アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

188 歓迎はされない・・・まあ仕方ないよね

「クゥ・・・」
「あれだけの偉業を成し遂げたのです。多少気が大きくなっても仕方のないことだと」
「ヤメて! 急に優しくするのヤメて!」

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──次の週末。

「その・・・なんだ・・・」

 エリアCのキャンプにて。

「すまなかったデイジー。俺はあいつに対抗したくて・・・お前に不正を働くように言ったのは俺自身の弱さのせいだ」
「・・・・・・」

 デイジーの前で、頭を下げるゲイル。

「ちょっとなんであいつがいるのよ!」
「あれ? ミリア面識あったの?」
「まあ、ね・・・あいつ父親と城に来てることもあったから顔だけは知ってるのよ・・・あいつはリアムを昏睡状態にした張本人でしょ!?」
「いや別に間接的に原因の一つがあるだけで、張本人とまでは・・・」
「デイジーさんを誘った時なぜでしょうって思っていましたけど・・・」
「そうだな。しかしまさかあの2人を仲直りさせるためだけに一緒にここまで連れてきたわけではあるまい」
「そうね。何を企んでるのリアム・・・」

 するとこちらでは、なぜここにいるのかとゲイルを連れてきたリアムを問い詰める声が・・・

「いやその・・・ゲイルもさ。仲間に入れようかと思って」
「「はぁ!?」」

 当然といえば、当然の反応だ・・・うん。

「おいブラームス様やパトリック様に許可は取ったのか?」
「いいさ。きっと2人ならとっくにボクとゲイルが接触した情報くらいは手に入れてるんじゃないかな。それに──」

 アルフレッドからの質問。まさかの「なぜ?」ではなくそこから質問が来るとは。

「この前はいいように使われたんだから、ちょっとぐらい隅の手札かすめても文句ないでしょ」

 ・・・ということである。ウォーカー家を警戒していたのならもちろんその情報は入っているはずだし、入っていなければそれほどの優先重度でしかなかったということだ。

 それから──

「で、とりあえずリアムの決めたことだから間をとってあいつが正式な加入をすることはまだ検討するとして」
「・・・検討してくれるんだ」

 どういった経緯でゲイルを仲間に誘うことになったのか聞いたエリシアが、検討はする意思をみせる。だが──

「あいついったい何ができるの? 何か役に立つのかしら?」

 その質問が、まずかった。

「よくぞ聞いてくれた! オレの得意な属性は何と言っても超希少な空間属性! 多少の長距離移動ならば・・・」 
「それならリアムが使えるわね。それもレベルが段違いの」
「グッ・・・それじゃあ水と火の魔法はどうだ! 長旅には欠かせない便利な魔法だ──」
「も、リアムは使えるしなんなら他のメンバー達で補えるわ」
「ならば今は少し落ち込んでしまったが、それでもノーフォーク1の商家がバックに経済支援を・・・!」
「私、アルフレッド、それに公爵家のミリア。さらに言えばリアムはもう知ってるでしょうけど一人でかなりの額を稼いでるわよ」
「・・・俺に役目はないのか」

 よくぞ聞いてくれた! と張り切って話に参加してきたゲイルのアピールはことごとく魅力を相殺されていく。主にリアムによって・・・。 

「ま、話を総合した結果荷運びポーターがいいところね。はいそれで異存ない人ー」

 それにしても、エリシアの当たりが一番と強──

「「はーい」」

・・・い。リアム以外の他の全員が手を挙げる・・・微妙にデイジーまで手を挙げてるし。しかしその表情は少しゲイルの道化っぷりを楽しんでクスリともしているような悪くはないものだった。

「ポーター・・・」
「ボクが誘っておいてなんだけど。こうもあからさまだと・・・不憫だ」

 結局、ゲイルはアリエッタのポーター(仮)ということで話が決まってしまった。だが──

「あ・・・でもまた食料に毒でも盛られたら事ね」
「ウッ!・・・グサリ」
「もう止めてあげてエリシア・・・ゲイルのHPはもうゼロだよ」

 この時エリシアからトドメの一撃をもらったゲイルは、もう一生毒物に関わらないという誓いを立てたとか。
 
「おーいリアム!」

 すると──

「あ、帰ってきたみたい」

 遠くから、リアムの名を呼ぶ声が。

「ただいまリア──」
「たっだいまーリアムー」
「ラナ・・・重い」
「ひ、ひっどーい! 私そんなに重く・・・本当には重くないよね?」

 ただいまと言いかけてそれを今日も元気いっぱいのラナに遮られたウォルター。

「あの・・・レイアとティナは?」
「まあなんだ・・・母さんの溺愛が止まらなくてな」
「それじゃあ終わったら一旦迎えに行かないとね」

「人柱として置いてきた」と、レイアをカミラの元へ置いてきたことを説明するウォルター。そんなレイアを見かねて、ティナが一緒に残ったようだ。

「それでなリアム。母さんの話では自分たちの付き添いはもういらないってさ」
「わかった。ありがとう」

 そしてそれからが本題。今、彼らにカミラとエドガーのいるエリアDの研究所まで行ってもらっていた目的は、別にしっかりとある。

「それでね。ついでにデイジーも中級冒険者の称号取っちゃおうよってことで」
「え? 私までいいの?」
「もちろん! そのためにここまでデイジーにもついてきてもらったんだよ」

