってしまった親に育てられた子供たちもまた、その先入観にとらわれてうまくいってないらしい。
「そこでお主の出番じゃ!」
「はぁ?なんで?」
確かに死んだ両親の背中を追い、日本では教師になるべく教職を取るために大学に通っていた。しかし、俺はまだ大学を卒業してない。バリバリピチピチの二十歳だ。
「正確にはお主のお姉さんに依頼をしたかったんじゃが、親はもう他界しておりお主の家族は姉一人。そこで一人にするのが可哀想だとお主もついでに連れてきたというわけじゃ」
「ついでだと⁉︎」
俺より3歳上の姉さんも教員だった。小学校の教員試験も一発合格、真面目で厳しくはあるがすぐに才覚を表し、そのカリスマ性で保護者も生徒を引っ張っていた。
例えば姉が就任一年目でちょうど行われた全国学力テスト。そのテストでクラス平均を全国トップ10に入るほど、1ヶ月で伸ばした猛者だ。さらに無理な勉強をさせたのではないかと文句を言いにきた保護者を完全論破して黙らせるという現代にはなかなかいないタイプの教師でもあった。
「まあ、お主らのその境遇で儂の罪悪感が少なくなる、というのも一つの理由じゃが」
絶対にこっちが本音だ。どこか視線をそらしてそういう神爺に俺は全てを悟った。
神爺は息を切らしていた。神の爺さんだから略して神爺。俺は心の中でこの爺さんをそう呼ぶことにする。
「おい、爺さんの吐息なんて需要ないと思うぞ」
「いやだからお主のせいッ!・・・・・・いやもう漫才はいいわい」
そう言って話題を変えようとする神爺は呼吸を整える。
「オホンッ!では仕方がないのでもう一度説明するとしようかの」
「はい、お願いします」
ようやくまともな会話が始まる。
「いいか、お主にはこれから異世界に行ってもらおうと思う」
まともじゃなかった。ていうかこの爺さん自分を神とか言ってたな。そもそもまともじゃなかったわ。
「いいから話を聞けい!」
今度は思考を読んだようだ。突然のツッコミが入る。
「これからお主には異世界にいってもらおうと思う。もちろん行くかどうかの選択はお主次第なのじゃが・・・・・・」
「あ、じゃあ辞退しまーす」
「うぉいッ!」
選択権があると聞いた時点で俺の選択はノーに決まっている。神爺の続いていたであろう話を遮り、すかさず返事をする。
「だから、お願いだから最後まで話を聞いて下さい」
自称神が俺の言動にお願いだから黙っててと遠回しに懇願してくる。その懇願に俺は黙って首肯した。
「ええ、では気を取り直して。お主には異世界にいってもらおうと思う。もちろん行くかどうかの選択はお主次第なのじゃが・・・・・・」
そこから続く神爺の話は突拍子のないものだった。なんでも魔法や魔物、迷宮や獣人にエルフやドワーフといった多種族が存在する世界。そこでは長年続いていた人間と魔族の戦いに終止符が打たれ、和睦という形で戦いが終わったらしい。
しかし、そこで問題となるのは資源の争奪。人間は魔族から魔石を奪うことはできず、魔族は人間から食料を奪うことができなくなった。だが、彼らはこれからの和平のためにも新しい可能性を模索し続けたらしい。それが迷宮。尽きることなく湧いてくる魔物は魔石を持ち、その素材は食料や生活用品としても利用できる。そして魔族と人々は互いに手を取り合い迷宮を生計の一部として組みこもうと魔族と人種を混ぜた新しい迷宮攻略冒険者養成学校を作ったらしい。
「しかしその学校がうまくいっとらんでの〜」
人間には人間の、魔族には魔族の価値観や戦い方がある。それまでの戦いで先入観を持ってしまった親に育てられた子供たちもまた、その先入観にとらわれてうまくいってないらしい。
「そこでお主の出番じゃ!」
「はぁ?なんで?」
確かに死んだ両親の背中を追い、日本では教師になるべく教職を取るために大学に通っていた。しかし、俺はまだ大学を卒業してない。バリバリピチピチの二十歳だ。
「正確にはお主のお姉さんに依頼をしたかったんじゃが、親はもう他界しておりお主の家族は姉一人。そこで一人にするのが可哀想だとお主もついでに連れてきたというわけじゃ」
「ついでだと⁉︎」
俺より3歳上の姉さんも教員だった。小学校の教員試験も一発合格、真面目で厳しくはあるがすぐに才覚を表し、そのカリスマ性で保護者も生徒を引っ張っていた。
例えば姉が就任一年目でちょうど行われた全国学力テスト。そのテストでクラス平均を全国トップ10に入るほど、1ヶ月で伸ばした猛者だ。さらに無理な勉強をさせたのではないかと文句を言いにきた保護者を完全論破して黙らせるという現代にはなかなかいないタイプの教師でもあった。
「まあ、お主らのその境遇で儂の罪悪感が少なくなる、というのも一つの理由じゃが」
絶対にこっちが本音だ。どこか視線をそらしてそういう神爺に俺は全てを悟った。
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