アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
28 エリシア・ブラッドフォード
── 1ヶ月後、ついに僕はあの退屈な日々を乗り越えた。
そしてクラス分けをする件の実力テストであるが、その内容はこの1ヶ月間学んだことにまだ学んでいない+αの抜き打ちが加えられた問題であった。学んでいないことが問題に出たのはおそらく、更に習熟度を見極め、ランク分けをするためなのであろう。しかし、それでも問題は僕にとって間違えることが難しいくらいに簡単な内容であり、国語と算術、見直しを含めそれぞれ開始3分で終わってしまった。
▽      ▽      ▽      ▽
実力テスト翌日。
実力テストの結果がもう出た様だ。成績は廊下に張り出されるらしい。そしてその結果は ── 
1位 リアム
2位 エリシア・ブラッドフォード
3位 フラジール
 ・
 ・
7位 アルフレッド・ヴァン・スプリングフィールド
 ・
 ・
 ・
無事1位通過していた。
『とりあえずよかった。あのつまらない基礎授業が少しでも長く続くと考えただけでも辛いからな・・・』
僕はその結果に満足だ。
「なんで僕がお前に負けているんだ・・・!それに7位って・・・」
アルフレッドはその結果に満足いかなかった様だ。今も僕に負けたと地団駄を踏んでいる。
「フラジールは3位・・・やっぱりすごいね!」
この1ヶ月でこの二人とは少しずつなんとなくの縁ができていた。そして、その間に知った事だが、フラジールは結構優秀らしい。登校1日目にアルフレッドが学業について語っていた時、哀愁漂わせていた理由はどうやら彼女の様だった。
「い・・・いぇ・・・そんなことないですぅ・・・」
僕の褒め言葉にフラジールは謙遜する。こういう謙遜を見るとなぜか前世の故郷である日本を思い出すのは元日本人としての性だろうか。
「アルフレッドも良かったじゃないか・・・ラッキーセブンで」
「・・・なんだ?そのラッキーセブンとは?」
おっと。自動翻訳のおかげか、前世のノリでそういうことを言っても通じることはしばしばあるのだが、こういう俗感的なことがたまに通じなくて困る。
「な・・・なんでもない。気にするな」
「なんだその態度は・・・逆に気になるじゃないか!」
そうどこかよそよそしく言う僕に、煮え切らない態度でその意味をどうしても聞こうとするアルフレッド。
・・・・・・そしてそんな感じで談笑をし、小さな喜びを分かち合っていると── 
「見つけたわ・・・!あなたがリアムね!」
どこからともなく聞こえてくる僕を呼ぶ声に、僕たち三人は一斉にそちらを振り返る。
── そしてそこに立っていたのは金髪長髪で1本のドリ・・・を生やした女の子だった。
「・・・誰だ?お前の知り合いか?」
「・・・いや知らない」
アルフレッドの質問に僕は否定で答える。
「なんですって・・・この私を知らないですって!」
『あー。なんか面倒くさそうな子だな〜』
初対面・・・の筈なのに名乗りもせずに自分のことを知らないことを憤慨する。・・・まるでどこかの貴族みたいだ。
「えーと、どちら様ですか?」
「・・・!・・・いいだろう!そこまで言うなら名乗ってやりあがりましょう!」
急に圧をかける様な口調で胸を張る女の子。だがどうしてだろう・・・全然威圧感がない。
「私の名前はエリシア・ブラッドフォード!ブラッドフォード家の長女にしてようちイテッ・・・たんれい、せいせきゆうちゅうの完璧少女よ!」
『噛んだ・・・』
無理している感が凄い。・・・しかし、その女の子は口上を述べ終わった後も全く動揺せずに胸を張っていた。それに・・・
「エリシア・ブラッドフォードって・・・誰?」
まるで僕が彼女の事を知っている様な言い回しをしていたが、名前を名乗られても僕には全く身に覚えがない。
「なんでよ!そ・こ・の成績表に載ってるでしょ!・・・それにあなた・・・・・・ノーフォークでも吸血種の血を引く由緒ある有数の名家!ブラッドフォード家のことを知らないの!」
『そういえば目が赤い・・・吸血種の血を引いているからかな?』
よく見ると綺麗な紅の様な目をしている。しかし ── 
「ごめんなさい・・・知らない・・・です」
