アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

182 再戦の朝

「ふぁぁぁ・・・あれ、ここは」

 リアムが目を覚ます。

「おはようリアム」

 すると、そんな彼に傍らから声をかけたのは──

「母さん? あれなんでいるの!? というかいつの間に帰って──」

 母、アイナであった。ついでに辺りを見渡してみれば、気を失う前はエリアFの中継兼ゴールにして、エリアGの入り口にいたはず・・・

「まさか! もう一回・・・?」

と、リアムは昨日の事を思い出して、試練をクリアできてなかったのかと焦り不安を抱く。しかし──

「落ち着いてリアム・・・どうなのかしら?」

 すると、リアムをなだめるアイナが同時に、なにやらリアムの寝ていたソファの背もたれの向こう側へと話しかける見えない誰かに話しかける。だがその表情は笑顔でとても嬉しそうで──

「チッ! 合格さ」

 それに舌打ちするカミラの声が──

「おいリアム。たしかに、私が与えた目標(ゴール)はクリアしたがな」

 すると──

「えっ?」

 突然、ニュッと背もたれの後ろから顔を出してリアムに迫るカミラ。その近さゆえに、強制的に目と目があい、鼻の頭が触れてしまいそうなほどに近い。

「今からが本番だ。お前負けやがったら一生私の召使いだからな」

 そしてジトッとさせた目でリアムの瞳の奥を射抜くと──

「しっかり守れよ」

 サッと口をリアムの耳元まで持っていき、ボソッと呟く。

「はぁ・・・?」

 この時、カミラの言葉によくわからず返事をしたリアム。しかしその後、その言葉の意味を──

「あれ? なんでレイアもいるの?」

 まだ少し寝ている体を起こそうと、リアムが家の外に出るとそこには──

「おはようリアム」
「2、2ヶ月ぶりのリアムだ──」

 挨拶に清々しい笑顔を浮かべるレイアと、ワナワナと手を震わせて様子のおかしいウィルが──

「さあリアムよ! 久しぶりの父さんの胸に飛び込んでこい!」

 大きく手を広げて、何かを待つウィル。

「えっと・・・」

 しかしリアムはためらう。・・・だって久しぶりといっても2ヶ月。そこまで大騒ぎするほどの期間でも・・・──

「この2ヶ月、あなたが帰ってこなくてカリナが王都に行った時ほど落ち着きがなかったのよ」
「だから・・・ね?」と、リアムになにかを訴えウィンクするアイナ。そして──

「わー・・・トウサンー」
「ああ。もう離さん・・・離さんぞ!」

 かなり棒読み気味に甘えたのだが、ウィルはかなり大袈裟にリアムに抱きつく。

「見てられんな」
「カミラもさっきまでは大方ああだったけどね」
「私とレイアの抱擁はあんなに気持ち悪くねぇよ」
 
 そんな2人をみて、先ほどレイアが到着したばかりの頃のカミラと比較するエドガー。

「さて。今日お前とレイアには、エリアCのボス、オークズと戦ってもらう」

 それから数分後、ようやくウィルが満足した顔でリアムを離すと──

「・・・え」

 カミラから、告げられた無慈悲な宣告。

「えっ・・・嘘でしょ? 嘘ですよね?」

「だってボクは昨日エリアFの踏破を成し遂げたばかりですよ!?」と、泣き言を言うリアム。しかし──

「なぁに甘えたこと言ってんだ? 昨日の夜エドガーの作ったポーションを飲んだから疲れは無いんだろうが」
「うっ・・・でも」

 たしかに、カミラの言った通り体の疲労はない・・・そう、体の疲労は、だ。

『ちくしょー・・・わかっていた。わかっていたさ! この人ならなんて答えるかくらい!』

 しかし仕方ないだろう。もしも、という昨日偉業を達成したご褒美があるかもしれないと、ちょっとした希望を抱いてしまったのだから。だが──

「それにしても──」
「それにしても?」
「なんでレイアも一緒に?」

 だからリアムはもう一つ尋ねる。今回の戦いの目的はオークたちとの再戦は自分の精神的な鎖を引きちぎるため、であれば、魔法も使えこの1年なんの問題もなく過ごしてきたレイアは再挑戦する必要なんてないはずなのだが。

「リアム・・・男なら黙って俺について来いぐらい言うのが粋ってもんだ」

 すると、それを聞いたウィルが男の漢気について語る。しかし──

「おいウィリアム。私の天使にこんな生ガキの後ろを歩けってのかよ」

 そんな、身も蓋もない反論で講釈を垂れたウィルに抗議するカミラ。こうした男のロマンチックはもう古いのか。

 それから1時間後──

「1年ぶりリアムくん。それにレイアちゃんも」
「お久しぶりですミカさん」
「こんにちはミカさん」

 エリアCのセーフポイントにして、戦場への転送陣があるキャンプへと一同はたどり着く。それにしても──

「なんかちょっと大人っぽくなりました?」
「ふふーん。でしょー。この1年で私も立派淑女に・・・」
「ちょっとも〜やっと来たのね!デートでレディをこんなに待たせたら落第点よー?」
「きゃー!ちょび髭マッチョ・・・」

