アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

49 苦労人の共感

「リアムー!こっちこっち!」 


「それじゃあジェグド先生、ありがとうございました!また後で!」 


「おう!俺直伝の闇魔法をしっかりと叩き込んでやるからな!」 


 ジェグドと一緒に、テールマザーセーフエリア外れ境界にあるスクール魔法練習所に来た僕は、結構な数の生徒の中から僕を呼ぶ声の方へと向かっていく。 


「ラナ・・・大声でリアムの名前を呼ぶのはいいけど、リアムは目立つのを極力避けているんだから、今度からは気をつけなさいよ・・・」 


「でも今のでみんなリアムに気づいたんだから、次からはもう一緒じゃない?」 


「それはそうだけど・・・・・・はぁ、どうしてあなたはそういうところにだけは頭が回るのかしら」 


「へへへへぇ〜」 


「褒めてない(ビシッ」 


「アテッ・・・」 


 そして声の主であるラナと、一緒にいたカリナ姉さんの下にたどり着いた僕は、周りからの注目を集めながら、目の前で繰り広げられるカリナ姉さんとラナの漫才を見せられる。 


「ごめんね、リアム。ラナが考えなしだからいきなりこんなに目立って」 


「ごめんごめん」 


「いいよラナさんにカリナ姉さん、どっちにしてもこの小ささじゃそのうち目立つだろうから・・・それに・・・」 


 カリナ姉さんが申し訳なさそうに、事の張本人であるラナは片手で後頭部を掻きながらも笑顔で謝る。 


『それに実際注目を集めてる理由が僕だけじゃないような気がするんだよな〜・・・』 


 僕は心の中で、そんなことを思いながらカリナ姉さんを一瞥した後、二人と共に列へと並ぶ。 


「はいはい皆さん!こちらに注目してくださいね!」 


 そして背が低く後ろの方に並んだため、生徒たちの隙間からしかチラッとしか見えないが聞き覚えのある声で、ケイトがここにいる注目を集める。 


「先ほども申し上げましたが、今回から本講義に特別措置をとった一年生が参加します。皆さん彼にいい刺激を受け、是非面倒を見てもらいなさい」 


『なんだ・・・もう説明していたなら結局一緒じゃん・・・・・・ん?・・・面倒を見てもらいなさい?』 


 僕は前の生徒越しに聞こえてくる聞き覚えのある声に内心ツッコミを入れてる最中、その声がとても妙なことをいったことに気づいた。 


「ではあまり練習場から離れないよう、適度に間隔をとって各自練習に励んでください。以上です」 


『イヤイヤ以上です・・・じゃないよ!・・・魔法だって自分では碌に使ったことがないのに面倒見てもらいなさいってどういうことだよ!』 


 集合が解かれ周りの生徒たちが辺りに散らばっていく中、僕はその言葉に激烈なツッコミを入れた後に暫く放心する。 


「君がリアム君ですか・・・入学式で拝見したので存じ上げていましたが、間近で見ると本当にまだ小さいのですね」 


 放心し、俯く僕の頭上の方から聞こえてくる一つの声。 


「フラン先生、こんにちは」 


「こんにちは〜」 


「こんにちは、カリナにラナ・・・この子は一体どうしたんです?」 


 そして顔を上げると、そこにはカリナ姉さんとラナと談笑する一人の女性がいた。 


「私はフラン・フィヨルド。この魔法授業では空間と特別ですが一部の生徒に水の派生系である氷、そして普段は召喚術とダンジョン学を主に教えています」 


「リアムです。まだ自力で使使ったことはありませんが、どうぞよろしくお願いします」 


「・・・なるほど。そういうわけですか・・・・・・全く先輩は・・・」 


 顔を上げた僕に気づいたフランが自己紹介をし、それに対して僕もちょっとした皮肉を交えながら自己紹介をする。 


「ケイト先生が変なことを言ってゴメンなさいね。あの人、実際はとても凄い人なんだけど時々抜ていて、マッドな研究熱が悪い癖として出ることもあるのよ・・・」 


「先生も、苦労なされているんですね・・・・・・」 


「えぇ、リアムさんもそのお年で中々の重荷をお背負いのようで・・・大変ですね・・・」 


 そして一度、がっしりと握手を交わす僕とフラン。 


「何を話し込んでるのかしら・・・フラン?」 


「先輩!?いえ・・・なんでもありません!」 


 いつの間にかフランの背後まで迫っていたケイトに、一瞬背中を震わせて応答するフラン。 


「ほら、リアムさんも!・・・顔見知りでしょうが、改めて担当の先生方に紹介するので、こちらに来てください」 


「じゃあカリナ姉さんにラナさん、そういうことだからちょっと行ってくるね」 


 そしてケイトの誘いもあり、僕はフランとケイトと共に他の先生たちが集まる輪の中へと連れていかれるのであった。 




▽   ▽   ▽   ▽ 


「とりあえずフラン・・・本日はあなたがリアムさんの面倒を見てあげなさい・・・」 


「え・・・でも私の担当は一番も属性所持者も生徒数も少ない空間属性の魔法と水魔法の派生系である氷魔法ですから、まずはその派生元である水魔法を先輩が教えた方がいいのでは・・・・・・?」 


