アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

205 カミラVSウォルター&ゲイル

 決闘開始の合図とともに、エリアDの所々で衝突が生まれる。その中でも、最も速くぶつかったのは──

「グッ! いきなりかよ!」
「さあウォルター! お前がどこまで強くなったか、久しぶりに私が見てやるよ!」

 ウォルターとカミラの刃だった。

「ファイア!」
「おっと・・・」
「今回は2対1だ。そこんところ忘れるなよおばさん!」

 しかし──

「誰がおばさんだコラァ! まだ見た目ピッチピチだろうが!」
「ピッチピチとかいう時点でおばさんなんだよ!」

 半分エルフ故になかなか年を取らないエドガーに釣り合う様、実は毎日美容には気をつけているカミラの神経をもう一人の決闘相手であるゲイルが逆撫でする。

「死に去らせガキが!」
「っと──」
「チッ・・・空間持ちか」

 あまりにも速すぎる剣筋。しかしゲイルは一瞬のうちに瞬間移動してそれを躱す。

「さてどうするウォルター。俺はまだコレ覚えたばっかであまり多用すると・・・」
「ああわかってる。それに母さん相手にこっちのスタミナが切れる前にっていうのは愚策だ」

 まだ呼び出してみせてはいないが、カミラには光精霊のキララがついている。

「私がそんなコソコソと相談する時間を──」
「マズイ! 一旦撤退だゲイル!」
「たく世話が焼ける!」
「やると思ってんのか!?」

 カミラが振りかざす刀から放たれた光の一閃。しかしその場所にウォルターたちの姿はなく。

「キララ! 索敵!」

 間髪入れずに、カミラはキララを呼び出して戦場の全てに索敵をかける。

「・・・いない? まさかあいつら」

 しかし──

「ナイスだゲイル」
「戦闘分の魔力も残しとかねぇと。とにかくここに隠れていられるのはせいぜい10分だ。ゲンガー座標固定しっかりしろよ」
「ケケッ・・・」

 あらゆる光の情報を感受するキララの索敵に引っかからない場所。2人はゲイルの亜空間に避難していた。

「まずは母さんの戦闘スタイルのおさらいだ。母さんの1番の得意な戦闘は剣術で属性は光。契約精霊はキララでキララはあらゆる光情報を読み取ってそれを母さんに伝えている」
「厄介だな・・・しかしここまでは」
「ああ。とりあえずここまで感知するのは無理だろう・・・」
「なぁにこれはリアムのアイデアだ。ゲンガーに向こうとの座標固定をさせればこうして話もできる」

 決闘にあたりメンバーの中でもそのバリエーションを増やそうと何よりも努力していたのがゲイルだった。そのゲイルにこのアイデアをくれたのはリアムで、実際こうして初っ端から大いに役に立った。

「2人とも流石だな。よしそれじゃあ、今の俺たちができる母さんにとっての不確実性を探していこう」
「ああ。まずは俺の瞬間移動。これにはさっきも反応が遅れていた」
「だがきっと今はキララを出してるからな・・・今度はおそらく一瞬怯ませることができる程度。あって体の可動域制限が生み出す間くらいで・・・」
「それでも・・・」
「次に・・・」

 ゲンガーが保つ亜空間の中、2人はカミラにとっての自分たちの不確実性、つまり想定外の不意をつける要素を洗い出して成功の可能性が高い優先度順に並べていく。
 
「あと一番成功する可能性があるのがウォルターの・・・アレだな?」
「ああ。母さんの場合は特に先入観がある分絶対に不意をつける切り札だ」

 おそらく、初代の中でも1番正攻法と相性が悪いのがカミラ。なぜなら素の実力ではウォルターもゲイルも圧倒的にカミラに劣っている。そして彼女は──

「・・・そろそろ時間だ。とりあえずコレでいこう」
「ああ。それじゃあ・・・」
「私から逃げようなんざ考えが甘いんだよ!」

 最もこの戦いの戦況が見えていて、空間すべてにツタを張り巡らせて敵を刺す茨の赤薔薇。

「・・・クソッ!」
「ガハッ!」

 カミラが放った光の一閃が森の木々を切り、少し離れた場所に出てきたゲイルとウォルターを迎撃する。

「やっぱ甘いな・・・私がわずかな空間の歪みを見落とすとでも?」
「・・・幾ら何でも速すぎる」
「まさに・・・光の一閃・・・」

 ゲイルを庇って剣閃を背中に受けたウォルターが地に膝をつける。

「さてと。まずは貴様からだ・・・私のことをそこらのおばさん呼ばわりしたこと後悔させてくれるわ」
「クッ」

 まるで悪者。少年の前で下卑気味の悪い表情を浮かべるカミラ。だが──

「っと。おいそりゃあずるいんじゃないかウォルター?」
「やっぱ避けるか」

 背中を切られ倒れていたはずのウォルターがカミラに背後からけしかけるが、刃はわずかなかすり傷をつけるだけで避けられる。また、そのウォルターの足元には、一本の小瓶が転がっており──

「ポーションか」
「ああ。これは今日のためにレイアが調合してくれたヤツだ。別にルールにはポーション禁止の明記はない。パーティーの力ってヤツだ」

 背中の傷は綺麗にふさがっていた。

「そうか・・・だったら」

 すると、カミラが腰にぶら下げているポーチから一本の小瓶を取り出すと──

「エドが作ったポーションだ。なぁにこれもパーティーの力。別に文句ないだろ?」
「きったねぇ・・・!」
「態とかよ・・・」

 その中身を飲んで、やっとつけたわずかなかすり傷を完治させる。同時にカミラはこれをしたかったがために、ウォルターの刃を自分の体にかすらせたのだと悟る。

「なあ。たしかにこの戦いはパーティーの名をかけたチームの戦いだ。だが同時に個の戦いでもある。だからこういうのはこれ以降もうやめにしないか?」

「ダサい戦いは好みじゃない」と、真剣勝負への外部性を極力排除しようとするカミラ。

「わかった・・・」

 同意。ウォルターはここはカミラに逆らわない。もし逆らったら、導火線に火がついて爆発寸前のカミラだ。きっと暴走する・・・家族だからこそよく知っている性分だ。

『作戦はここからが・・・本番だ』

 しかしウォルターはあくまでも強かに、はやる気持ちを押さえつけて今は冷静に戦況をみる。

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