アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

199 決闘準備1

 果たし状が届いた日は日曜日だった。つまり後、5日間準備期間がある・・・のだが。

「ボクとウォルターだけ・・・か」
「しょうがないさリアム。ミリアは自宅で勉強、他はみんなスクールがある」

 日中集まれたのはたった2人。他のメンバーたちは勉強があるために放課後からしか本番に向けた練習ができない。

「でだリアム・・・今朝わかったことでその一つ、相談があるんだが・・・」

 すると──

「コレってもしかして・・・」

 ソワソワとしたウォルターに連れられて、リアムは一度ダンジョンの交換所へと向かう。

「・・・コレはちょっとマズイかも」

 リアムはウォルターに確認するように言われ、モニターの先日討伐したキマイラの素材およびドロップアイテムのラインナップを確認して呟く。

「どうしよっか・・・あれ」

 モニターのある個室から出たリアムが、ウォルターに相談する。

「他の素材も十分に高価だが・・・」
「だよね。だけど・・・」

 とあるドロップアイテムをラインナップの中に見つけてしまった2人は「揉めるだろうな〜」と声を合わせてため息をつくと、しばらくだんまりと頭を抱える。
 2人が先日のボス戦報酬の中に見つけたものはおそらく・・・いや絶対にソレを巡って、パーティー内で1つの小戦争いがおきそうなほど超がつくレアなアイテムだった。

『どうしようこれ・・・とにかく1番騒いできそうなのがミリア、次いでゲイルか・・・』

 リアムは首をひねるように傾けて考える。一つしかないそのアイテムをどうやって配当するか・・・揉めない方法・・・を?

『そうだ! だったらコレは・・・』

 どうやらリアム、そのアイテムの扱いをどうすべきか思いついたようだ。その扱いは──

「とりあえずウォルター。放課後、みんなが集まってからまたコレをどうするか話そう?」
「まあ、結局ソレが一番か・・・」

 決闘を控え大事な期間の今、できるだけ揉めないようにとウォルターは先立ってリーダーのリアムに相談した。しかし結局は、みんなで話し合って決めるのがやっぱり一番か。

「それじゃあアレを引き出した後、自主練始めよっか」
「だな」

 兎にも角にも、今一番に優先しなければならないことは週末に向けての特訓。リアムとウォルターは例のアイテムを交換所で引き出し亜空間にしまうと、集合した本来の目的である特訓のため、エリアFに向かう。

 ・
 ・
 ・

──放課後。

「それで解散前に話ってなに?」

 まるで部活、特訓も終わりその内容は前世のものと比べれば過激すぎるが、へとへとになっているみんながリアムの元に集合する。

「・・・先日、キマイラを倒した時に落ちたドロップアイテムのことで相談があってね」
「あれ? エリアFのボス戦の報酬は次の日にって・・・」
「そういえば、次の日決闘の話があってすっかり報酬のことを忘れていました」

 説明ありがとうフラジール。そう、あの日はボクがイデアと入れ替わったせいでまた、帰還後は一騒ぎあったために報酬の確認は次の日にしようと集まる約束をしていたのだが、既にご存知の通りそのために集まった場で、決闘の話が挙がったためにうやむやとなってしまったのだ。

「で、わざわざここで相談って何かあったの?」
「そうだな。どうせなら交換所で話せばいいのではないか?」

 わざわざこんな荒野のど真ん中でそんな話をせずとも、ジックリみんなで報酬の内容を見て配当を決めればよいのではないかと尤もなことを言うエリシアとアルフレッド。

「まあなんと言うかなぁリアム・・・」
「ちょーっと交換所で話をするのはまずいかなと・・・で」

「件のアイテムを引き出して持ってきました」と、亜空間に手を突っ込む。

「コレなんだけど・・・」

 そして──

「なんだこの石っころ・・・」
「なにかの魔石・・・?」

 リアムが取り出して見せたものは透明の中に魔法陣のようなものが浮かんだ石、つまりは何かの魔石だった。

「で、この魔石はなんなの?」

 一様に不思議そうな顔でリアムの手に握られたそれを見る一同の中──
 
「・・・レガシーです」

 ミリアの問いに、リアムが答えを──

「レガシー・・・」

 ・・・。

「レガ・・・」

 ・・・・・・。

「レ」
「はぁあッ!?」
『あ、やっと反応した』

 1回目はちょっと溜めて。2回目は繰り返し3回目になるとちょっとみんなの沈黙にビビったリアムが途中で言葉を切ってしまい4回目。ようやくリアムが告げた内容を飲み込んだみんながそれを吐き出してしまいそうな勢いで叫ぶ。

「れれれレガシーって・・・!」
「あのレガシーッ!?」

 リアムに迫ってくるメンバーたち。

「まさかまた、リアムが作ったなんちゃってレガシー・・・とかじゃないのよね?」 
「違います・・・なになんちゃってレガシーって」
「だってこのポーチ作ってくれた時にニカに嘘ついてでっかい魔石作ってたじゃない」