確かに成績表にそんな名前があった様ななかった様な・・・・・・だが、そんな事を言われても記憶にないものはない。僕は彼女の捲し立てに、更に知らないという旨を被せた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
すると彼女は、何かに殴られショックを受けた様な表情になる。そして ── 
「こんな小さな子に負けた・・・」
小さな子って・・・まあ他の同級生のみんなよりは小さいけど・・・。
「ブラッドフォード家のことも知らない・・・」
ごめん。知らない。
「このスクールを引っ張っていく素敵な才女としてスタートを切る筈だったのに・・・」
なんていうか・・・ごめんね。
「今日も朝日が昇る前に家を出発してその時を待っていたのに・・・」
どれだけ楽しみだったんだろう・・・そんなに早くからスタンバってたなんて。
「それなのに・・・なのに・・・・・・」
高飛車なのかこっちが素なのか・・・。段々と塩らしくなっていく彼女の声に、僕はついその様なことを考えてしまう。
・・・とにかく、彼女の顔は言葉を並べていくうちにみるみる生気を失い、そう言い終わると黙り込んでその小さな肩を震わせていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
そして ── 
「うえぇぇぇん!」
急に天井を仰ぎ泣き出したエリシア。
「「・・・!」」
「ふえぇぇぇ・・・」
彼女の突然の行動にその場にいた僕とアルフレッドはたじろぎ、フラジールはうろたえる。
「うわぁぁぁん!」
すると更にその声を大きくした彼女は、その後なんと、そのまま何処かへと走り去ってしまった。
「「「・・・・・・」」」
突然スコールに降られ突然上がるその雨の様に、突如現れ突如過ぎ去っていくエリシア。
そんな離れていく彼女の背中に、突然の嵐に降られた僕とアルフレッドはしばらく放心して立ち尽くし、フラジールは助け求めるべく挙動不審にキョロキョロと終始うろたえていた。
そしてクラス分けをする件の実力テストであるが、その内容はこの1ヶ月間学んだことにまだ学んでいない+αの抜き打ちが加えられた問題であった。学んでいないことが問題に出たのはおそらく、更に習熟度を見極め、ランク分けをするためなのであろう。しかし、それでも問題は僕にとって間違えることが難しいくらいに簡単な内容であり、国語と算術、見直しを含めそれぞれ開始3分で終わってしまった。
▽      ▽      ▽      ▽
実力テスト翌日。
実力テストの結果がもう出た様だ。成績は廊下に張り出されるらしい。そしてその結果は ── 
1位 リアム
2位 エリシア・ブラッドフォード
3位 フラジール
 ・
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7位 アルフレッド・ヴァン・スプリングフィールド
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無事1位通過していた。
『とりあえずよかった。あのつまらない基礎授業が少しでも長く続くと考えただけでも辛いからな・・・』
僕はその結果に満足だ。
「なんで僕がお前に負けているんだ・・・!それに7位って・・・」
アルフレッドはその結果に満足いかなかった様だ。今も僕に負けたと地団駄を踏んでいる。
「フラジールは3位・・・やっぱりすごいね!」
この1ヶ月でこの二人とは少しずつなんとなくの縁ができていた。そして、その間に知った事だが、フラジールは結構優秀らしい。登校1日目にアルフレッドが学業について語っていた時、哀愁漂わせていた理由はどうやら彼女の様だった。
「い・・・いぇ・・・そんなことないですぅ・・・」
僕の褒め言葉にフラジールは謙遜する。こういう謙遜を見るとなぜか前世の故郷である日本を思い出すのは元日本人としての性だろうか。
「アルフレッドも良かったじゃないか・・・ラッキーセブンで」
「・・・なんだ?そのラッキーセブンとは?」
おっと。自動翻訳のおかげか、前世のノリでそういうことを言っても通じることはしばしばあるのだが、こういう俗感的なことがたまに通じなくて困る。