 と、1年前よりも自信ありげなミカをリアムが褒めた途端──

「リゲスさん! 2ヶ月ぶりです!」
「うふふおはようリアムちゃん。2ヶ月ぶりだけど、修行の成果はどうかしら」
「・・・昨日、エリアFの谷をやっと踏破できました。あとはこれからの最終試験だけです・・・ハハ」

 2ヶ月ぶり、リアムの快復を祝うパーティーでカミラからの指導を快く許してくれたリゲスに、近状報告をする。しかしこのメンバーは・・・──

「まさか」

 なにかに気づいたリアムが、この場にいる大人5人を見渡し呟く。

「また、あんなのが出てきて何もできなかったじゃ話にならねぇからな」

 カミラ。

「そうだね。それに研究者としても興味あるし」

 エドガー。

「もしあいつが出てきたら今度は私が盾になってリアムちゃんを守ってあげる」

 リゲス。

「この感じも久しぶりね。解散してからは主婦業ばかりだったけど、まだまだリアムを守れないほど腕は訛ってはないわよ」

 アイナ。

「そうだな。もしまたあいつが現れたら俺が刺してやる」

 そしてウィリアム。

「今日だけの束の間の復活・・・チームアリア再結成だ!」

 ウィルが拳を堅く握り前に突き出して威風堂々と宣言する。そして──

「「「「おおぅ!」」」」

 アイナ、リゲス、カミラ、エドガーの4人が、突き出された拳に、己の拳を合わせる。

「すごいや・・・」

 なんとも頼もしいアリアの再結成。これから過去の傷に立ち向かうべく戦うというのに、これほど頼もしいメンバーがバックが居ると、それだけで心なしか体が軽くなる。

「そうだリアム。ステータスを見せてみろ」

 4人で気合を入れた後に、カミラがリアムのステータスの提示閲覧を要求する。

「・・・ステータス」

 それに対し、リアムは未だ体の中に残る興奮の余韻に浸りながら、それを了承して魔法鍵を唱えカミラに見せる。すると──

「あれ? おかしいな。あれだけ戦わせたのにレベルが上がってねぇ」

 リアムのステータスを見たカミラから零れたのは、レベルが上がっていないという謎の発言だった。

「そういえば、レベルって項目が──」

 これに、リアムは2ヶ月前に魔法が使えなくなった自身の状態を知るべく、ステータスを開いたときのことを思い出す。そしてカミラの見ていた魔力板、そこには──

ーーーーー
Name:リアム Age : 8  Gender : Male   Lv.1

- アビリティ - 
 《生命力HP》1250/1250
 《体力SP》970/970
 《魔力MP》80万5200/80万5200
 《筋力パワー》 700 
 《魔法防御》8万0520
 《防御》700
 《俊敏》18
 《知力》50
 《幸運値》%?_#

 《属性親和》全属性

- スキル - 
 《全属性魔法》
  《火魔法Ⅴ》《水魔法Ⅴ》《風魔法Ⅴ》
  《雷魔法Ⅴ》《土魔法Ⅴ》《光魔法Ⅷ》
  《闇魔法Ⅴ》《空間魔法Ⅶ》《命魔法Ⅸ》
  《氷魔法Ⅵ》《熱魔法Ⅷ》
  《無属性魔法Ⅴ》

《魔法陣》《魔法陣作成》《精霊魔法∞》
《複合魔法》《鑑定Ⅲ》《魔力操作Ⅴ》
《威圧》

- EX スキル - 
 《分析アナライズ》《しょ》《隠蔽》
 《テイム》《自動翻訳》《トランス》

- ユニークスキル -  
《?#化》《魔眼》《魔眼:魔族の血胤》
《魔眼:命の開闢》《咆哮》

〈- オリジナルスキル -〉
《イデア》


- 称号 -
〈《転生者》〉《??%》《魔力契約:エリシア》
《虹の王》《竜の爪痕》《生還者》《反逆者》
《神憑り》《中級冒険者》《レベル》《愛される者》
《剣客》

ーーーーー

 たしかに、そこには1と書かれたレベルの項目と称号が。

「刀一本でエリアF踏破しちまったって聞いたときはまさかと思ったが・・・なぁカミラ・・・お前一体どんな修行をリアムに施したんだ?」

 すると、それを横から見ていたウィルが驚きというか呆れ気味に溢れる疑問を吐露する。

「ほんと。生命力に体力に筋力俊敏、体を使わないと上がらない能力が軒並み上がってる」
「リアムちゃんのステータスを見るのは私も久しぶりだけど、補正もなしに物理系ももうそこら辺の大人とそんな変わらないレベルじゃない、や〜ね〜」