・・・と、いうことで。今日は新たにメンバーとなるゲイルに中級冒険者の称号をとらせようとこうしてまた、エリアCのキャンプ場にいるわけだが──

『おそらくだがリアム。もう俺たちが付き添う必要もないと思うぞ?』
『どうして? 父さん?』

 リアムは昨晩、父ウィリアムとした話の内容を思い出す。

「流石に3回目だしな。それに2回目奴が出てこなかったってことがなによりの根拠だ。・・・正直、映像で見たあいつの力は俺たちでも叶うかどうか1割ってところだったから、その衝突を避けて出てこなかったってことは多分ない。だからだな・・・」

 今日、またエリアCのボスオークズと3回目の戦いに挑むにあたって、仮面の出現に備えウィルの同行を頼んだのだが──

「一応、行く前にエリアDに寄ってエドガーの意見を聞いていけ。俺よりもあいつの方がこういう判断は上手いからな」

 と、ウィルのアドバイスを聞いて、彼らの家族であるウォルター、ラナ、レイア・・・そしてレイアと仲の良いティナがエドガーの意見を聴くために今まで別行動をしていたというわけだ。

「それじゃあ、そろそろ出発かな・・・」

 そして、攻略組の全員が揃ったところで──

「ちょっと待ってくれリアム! 一つだけ、お前に質問があったんだ!」

 が、一つ質問があると出発を少し待って欲しいというウォルター。

「今日はさ。ようやくお前が戻ってきたってのに・・・どうして、登録パーティー名をアリエッタのままにしたんだ?」
「それは・・・」

 ウォルターの質問は、今日のボス戦に挑むにあたって、なぜ登録パーティーの名前をアリアに戻さずアリエッタにしたのかというものだった。

「それはさ・・・」

 それは、リアムが目覚めて快復祝いをした日の夜。

「・・・というわけで、最初はカミラさんからの喝だったんだけど、リアムもいないしってことでその名前を使うことにしたの」

 楽しい祝いも中盤。ふと仲間のみんなが『アリアの〜』ではなく『アリエッタの〜』と呼ばれていたことに疑問を持ったリアムが、エリシアに質問する。

「じゃあ、ボクが戻ってきたから・・・」
「そうね。私たちもあれから強くなったし、アリアに戻してもいいと思うわ」

 ・
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 ・

「それはさ! どうせなら父さんたちが、いやアリアができなかったラストボス攻略を成し遂げて名乗りたいって思ったんだ!」

 エリシアに話を聞いたその夜のことを思い出しながら、リアムは笑って自分の考えをみんなに話す。

「ボクがいるかいないか・・・みんなはそれで一旦アリアの名前を封印してくれたみたいだけど・・・最初はカミラさんからの提案・・・ふさわしくないと言われみんなも何かしらが心に突き刺さった感覚があったんじゃないかな?」

 自分は話を聞いたときにその感覚があった、話を続けるリアム。

「ボクたちはもうあと数歩。これからたった2つのボス戦をこなすだけで同じステージには立てる。少なくとも、あと2つだけど・・・」

 あと2つ。一つはこれから挑むもう3度目の戦い。そしてもう一つはエリアFのボス。ラストボス前最後のボスだ。

「そうか・・・」

 ウォルターが呟く。

「わかった! ならば納得だ。俺も今の話を聞いて自分の中に燻っていたモノを再確認したよ」

 そして──

「今日はまだ、レイアさんとティナさんも揃ってないし・・・」
「そうだな。少なくとも、今日じゃないことだけはたしかだ」

 フラジールにアルフレッド──

「私はちょっと複雑だけど・・・」
「どうしてエリシア?」
「だってほら・・・リアムが倒れてからアリエッタでやってきて変な名前もついたし・・・」

 ラナの問いにエリシアが答える。その時についてしまった彼女の2つ名が実は【鮮血の劇乙女ドラクロワ】。また──

「そうね・・・今はもう沈静化したけどスプラッタ=アリエッタなんて名前も・・・」
「そうなの!?」

 ミリアから告げられたのは衝撃の事実。たしか自分(リアム)が倒れたからと敵討ちに躍起になったみんなが何度かオークズにリベンジしたとパーティーの夜に聞いたような聞かなかったような・・・

「そうか・・・俺がいない間に世の中はそんなに・・・」
「ゲイルはちょっと黙ってましょう?」
「そんなデイジー!・・・はい」

 あとちょっと面白いのがこの2人の関係。完全に立場は逆転。デイジーの尻に敷かれるゲイル・・・案外この2人、将来くっついたりして。

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