アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
25 復活の・・・
『・・・・・・なぜだろう・・・視線が痛い』
カリナ姉さんに手を繋がれスクールについた僕たち。しかし、先ほどから僕たちが校門に近づくにつれ、なぜか視線が集まってくる。
「ええっと・・・ごにょごにょ」
するとラナが僕に耳打ちし、なぜこの様な状況の渦中にいるのか説明してくれた。
ラナの説明によると、今集まる視線の原因は主にカリナ姉さん・・・・・・しかし、僕にもその一因があるらしい。
普段のスクールでのカリナ姉さんは、優雅な立ち居振る舞いで尚且つ秀才・・・しかし同時に寡黙で他と一線を画す存在で、まるで高嶺の花。それに加えて先日の入学式で新入生代表挨拶を代わりに行った僕。その僕とカリナ姉さんが手を繋いでいることに驚き半分、一部嫉妬も混じっていると・・・そういうことらしい・・・。
ちなみに、「じゃあ、なぜそんなカリナ姉さんとラナが仲がいいのか」とそっと聞き返すと、どうやら初めて話をしたきっかけは、知り合い同士だった親の縁から話すようになったということだ。
「なに?なんの話・・・?私にも教えて?」
そんな立ち止まって内緒話をしている僕とラナに、カリナ姉さんが話に混ぜてほしいと加わろうとする。すると──
「な・い・しょ・♪」
「二人だけの秘密よ」と最後に付け加えて口の前に人差し指を立てるラナ。
「なんですって!・・・リアムと秘密を作っていいのは姉である私だけよ・・・!」
「へへーん、それでも秘密は秘密♪」
初めて聞くルールを盾に何としてもその内容を聞こうとするカリナ姉さんと煽るラナ。そして──
「ということで、またね、リアムくん!」
「コラ待てッ・・・!ラナ ──!」
別れの挨拶をしてそそくさと逃げていくラナとそれを追いかけていくカリナ姉さん。
「行ってしまった・・・」
あり得ないものを見る様にその光景を眺める周りと置いてけぼりな僕。どうやらカリナ姉さんがあんなに表面に感情を見せるのは本当に珍しいらしい・・・・・・。
僕はその後1分ほど立ち往生し、視線が散り始めた頃にできるだけ影を薄くしてその場を離れた。
▽      ▽      ▽      ▽
「ええっと・・・確かこの教室・・・」
入学式の日に教えられた教室に辿り着いた僕は、扉を開けて教室の中に入る。
「ガヤガヤ・・・」
教室の中にはすでにある程度の人数の生徒が集まっており、各々が自由に談笑していた。
「とりあえず空いてる席は・・・」
席の指定もなさそうだったので、適当に誰も座っていない机の席につくことにする。
ちなみに、この教室も試験の時と同じ段々の長机が数列に並んでいる様な教室だった。
僕は鞄を机の下に置き、先生が来る時間までまったり過ごすことにした。
しかし、僕が席に着くや否や、後ろの方からやってきた二つの影が僕の座る机の端に立つ。
「やっと来たか・・・この僕を待たせるなんて全くお前は不敬なやつだ・・・!」
『げッ・・・』
ものすごく聞き覚えのある声が聞こえ、ものすごく会いたくない人物がそこに立っていた。
「な・・・何だその嫌そうな顔は・・・!やっぱり不敬だ!」
おそらく誰から見てもわかるほどに、僕の顔は嫌そうに歪んでいたのだろう。
『さっきのカリナ姉さんの気持ちがちょっとわかった気がする・・・』
会いたくない時に、会いたくないラナに会って悪態をついていたカリナ姉さんの気持ちが今、何となくわかった。
「チッ・・・!まあいい・・・。とりあえず席を詰めろ」
『何なんだ・・・こいつは暴君か何かか・・・?』
「オイ・・・なんかお前失礼なことを考えてないか?」
勘が鋭いやつだ。とりあえず僕は何もなかった様、言われた通りに席を詰めることにする。ちなみにこの某フレッドくんと一緒にいたのはお供の少女フラジールだった。
「本当に不敬なやつだ・・・」とブツブツ言いながら隣に座るアルフレッドと、「失礼しますぅ・・・」とアルフレッドを挟んで同じ机につくフラジール。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
気まずい雰囲気のなか、しばしの沈黙が流れる・・・。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ゎ・・たな・・・」
すると、周りの談笑する喧騒だけが聞こえてくる中、何かボソッとアルフレッドの方から聞こえた気がした。
「?」
僕は何を言ったのか全然わからなかったのだが、『何かあったのだろうか』とアルフレッドの方に顔を向ける。
「わっ・・・悪かったな・・・」
「・・・なに?」
僕が返事をしなかっただろうか? アルフレッドは小さな声でまた何かを口にし、それが聞こえなかった僕は「もう少し大きな声で言い直して欲しい」と、密かに要求する。
「だからッ・・・!悪かったなって言ってるんだ・・・!」
突如、アルフレッドが僕にも聞こえる十分な声で言いたかったことを口にする。
「ど・・・どうしたの急に?」
突然のアルフレッドからの謝罪に、僕は素っ頓狂な返事を返してしまう。
「入学式の時は少しむしゃくしゃしていたんだ・・・・・・」
すると、僕の疑問に答える様に、何かを語り始めたアルフレッド。