 ああそういえば、そういうこともあったっけ。

「そそそそれで! 一体どんなレガシーなんだ!?」
「・・・契約石」
「契約石!?」
「契約石?」
「契約石って・・・?」
「召喚石は知ってるけど・・・」
「契約石はな。その名の通り魔石に封じ込められている魔法陣から召喚されるモンスターと契約できる石で──」
「召喚石との違いは名前の通りに召喚か、契約か。召喚されたモンスターは召喚されている間使役され、召喚が終わると去っていく」

「それでもレアな魔道具だがな」と、説明するウォルターとリアムの隣でベラベラとウンチクをゲイルが語り始める。金が絡む情報には強い・・・まあそっちは誰も聞いていないのだが。

「一方契約石は特別で、通常モンスターとの契約にはスキル《テイム》が必要となる。世の中にはテイマーという職業もあるが、《テイム》のスキルを持っている者はそこそこいても相性の良いモンスターとではなければ契約することが難しいために強いテイマーは希少なんだよね?」
「そうだ。あと《テイム》を持っていれば召喚石で召喚したモンスターと契約を結ぶっていう裏技もあるんだが・・・」

 契約したモンスターであれば、名を呼ぶだけで召喚陣が形成されて手軽に且つ低コストでいつでも召喚して使役できるようになる。道具、つまり魔法陣などを介さなければならない召喚と、呼ぶだけでお手軽に呼び出せる契約とでは天と地ほどの差、大きな違いがあり効果も価値も一線を画している形態。

「使うだけで誰でも対象のモンスターと契約ができる超がつくほどレアな魔道具だ」

 テイムのスキルが必要なく、誰でも召喚対象のモンスターを呼び出し契約できる契約石はタダでさえ高価な代物なのだが。

「それで、一体何のモンスターとの契約石なんだ?」

 契約石のとりあえずの説明が終わり、アルフレッドが今回手に入れた契約石のモンスターの名を聴く。

「ペガサス」
「・・・え?」
「ペガサス・・・」
「・・・」
「ペガサ・・・」
「・・・」
「ぺ・・」
「・・・」

 皆流石に驚き疲れたのだろうか・・・。驚き先ほど同様の沈黙は見せるもののそれまで、声を荒らげて驚くことはもう・・・──

「契約石というだけでも希少であるのに、それがよりによってもっと希少なペガサス。価値にしたら・・・軽く億は超えるぞ・・・」
「億・・・」
「はぁあ〜・・・」
「・・・! しっかりしてレイア!」

 ウンチクから合流したゲイルが口にした途方もない金額に、一般的な金銭感覚を持ちながら常識人であるレイアがため息を吐きながら倒れてしまう。

「ちょっと鑑定してみてもいいですか?」
「いいけど・・・」
「なにか問題が・・・?」

 一方、意外と冷静だったのがフラジール。まあ彼女は、領地もちのアルフレッドのお付きだから、こういう大金には慣れていたりして・・・──

「いや、問題というわけでもないんだけどね」

「とりあえずどうぞ」とリアムから石を手渡されると・・・──

「フラジール?」

 一瞬にして硬直してしまった。

「リリリリアムさん! こんな高価なもの私持ったことがないので・・・」
「ああ、わかった。ボクが持ってるから・・・」
「はい。ありがとうございます」

 どうやら数字として感じる感覚と実際に実物を手に持つ感覚というやつは違うようで、震えるフラジールから再度石を受け取る。

「鑑定・・・」

 そして──

 ペガサスの契約石:英雄と怪物の決戦に間に合わなかった天馬 天馬は己の俊速の怠慢を知り次は間に合うようにと英雄に生涯の忠誠を誓う

「変な説明文・・・ですぅ」
「でしょ?」

 見えた契約石の説明文を読み上げたフラジールが首をかしげる。

「多分その英雄っていうのが契約者? でいいのよね?」
「たぶんね」
「それじゃあ今回のMVPがやっぱり・・・」
「じゃあ私ね!」
「じゃあ俺だ!」
「・・・・・・」
「何でみんな顔逸らすの(んだ)よ!」

 エリシアとリアムの会話に途端食いついてきた自己主張の強いミリアとゲイル。まあたしかに、今回彼らが非常にいい働きをしたのは事実だが──

「だったらリアムよね」
「だな。たしかにちょっとワンマンだったが結局」
「一番危険で──」
「魅せたのはリアム・・・」

 MVPならやっぱりと、リアム選ぶ他の皆。ただみんなどこかソワソワしているというか、ウズウズと体が疼くのを抑えているというか。

「まあまあ。その決め方じゃあ揉めそうだから」
「・・・じゃあどうするのリアム?」
「うん。そこで一つ、みんなに提案なんだけど」

 ちょっと落ち着かないみんなにリアムが辞退をほのめかしつつ、ある一つの提案をする。それは──

「今回はね。──にこれを貰って貰おうと思うんだ」

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