アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

195 公開・・・求愛?

「はぁ・・・生きてる」

 ギリギリ・・・本当にギリギリミリアが殴り飛ばした電磁砲を避けたリアム。

「・・・あれ、刀」
『紙一重でしたね。マスター』
「・・・こんなはずじゃなかったんだけどね」

 かの英雄は怪物キマイラの口に鉛のついた槍を放り投げて自らの炎でそれを溶かさせ窒息死させた。炎を吐く生き物だからこその弱点であり、気道をふさいでしまうこの作戦は今回も有効だと思い皆に提案し、鉄を提供して投擲を任せた。

「ちょっとねぇ何今の──!」

 リアムは地についた体を起こし、みんながいる場所まで戻る。

「なんで殴り飛ばしちゃったの!? 口はなんとかこっちで開けさせるって言ったじゃない!」

 そして問いただす。ライオンの開口は自分がなんとかするつもりだった。空間属性魔法で無理やり固定しても、尾の蛇を踏んででも。しかし──

「だってね。ライオンの口を塞いだところで、蛇や山羊も呼吸してるじゃない」
「・・・あ」

 リアムは口を開けたままに固まる。それは・・・盲点だった。というか、無理だったら無理だったでみんなよく頑張ったでしょうってことで最後、手加減なしの魔法でも打ち込めばなんとかなるかなと、実は裏ではそんな甘い見通しをしていたりいなかったり・・・。

「フフフ・・・」

 他のみんなも、リアムの質問に答えたミリアの後ろでニヤニヤとしている。

「と、とにかく! どうして何も言ってくれなかったのさ!」 

 とにかくと、自分のことを棚に上げて、とにかく射て仕留めるなら何故事前に知らせてくれなかったことに対して抗議する。

「だってさ・・・」
「ね?」
「うん。そうだよね」

 が、リアムが焦る一方、皆は顔を合わせて何かを確認し合うと──

「だってリアムなら、絶対に避けられるって思ったんだもん」
「・・・へ?」

 一斉に声を合わせて、リアムへの固い信頼を──

『あの・・・少し質問なんですけど、ライオンの口を塞いだだけで本当に倒せるのかな?』
『なんでレイア?』
『・・・だってあのモンスター。ライオンの頭の他にも蛇とヤギの頭があるから・・・』
『あっ・・・』
『もしかしてリアムは結構一か八かに作戦を考えているというか・・・』
『もし倒せなくても、最後は火力で押してしまえばなんとかあるんじゃないかって?』
『そうか・・・それでいえばリアムにはなんというか・・・キングトードの時の前科があるし』
『けど失敗したらどうするの?』
『だったら──』
『そうね。失敗しても、リアムがまたもう一度試してみようって言ってくれる技を試してみればいいんじゃない?』

 台詞にする。

「・・・はぁ」

 これにリアムは──

「いやでも報連相は連携の基本でね・・・?」
『信頼厚くて羨ましい限りです。なんなら入れ替わってくれれば、その賞賛は私が素直に受け取らせていただきますが?』
「・・・わかったよ。ボクが悪かった!」

 たまらず、両手を胸の前に皆に謝る。

「やっぱりボクがもっとみんなに頼るべきだった・・・心のどこかで、最後はパッと高火力の魔法で始末しちゃえばいいやとかって思っていたかもしれない!」

 そして頭を下げる。すると──

「ほーらね! もーリアムったらしょうがないな!」
「やっぱりだったね」
「たしかに今回、俺たちじゃあ役不足だったかもしれないが」
「だな。どう考えてもまず追いつけなかった」
「けど・・・トドメは刺した!!!」
「そうね。まあそれも、リアムが出してくれた鉄と足止めのおかげだけど」
「それでも、ちょっとだけ寂しいですよリアムさん」
「はっはっは! だから今回お前が出した武器の代金は・・・!」
「ゲイルもち・・・」
「はぇ!? いやそこはリアムだろ!勘弁してくれよティナ!」

 どうやらみんなには既に、リアムの慢心は見抜かれていたらしい。

「だが、倒せたな」
「そうだね。みんなの力があってこそだよ。ごめんね」
「そこはありがとうでしょ。仲間なんだから」

 これにはリアムも、たまらず脱帽する。思わずまた、謝ってしまった。

「すごいすごいすごーい! なんだったんでしょうかあの途轍もない攻撃は! あれが世に聞く砲撃というやつなのでしょうか! 兎にも角にもアリエッタの勝利です!」
「うぉぉぉぉお!」
「あらあら。リアムくんが謝ってるわ・・・」
「うーん。別に彼が謝る必要は・・・」
「そうですよね。外から見れば立派な分業だったと思うのだけれど」
「それでもあの子達にしかわからない絆があるのよ」
「やっぱりまだまだみんな、子供ってことなのかしら〜ん」

