アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

37 気まずい登校とライバル宣言?

『昨日のみんなの顔・・・どんなだったっけ・・・・・・』


 魔石火柱事件を起こした翌日、僕はそんなことを廊下で考えながら教室の前で立ちすくみ、その中に入れないでいた。


『怖いな・・・』


 昨日、御開きとなった授業を共に受けていたクラスメイト達の顔を確かめる暇もなく、急な事の展開にその場を去った僕は、そんな事を思い浮かべながら廊下を右往左往する。


『でも、なんか懐かしいな・・・』


 前世でも少し似た体験を・・・それも、何回もしたことがある。ふと、そんな事を思い出した僕は、再び、右往左往していた足を扉の前で止めて立ちすくんだ。


『そういえば前世でもこれと似たような緊張に襲われてたっけ・・・』


 前世で体の弱かった僕は、それこそ何回も学校を休むことがあった。そしてその度に、当時のクラスメイト達の反応が怖くて、病み上がりに教室に入るときはよく緊張したものだ。


『まあ結局、その時ぼっちだったから遠目に奇異な目でみられるだけだったんだけど』


 そんな懐かしい記憶を思い起こしていると、なんとなく元気が出てきた・・・・・・情けない話だが・・・。


『よし・・・!大丈夫だ!』


 ようやく教室に入る決意をした僕。そしてその決意を胸に、その重い扉を開いて中へと入る。


▼      ▼      ▼      ▼


「ガヤガヤ・・・・・」


 僕が教室に入ると、それまで賑やかだった教室の中が一瞬で静まった。


『流石にこれは経験した事がない・・・』


 そんな教室のクラスメイト達の反応に僕は怖気づいてしまう。・・・だが ──


「来たわね!私のライバル!」


 僕がそんな雰囲気に呑まれ臆した瞬間、前方からそんな異彩を放つ一言が発せられる。


「・・・!」


 そしてそんな声に上げた僕の視線の先、そこには、実力テスト結果発表日に絡んできたエリシアが仁王立ちしていた。


「・・・?なにゴブリンがドラゴンにエンカウントしたような顔をしてるの?・・・ほら、私のライバルとして認めてあげたんだから名誉に思いなしゃい!」


『噛んだ・・・』


 周りからも『噛んだ』『ああ噛んだな』とでもいうように、教室中からヒソヒソとしたちょっとした声の小波が流れてくる。


「・・・・・・」


「・・・・・・」


「「「・・・・・・」」」


 それからしばし、エリシア、僕、そしてクラスメイトのみんなが沈黙した静寂が教室に訪れる・・・・・・そして──


「何か言いなさいよ・・・・・・・」


 ついに我慢できなくなったエリシアが、小さな声で呟く。


「・・・・・・」


 しかし、僕もそんな彼女になんと声をかければいいかわからず、気の利いたことが思い浮かばず、何も言う事ができない。


「ねえ・・・何か言ってよ・・・・・・これじゃ私が馬鹿みたいじゃないのよ・・・」


『・・・と言われても』


 それから、僕が彼女の言葉に反応できずにいると、エリシアはすがるようにそう言って徐々に暗くなっていく。


「う・・ひぐっ・・・・そんな可哀想な子を見るような目で見ないでよ・・・私は可哀想な子じゃ・・ない・・・」


 そして、ついには肩を震わせながら涙声になるエリシア。


『あ・・・なんかデジャヴ』


 僕はそんな彼女の様子に、実力テストで彼女に出会った日のことを思い出す。しかし ──


「・・・!・・・ごめん、いきなりでびっくりして・・・」


 あとほんの少し、その実力テスト当日のように、彼女が堪えきれず泣き出してしまったことを同時に思い出した僕は、なんとか意識を現実に戻して現在の状況と対峙する。


「ほ・・ほんと?」


 どうやら今回は間に合ったようである。エリシアは、俯いていたその顔を少しだけ上向かせ、その僕の言葉に反応する。


「じゃあ私のこと可哀想な子なんて思ってない?」


「うん!思ってないよ!」


 しおらしく、かつもう趣旨が変わってしまったそんなことを聞いてくるエリシアに、僕は彼女を肯定するようにそう答える。すると ──


「ほんとにほんと?」


「うんうん!思ってない思ってない!」


 更に、その言葉に間違いがなかったかのように確認をとるエリシア。・・・僕はそんな彼女をなだめるべく「うんうん」と頷きながらこちらもまた、更にそれを肯定してみせる。


「ぐすっ・・・そう、それならいいのよ」


 そしてその肯定を聞いた十数秒後、エリシアはその目尻に浮かべていた涙を引っ込め、なんとか立ち直った。すると ──


「はいはい、もうすぐ授業ですので、お二人とも、席にお着きになってください」


 廊下に向ける僕の背後から、そんな覚えのある声が聞こえてきた。


 僕は一応、その声の主を確かめるべく、背後を振り返る。


 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・


 そしてそこには、とても良い笑顔をしたケイトが、片手に教材を持ちながらニコニコと立っていたのだった。

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