「な・・・なんでもない。気にするな」
「なんだその態度は・・・逆に気になるじゃないか!」
そうどこかよそよそしく言う僕に、煮え切らない態度でその意味をどうしても聞こうとするアルフレッド。
・・・・・・そしてそんな感じで談笑をし、小さな喜びを分かち合っていると── 
「見つけたわ・・・!あなたがリアムね!」
どこからともなく聞こえてくる僕を呼ぶ声に、僕たち三人は一斉にそちらを振り返る。
── そしてそこに立っていたのは金髪長髪で1本のドリ・・・を生やした女の子だった。
「・・・誰だ?お前の知り合いか?」
「・・・いや知らない」
アルフレッドの質問に僕は否定で答える。
「なんですって・・・この私を知らないですって!」
『あー。なんか面倒くさそうな子だな〜』
初対面・・・の筈なのに名乗りもせずに自分のことを知らないことを憤慨する。・・・まるでどこかの貴族みたいだ。
「えーと、どちら様ですか?」
「・・・!・・・いいだろう!そこまで言うなら名乗ってやりあがりましょう!」
急に圧をかける様な口調で胸を張る女の子。だがどうしてだろう・・・全然威圧感がない。
「私の名前はエリシア・ブラッドフォード!ブラッドフォード家の長女にしてようちイテッ・・・たんれい、せいせきゆうちゅうの完璧少女よ!」
『噛んだ・・・』
無理している感が凄い。・・・しかし、その女の子は口上を述べ終わった後も全く動揺せずに胸を張っていた。それに・・・
「エリシア・ブラッドフォードって・・・誰?」
まるで僕が彼女の事を知っている様な言い回しをしていたが、名前を名乗られても僕には全く身に覚えがない。
「なんでよ!そ・こ・の成績表に載ってるでしょ!・・・それにあなた・・・・・・ノーフォークでも吸血種の血を引く由緒ある有数の名家!ブラッドフォード家のことを知らないの!」
『そういえば目が赤い・・・吸血種の血を引いているからかな?』
よく見ると綺麗な紅の様な目をしている。しかし ── 
「ごめんなさい・・・知らない・・・です」
確かに成績表にそんな名前があった様ななかった様な・・・・・・だが、そんな事を言われても記憶にないものはない。僕は彼女の捲し立てに、更に知らないという旨を被せた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
すると彼女は、何かに殴られショックを受けた様な表情になる。そして ── 
「こんな小さな子に負けた・・・」
小さな子って・・・まあ他の同級生のみんなよりは小さいけど・・・。
「ブラッドフォード家のことも知らない・・・」
ごめん。知らない。
「このスクールを引っ張っていく素敵な才女としてスタートを切る筈だったのに・・・」
なんていうか・・・ごめんね。
「今日も朝日が昇る前に家を出発してその時を待っていたのに・・・」
どれだけ楽しみだったんだろう・・・そんなに早くからスタンバってたなんて。
「それなのに・・・なのに・・・・・・」
高飛車なのかこっちが素なのか・・・。段々と塩らしくなっていく彼女の声に、僕はついその様なことを考えてしまう。
・・・とにかく、彼女の顔は言葉を並べていくうちにみるみる生気を失い、そう言い終わると黙り込んでその小さな肩を震わせていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
そして ── 
「うえぇぇぇん!」
急に天井を仰ぎ泣き出したエリシア。
「「・・・!」」
「ふえぇぇぇ・・・」
彼女の突然の行動にその場にいた僕とアルフレッドはたじろぎ、フラジールはうろたえる。
「うわぁぁぁん!」
すると更にその声を大きくした彼女は、その後なんと、そのまま何処かへと走り去ってしまった。
「「「・・・・・・」」」
突然スコールに降られ突然上がるその雨の様に、突如現れ突如過ぎ去っていくエリシア。
そんな離れていく彼女の背中に、突然の嵐に降られた僕とアルフレッドはしばらく放心して立ち尽くし、フラジールは助け求めるべく挙動不審にキョロキョロと終始うろたえていた。
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