アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

200 決闘準備2

「さてと。それじゃあ今日特訓を始める前に、一つお話があります」
「ん?昨日もう報酬の配当わけはしたでしょ? また何か・・・」
「あッ! さてはレガシーを貰えなかった私に何か特別にプレゼントとか!」
「ありません」
「ブーッ」

 ペガサスの契約石を貰えなかったミリアがプクーッと頬を膨らませる。

「ほらさ。決闘に当たってまだ決めてないことが一つあるでしょ?」

 アレを誰が受け取ったかというのはまだボクたちだけの秘密というわけで──

「特別枠だよ」

 リアムがそれを口にすると、皆があっとした顔でそういえばまだ、決闘ルールに書かれていた特別枠を誰にするのか決まっていなかったことを思い出す。

「そういえば、どちら様があちらの助っ人に入るのでしょうか」
「・・・わからない」
「だよね。全然想像つかない・・・」
「俺が年長者だし、できれば担当はしてやりたいが」
「そうだね。でもウォルターはどちらかといえばくじ引きの方に入ってもらった方がいいかな」

「役不足だ」と、頭を掻いて申し訳なさそうな態度をとるウォルター。

「でもね。それは決してウォルターが役不足だからとかじゃなくて」

 ここはフォローせねば。別に彼が役不足だから入れないのではなく、彼はこの中で一番戦闘経験が豊富で、まとめるのもうまい。実際に隣にいれば戦闘でも精神的にもとても頼りになるウォルターは、不確実性がより高いクジ引きの勢に入ってもらって、少しでも勝率を、全体の勝率を上げるために貢献してもらえればこれ以上心強いことはないから。

「まあ順当にいけば、戦闘能力がリアムに次いで高い者ということになるだろうが・・・」
「そうだね、それで言って適格なのは」
「つまり・・・」
「ふふーん」
「エリシアかアルフレッド。この2人のうちのどっちかだね」
「だな」
「よね」
「なんでよ!」

 このパーティーの中で2番目に多い魔力を持つミリアが自分が選考に残っていないことに対し噛み付く。

「だってミリアは何というか・・・危なっかしい」
「あ・・・危なっかしいってなによ!」
「ほらさっきリアムも言っていただろう。今回求められるものは格上の大人たちとの1対1に際し当然に強さだが、さらに言えばどこまで冷静に戦えるか。動揺せずに物事を処理できるか・・・」
「ガブッ!」
「ダァー噛み付くな! そういうところがダメだと言ってるんだーッ!」
「フンッ!」

 痛そうにミリアに噛み付かれたところにフーフーと風を当てて冷やすアルフレッド。あーでも、選ばれた君が言っちゃったらそうなっちゃうよね・・・御愁傷様。

「ということは、エリシア・・・」
「なあリアム。とりあえず今日はこの2人に絞っておいて、当日相手を見て決めるのも一手じゃないか?」
「そっか・・・うん。ウォルターの言う通りとりあえずここまで絞っておいて、後は当日相手を見てから決めよう」

 ウォルターに言われ、とりあえず選考を当日に持ち越したリアム。ちょっと焦りすぎていたかもしれない。やっぱりウォルターは頼りになる。

「それじゃあボクとアルフレッドとエリシアは1対1対1の3角戦でもしようか。他のみんなは2対2を繰り返して必ず一回は全員と組むこと。魔力回復ポーションはここにおいておくから、自由に飲んで。傷や体力の回復はレイアにお願いして・・・頼んだよレイア」
「うん。ありがとうリアム。頑張る」
「でもリアム。アルフレッドがそっちに行ったら2対2が2組はできないよ?」
「ああそっか・・・うんだったら、2対2と2対1のローテーションで。数はこの際おいといて格上と闘るっていう感覚を掴むのもまた、いい練習になると思うし」
「了解〜!」
「よぉーしそれじゃあ後4日! みんな頑張ろう!」
「オォー!」

 リアムの合図でみんなが一斉に声を上げる。

「ずるいよ2人とも! 組んだね!」
「そりゃあ俺たちのどっちかは2枠の方に入るわけだし」
「別に不思議なことじゃないわ・・・!」
「あっそう。だったら・・・イデア」
「ちょっとイデアと入れ替わって戦闘スタイル変えるのは──」
「ずるい!」
「魔法担当イデア・・・フフフこれも当日の役割分担の練習です」

 ▶︎▶︎▶︎

「フラジール! もう1段重ね掛けしてくれていい!」
「はい! あまり無茶はしないでくださいね!」
「ウォル兄はやぁ〜い・・・けど」
「ウォーター!」
「おっ! とっと」
「レイアが水で足を止めたところを──」
「クッ! あいっ変わらずすばしっこいよな・・・ラナは!」
「へっへーん! こっちはこけても完璧に治してくれる妹がついてるしね」

 ▶︎▶︎▶︎

「はっはっは! どうだキマイラがやっていたゲートフェイント戦法を真似たのだ!」
「ヒョコッ・・・ヒョコリ・・・」
「なんか・・・可愛くて攻撃できない・・・」
「行け我が手先ティナよ! その持ち前のスピードを我が魔法でさらに加速させてやろ・・・」
「・・・ドスッ!」
「ウゲッ!・・・なぜ俺を殴るんだ!」
「私のご主人様はリアムだけ・・・」
「しめた! ──雷砲!」
「ぎゃーッ! ゲート逸らし!」
「ッ! ちょっとあんたずるい! 小癪よ!」
「小癪でずるい」
「なんで敵だけじゃなく味方からも批判されねばならないんだ! あっ・・・ちょっと待って俺が悪かったからそっちに行かないで! 寝返らないでティナさーん!」

 とまあ、色々と起こった本日の特訓練習の一幕。果たして彼らは当日、格上の相手にどこまで追い縋ることができるのか──。

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