 一方、リアムたちの勝利に沸く会場で、パーティーの皆に誤っているリアムを見て首をかしげる保護者たち。大人には大人の割り切りが、子供達には子供達なりの勝利への貪欲がある。

「今度の最後はみんなで、全力で勝とうね」
「おう! お前だけ危険なのはもうなしだ!」

 そして、リアムは再び仲間達と固い握手を交わす。でも本当に今回は許してほしい。なにせボクにとってもみんなにとっても、イレギュラーすぎる対面だったのだから・・・──
 だが──

「・・・リアム」

 しかし、この戦いの結果を受けて一人、彼らの勝利を歓迎できない者が一人・・・──。

「いったいリアムのさっきのあれはどういうことだウィリアム。それにヴィンセント」
「・・・ブラームス様。一体どういう意味の質問でしょうか・・・」
「いいさヴィンセントさん。このジジイには後で俺から話す・・・」
「・・・!・・・そうですか」
 
 何かに、そうリアムとブラッドフォード家の間に結ばれた何かに、よりによってこのタイミング、アウストラリア王国が公爵・ブラームス・テラ・ノーフォークが勘付いてしまった。

『ついに、お前に色々と話さなきゃならん時がきたか・・・それに──』

 そしてウィリアムは沈黙する。ついに迫る約束の日。しかしその前に、リアムと──

「ピトッと。腕を取り、少し慎ましいですが胸の間に押し付け、私からの求愛を表現します」
「へっ・・・?」
「どうですか? 興奮しましたか?」

 しかし次の場面──

「ちょっとヨンカさんなんでリアムにくっついて・・・求愛!?」

 ・
 ・
 ・

「はっ?」

 突然スクリーンに映った次のワンシーンに、戦場にいたメンバーはもちろん、会場中の全ての観客達が首をかしげる。そして──

「私にとって強さとは全て。人生のテーマといっても過言ではない」

 急にヨンカが語り出す。いや、実際にはエリシアの「求愛!?」というなんとも驚きに満ちた返しに応えている結果なのだが──

「そして今私の隣には、今までに見たこともないような魔法や武器を使い、あの私でも勝てなかったであろう化け物を倒した男の子がいる・・・なら、その子の種。つまりはその子の子供が欲しいと思うのが摂理」
「ちょ、ちょちょちょちょっと待って! ね、一旦落ち着こう!」
「な、ななな何いってるのヨンカ姉!」

 やはりそれはどう考えても急な事であった。当人であるリアムはもちろん、アリエッタのメンバー、そして会場にいるナノカ含め全員が慌てふためく。

「そ、そうよ! そんな勝手な論理でリアムとの交際なんて認められるわけが──」

 到底自体を飲み込めるスピードではない。だからもちろん、彼の秘密の婚約者であるエリシアが異議を唱えるのだが──

「ナノカリッカそしてイツカとこの映像を遠くコンテストの会場で見ているであろう妹達よ。私はこのリアムと結婚することを決めました」
「結婚!?」

 ヨンカの暴走は止まらない。

「うぉおおお! ふざけるなリトルウルフー! 俺らのヨンカちゃんを・・・ヨンカちゃんを・・・!」
「ふざけるなはこっちのセリフよ! 私たちのリアム様に求愛なんてうらやま・・・おこがましい!!!」
「みなさん落ち着いて! お願いですから落ち着いてくださいよー!」

 突然起こる会場中からのバッシング。それもそのはずで、なぜならこの会場中の約40%がリアムのファンクラブまたは隠れファンをしている人間で埋められており、またその実に10%ほどが、エリアFのボス戦には毎回登場するヨンカのファン。そこそこ名の知れた実力を持つパーティーが倒せなかったキメラを毎回鮮やかに狩ってみせる彼女にもまた、結構なファンがついていたのだ。

「あぁん!? やんのかこのショタコンども!」
「やーね男って。凄んでれば相手がなんでも言うこと聞くと思ってるの!」
「そーだそーだ! だいたいあんたらあれでしょ! エリアFで負けた挙句にあの泥棒猫のファンにジョブチェンジした負け犬なんでしょ!」
「グッ・・・なぜそれを」

 両者の恋敵への罵倒が止まらない。まあ優勢は、圧倒的にリアム勢なのだが。


 ・・・”Congratulations Challengers?”

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