 そしてアイナとリゲスも。

「挙句トドメにこの《剣客》の称号だ。まさか──」
「バカ言え。それは私もお前もリアムと同じくらいの時には獲得していただろう?」
「だから言ってんだよ。お前リアムにあの剣術を叩き込んだんじゃないだろうな?」

 何やら、怪しげな密談を始めるウィルとカミラ。

「なぁに。私はただ見守ってだけ。な、リアム」
「はい。カミラさんは崖の上からボクを見守っていて、やられそうになったら助けに入ったり、少し成長したと肌で感じた時に上から岩やモンスター、光の雨を降らせてたくらいで・・・」
「「・・・・・・」」

 リアムの口から出てきた衝撃の修行内容に、一同表情が固まる。ただでさえ過酷な環境であるのに、とても8歳の少年に施す修行ではない。
 
「いやーこいつ頭はいいからさ。上から見てて、試練を与えるつもりで色々と落とすついでに光でちょっと動きも矯正してやってたんだよな。だから一応我流だ」

 カミラが珍しくリアムを褒めつつ彼が《剣客》の称号を得た原因について語る。だがその口調は、なんだか早いというかよそよそしいというか・・・──

「逃げ場が限られた場所でそんな・・・」
「ま、普通だ」
「「普通じゃねぇ(ないわ)よ!」」

 カミラの非常識=普通発言に、ウィル、アイナ、リゲスの3人がツッコミを入れる。また、毎日リアムの傷の手当をしていた彼女の夫であるエドガーと、秘密の特訓をアイナとしていた娘のレイアは、初めて知ったその過酷すぎる修行内容に──

『まさかそんなことまでしてたなんて・・・』
『アイナさんが先生でよかった・・・』

 その傍らで、内心ちょっと引きながら苦笑いを浮かべる。

「まあ立ち回りの基本くらいは身につけちまったが、振り方の癖なんかは付いてないからお前の心配した通りにはならんさ」
「はぁ・・・剣じゃなくて刀。まあ使う武器も違うしな」
『・・・なんの話だろう?』

と、なんのことかはリアムにはよくはわからないが、ウィルとカミラの中で何か決着がついたらしい。だが──

「で、レベルってなんですか?」

 まだ、肝心な話が終わっていなかった。

「これは中級冒険者を獲得すると同時に獲得できる称号とシステム・・・ほらよ」

ーーーーー

Name:カミラ・ホワイト Age : 秘密  Gender : Female   Lv.158

- アビリティ - 
 《生命力HP》3600/3600 +158
 《体力SP》4500/4500 +158
 《魔力MP》3万8000/3万8000 +158
 《筋力パワー》 1500 +158 
 《魔法防御》3800 +15
 《防御》1500 +158
 《俊敏》35 +15
 《知力》25
 《幸運値》10

 《属性親和》火 雷 風 光 

- スキル - 
 《6属性魔法》
  《火魔法Ⅳ》《水魔法Ⅰ》《風魔法Ⅳ》
  《雷魔法Ⅳ》《光魔法Ⅵ》
  《無属性魔法Ⅳ》

《魔法陣》《魔法陣作成》《精霊魔法Ⅳ》
《複合魔法》《魔力操作Ⅴ》《威圧》

- EX スキル - 
しょⅡ》


- ユニークスキル -  
《魔眼》


- 称号 -

《生還者》《反逆者》《上級冒険者》
《レベル》《虹の王》《魔力契約:エドガー》《達人》

ーーーーー 

「ま、こんな感じだ。いくつかのモンスターと戦うとレベルが上がる。そしてレベルが上がると、初期値のLv1が0で、Lv2から+2という風にレベルの数値にイコールで一定のステータスに補正値が加えられる。いわゆる経験値とダンジョンからの恩恵だな」

と、カミラが自分のステータスを例にレベルについて解説してくれる。しかしまあなんというか・・・レベルよりこのステータスは──

「ちょっとカミラ〜。年齢を秘密って書き換えるならハートマークつけなきゃ!」
「そうか?・・・ハートっと」
「ほんと・・・こっちの方がミステリアスというか可愛さと妖艶さがでてるわ」

 ・・・やっぱり、やっちゃってた。

「《隠蔽》の意味・・・」

 きゃっきゃと女同士・・・でステータスをデコり出す3人。かつ、隠蔽を使っているのにそれを全く隠す気のない内容と態度に、リアムはため息をつく。

「まあ大体はあってるさ。リアム相手だったからあいつも見せてくれたんだろ」

 すると、そんなリアムの肩にポンポンと手を置いて、ウィルは「本当に見せたくない奴にはあんな表示はしない」と慰める。

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