アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

190 ヨンカ

「マッドショット!」
「ゲート!」
「プゴォ!?」
「よし! やったね!」
「デイジーの土魔法をゲイルのゲートで送り動きを鈍らせる・・・いい連携だった」

 ボクたちの3度目のエリアCボスへの挑戦はなんら危なげなく終わった。
 
「今日は放課後に100km魔法マラソンね」
「「えぇー・・・!」」

 そしてそれから1月・・・

「重い・・・」
「そりゃあ体格差があるからな・・・年長者としてそう簡単には負けねぇ!」

 2月の時間が過ぎ──・・・



──3ヶ月後。

「ついにここまできたわね」

 時期は年をまたぎ冬、今回はアースの季節と同じく雪景色が見事にマッチする霊峰コルトの入り口の前。

「ふふふん見なさいこのモコモコを! もう同じ轍は踏まないんだから!」

 今回はリアムのみならず、パーティー全員でかなり念入りに準備を進めてきた。

「今から戦闘しにいくのだから、流石にその格好はないだろう」

 なにせ次のボスはラスボスの一歩手前。初代アリアでも勝てなかったラスボスの前座である。

「みんな・・・ここで少し報告なんだが・・・」
「なにウォルター? 改まって・・・?」
「実はだな・・・ニカが身篭った」
「「はぁ!?」」

 まあ、それにしてはあまりにも緊張感にかけるのだが。

「お、おめでとうウォルター!」
「う・・・嘘でしょ。この歳でおばさん・・・」
「ラナ姉はまだいいよ! 私なんてまだ10歳・・・」
「レイアはおばさんじゃ・・・ない」
「ああねティナちゃん。この場合のおばさんっていうのは叔母さんの意で・・・」
「・・・?」
「ゴメン。説明下手で・・・」

 ラナとレイアのおばさん談義はさておき、これはかなりめでたい報告だ。

「なら勝たないとね」
「ああ。絶対に勝とう」

 そして益々、負けるわけにはいかなくなった。

「・・・こんにちは。アリエッタの皆さん」

 名峰の入り口の前、その門を守る番人のように中央に立つ一人の少女。彼女の名は──

「私はヨンカ。このエリアFのボス戦場への案内人にして、エリアGコルトの番人。ちなみにエリアFのFは・・・」
「Final border。最後の境界・・・」
「・・・ご存知でしたか」

 〜カ姉妹の4番目にして一番の実力者・・・いや、実際にはイチカの方が実力は上なのだが、彼女もまた、このFinal border を案内するにふさわしい実力を持ち合わせているということだ。

「皆さん初めまして・・・あ、リアムさんはお久しぶりです」

 が──

「へっ? あの・・・どこかでお会いしたことありましたっ」
「ちょっとリアム・・・?」
「あんた一体どういう経緯でこの子とお知り合いになったのかしら・・・?」

 なんと早々に、ヨンカから理解不能の発言が飛び出す。そういえば前にこの子のあまり良くない愚痴をミカに聞いたことがある。まさか本当に──

「リアムさんとお会いしたのは3ヶ月ほど前。その時はここに辿り着き次第早々に気絶されて、カミラさんが介抱するためにあなたを運び去ってしまったので、覚えていないのかもしれません」

・・・なるほど。そういえば、こんな女の子の姿を気を失う間際にみたようなみなかったような・・・──

「な、なるほど! ボクはそういえば前ここに辿り着いてスグに気絶したや! ・・・ということらしいから、エリシアにミリアも・・・ちょっと離れて・・・ね?」
「・・・なるほど」
「・・・命拾いしたわね」

 命拾い!?・・・とにかく、リアム自身がはっきりと面識を持ったことも、この2人が疑っているようなやましい事実もなかったわけだ・・・はは。

「エリアFのボス戦場への行き方は単純です。そこの台座にそれぞれ戦いの証を捧げ、コルトへ祈るだけです」

 それから早速、ヨンカからのエリアFのボス戦場への説明を受ける。見ればヨンカのいう通り、そこには3角形を描くようにそれぞれの頂点を冠する3つの台座が見え──

「トードの魔石」

 一つ。初めての戦いの証。

「ゴブリンの魔石」

 二つ。悪戯の知恵の証。

「オークの魔石」

 三つ。血と肉の記憶の証。

「これでいいのかな?」
「はい。あとは代表者が一人祈るだけです」

 三つの台座に置かれたそれぞれの魔石を確認して、ヨンカが頷く。ちなみにこれらの魔石は、それぞれボス戦に勝った後に手に入れたモンスターたちの中から出てきた素材。魔石というのは既にリアムが暴いてしまったように、魔力を圧縮し圧縮した末にできるものなのだが、この魔石がモンスターたちの体の中でなぜか生成されることがある。もちろん、通常のエリアで同モンスターたちがこれを落とすことがあるのだが、なぜかその通常入手の魔石を使ってもこの台座は反応しないのだとか。つまり──

「誰が祈る・・・?」

 リアムは振り返って、皆に問う。それがまるで自然の流れのように──

「それはもちろん!」

 エリシアが──

「・・・リアムが」

 ティナが──

「「リアムが!」」

 ウォルターにラナが──

「リアムが」

 レイアが──

「リアムさんが!」

 フラジールが──

「俺ガァはぁ!?・・・──リアムが」

 ・・・ゲイルが──

「「リアムが!!!」」

 アルフレッド、エリシア、ミリアが。

「それじゃあ、失礼して・・・」

 よって、チームリーダーであるリアムが台座の前に、3角形からひし形を描くように座る。そして──

「文句は・・・」
「それは自由です。ようは戦いたいという意思が届けば、なんとでもなります」
「わかった」

 ちょっと後ろに立つヨンカに祈り文句に決まりはないのかを確認する。

『どうか我らに、成長のための道をお開きください』

 これまでも、いくつかの壁にぶつかってきた。

『ここにいるみんなはボクにとって、とても・・・とても大切な友であり仲間。ならば──』

 たくさんとは言わない。しかしとても厚い高い壁であった。

『我らに鍵の祝福を。あとは自らで開き、歩んでみせます。我らの健闘を見守りください』

 ならば今度はその壁に境界を。開くための鍵と鍵穴をください。

「鍵と鍵穴・・・ですか。それにこちらも初めて見ました。言葉には出さないんですね」

 文句を言葉にせずに祈る。通常、今まで見てきた代表者は、チームの士気を上げるためにも文句を口にしていたのだが──

「ちなみに、先立つ前に一つ注意して置くと、エリアFのボスモンスターは祈りを捧げた祈祷者の実力に合わせて力を多少変化させますのでご注意を」

 このチームには、それすらも必要にないほどの信頼と──

「・・・へ?」

 実力があるのだろう。

「どうしたんですかみなさん? なんだか顔が蒼白と・・・あああくまでも、多少ですので・・・」
「「はっぁあ!?」」

 あれ? 何か彼に祈らせるとまずかったのでしょうか・・・?
 

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