「・・・・・・」 


 現在、僕と先生方との軽い自己紹介も終え、ケイトとフランが僕の担当について話し合っていた。 


「コホンッ・・・事前に先生方にはリアムさんの魔力量の異常性と操作のレベルについてしかあやふやに伝えていませんでしたが、これから先生方にはリアムさんの魔法を見てもらう予定で隠していてもしょうがないので正直に告白します・・・・・・実はリアムさんは・・・全属性の魔力属性持ちなのですよ・・・・・・」 


 そして突然のヒソヒソ声で、ここだけの話と僕の暴露話を始めるケイト。 


『おいーーーッ!この人自分の判断ミスを認めたくなくてさらっと大事なこと暴露しちゃったよ!確かに結局全属性習うだろうからいずれはバレる話だろうけど・・・そんなに急かさなくていいだろ!・・・まだ魔法のまの字も知らないような素人なんだから!』 


 僕は苦悩する。まさかケイトがこんなにあっさりと僕の魔力属性について暴露するとは思っていなかった。 


「本当ですか!先輩!・・・これで魔法練習の時に教えられる生徒が増える・・・!」 


「それは信じられないなケイト・・・それにだからと言って別にダンジョン内の魔法演習でなくとも、最初はスクールの魔法練習場で十分だろう」 


 その暴露話にまず反応を示したのはフラン、そして意を唱えたのは入試当日に僕の入試担当をするはずだったアランだった。 


「その件については、なぜ私が魔法演習も無理を言ってダンジョン内で行うことを推奨したのかを含めて今日の魔法演習でわかると思いますよ」 


 実際に初めのS+クラスの話が持ち上がった時僕の記憶が正しければ、その内容は魔法練習や選択授業を含まない基礎授業を上学年の生徒たちと共にする、といったものだったはずだ。 


「まあまあいいじゃないですかアラン先生。私もリアム君の優秀さについてはこの目で一度見ていますし、本日は様子見をしましょう」 


「こいつには俺も一目置いてるし、ビッドさんの言う通り、俺も賛成だぜ」


 そしてその援護射撃をしてくれたのは、なんと薬物学担当であったビッドと、先ほどまで一緒にここまで同行していたジェグドである。


「それでは、生徒たちも待っていることですし、そろそろ私たちも解散して各々の仕事をしましょう」 


『ありがとうビッド先生にジェグド先生。とにかく今日はできる範囲で頑張ってみよう』


 僕はその援護に二人に感謝しつつ、今日の魔法演習を頑張ろうと心の中で己を奮い立たせた・・・のだが・・・・・・ 




▽   ▽   ▽   ▽ 


「それでダンジョンは空間魔法やその他の高度魔法の宝庫なわけで、その謎、神秘を解き明かしていこうというのが主題なのですよ・・・」 


「それは凄いですね・・・。確かにあのシステム性を魔法として確立するには一定の命令式を魔法陣に組み込んでいるはずですから・・・」 


「そう!・・・そうなんですよ!私のテーマは正に今それで、複数の魔法を組み合わせた高度な空間魔法とこのダンジョンの世界がある空間の特定に至ることなんですよ!・・・・・・しかし魔法陣を構成する文字群がオブジェクトダンジョン特有のもので解読が困難で・・・」 


 今日の担当となったフランと僕は、何故か始まったケイトの愚痴大会から、今はダンジョン学についての研究話に花を咲かせていた。 


「《翻訳》スキルを持つ方を一時的に雇えればいいのですが、そのスキル自体珍しく、大抵のスキル保有者は王都の学院や外交省で優遇されなにかしらの国職についていますし、何より雇用する形でこちらに来てもらう申請を出しても多くの費用がかかる点、そもそも申請が通るかどうかすら怪しい点を考慮すると、とてもではないですがそれは現実的ではありません」 


「翻訳・・・ですか?」 


「まあ、そのスキルがなくてもいずれは他のダンジョン資料からその解読が進むとは思うのですが・・・・・・如何せん、その読解にかかる時間が膨大で・・・」 


「フラン先生・・・翻訳とは少し違いますけど、僕もそれ系のスキルは持っていますよ?」 


「本当ですか!リアム君!」 


 最近わかってきたことだが、自動翻訳は会話、、文字、言語と翻訳をするジャンルを選択することができる・・・と言っても、もちろん僕はそれらをフルに活用しているわけだが、ダンジョンの転送陣やその他については、あんまりまじまじとみていなかったため、詳しいことについてはよくわかっていない。 


「実際に効果があるのかどうかは僕にもわかりませんが、今度試してみます」 


「是非!その時は私も同行させてください!」 


 因みに元々担当する生徒数が少なかったフランであるが、魔法選択は自由であり、この日は僕以外の生徒がいなかった。 
 なんと言うか気の合うフランに心が緩んだ僕は、初めての魔法演習のそのほとんどを、彼女との談笑に割いてしまったのだった。 



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