「お前と別れた後、父様と話をしたのだ・・・・・・」
どうやらあの後、アルフレッドとアルファード卿は、親子水入らずでゆっくりと話をしたらしい。
「その時聞いたのだ・・・お前に粗相し、倒れた僕の代わりにお前が代役を買って出てくれたことを・・・・・・」
『アルフレッドのために代わったわけじゃないんだけど・・・まあ、その方が都合が良さそうだしそれでいいか』
新入生代表挨拶を代わったの理由は、単純に学長先生に嵌められたからだったが、「結果が全て」という言葉もある。アルフレッドの解釈はそれはそれで都合がいいので、そのまま便乗させてもらうことにしよう。
「それに、決して父様は僕に期待していないわけではなかった・・・!だから決めたのだ!僕はこのスクールで父様の期待にも答えられる様、胸を張って、経験を積んでいくと・・・!」
どうやらアルフレッドは完全に持ち直したらしい。アルファード卿の懸念もこれで1つ消えただろう。
「お前は、そんな僕のいい友人になるだろうとも父様は言っていた。・・・父様の意向を勘違いしていた僕は入学式の日、僕よりも小さいお前についつい突っかかってしまった・・・だから・・・すまなかった・・と・・・・・・そういうわけだ」
抱負と共に謝罪の理由を話し終えたアルフレッドは、それからジッと返ってくる僕の返答を黙って待っていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「いいよ」
「へっ・・・?」
僕の返答に間の抜けた声を返すアルフレッド。
「だからいいよって言ってるの・・・わかった?」
僕の返答の意味がわかっていないようだったので、僕は改めてもう一度、先日の件を許す旨を彼に伝える。
▼      ▼      ▼      ▼
「まぁ・・・・・・じゃあ、これからよろしく・・・」
その後、まだ理解していないようなアルフレッドに、とりあえず和解し、確執もなくなった僕は手を差し出す。
「・・・ふんッ」
すると、鼻を鳴らしながらも、その手でようやく意味を理解したアルフレッドも手を差し出す。
・・・・・・しかし、その手が組み交わされることはなかった。
僕の手を取ろうとアルフレッドの手が伸ばされる。だが、僕の手を握るはずだったアルフレッドの手は空を切った。
「これからよろしくね、フラジール!」
僕の手はアルフレッドの手をかわし、彼を挟んで向こう側に座っているフラジールに手を伸ばしたからだ。
そんな僕の突然の行動に、アルフレッドは目を点にしている。
「ふぇぇぇえッ///!」
「・・・!・・・やっぱりお前は嫌いだ!」
突如話の輪に引き込まれ、手を差し出されたフラジールは顔を真っ赤にうろたえる。そして、同時におちょくられたことに気づいたアルフレッドは、その後先生が来るまでずっと不貞腐れていた。
カリナ姉さんに手を繋がれスクールについた僕たち。しかし、先ほどから僕たちが校門に近づくにつれ、なぜか視線が集まってくる。
「ええっと・・・ごにょごにょ」
するとラナが僕に耳打ちし、なぜこの様な状況の渦中にいるのか説明してくれた。
ラナの説明によると、今集まる視線の原因は主にカリナ姉さん・・・・・・しかし、僕にもその一因があるらしい。
普段のスクールでのカリナ姉さんは、優雅な立ち居振る舞いで尚且つ秀才・・・しかし同時に寡黙で他と一線を画す存在で、まるで高嶺の花。それに加えて先日の入学式で新入生代表挨拶を代わりに行った僕。その僕とカリナ姉さんが手を繋いでいることに驚き半分、一部嫉妬も混じっていると・・・そういうことらしい・・・。
ちなみに、「じゃあ、なぜそんなカリナ姉さんとラナが仲がいいのか」とそっと聞き返すと、どうやら初めて話をしたきっかけは、知り合い同士だった親の縁から話すようになったということだ。
「なに?なんの話・・・?私にも教えて?」
そんな立ち止まって内緒話をしている僕とラナに、カリナ姉さんが話に混ぜてほしいと加わろうとする。すると──
「な・い・しょ・♪」
「二人だけの秘密よ」と最後に付け加えて口の前に人差し指を立てるラナ。
「なんですって!・・・リアムと秘密を作っていいのは姉である私だけよ・・・!」
「へへーん、それでも秘密は秘密♪」
初めて聞くルールを盾に何としてもその内容を聞こうとするカリナ姉さんと煽るラナ。そして──
「ということで、またね、リアムくん!」
「コラ待てッ・・・!ラナ ──!」
別れの挨拶をしてそそくさと逃げていくラナとそれを追いかけていくカリナ姉さん。
「行ってしまった・・・」
あり得ないものを見る様にその光景を眺める周りと置いてけぼりな僕。どうやらカリナ姉さんがあんなに表面に感情を見せるのは本当に珍しいらしい・・・・・・。
僕はその後1分ほど立ち往生し、視線が散り始めた頃にできるだけ影を薄くしてその場を離れた。
▽      ▽      ▽      ▽
「ええっと・・・確かこの教室・・・」
入学式の日に教えられた教室に辿り着いた僕は、扉を開けて教室の中に入る。
「ガヤガヤ・・・」
教室の中にはすでにある程度の人数の生徒が集まっており、各々が自由に談笑していた。
「とりあえず空いてる席は・・・」
席の指定もなさそうだったので、適当に誰も座っていない机の席につくことにする。
ちなみに、この教室も試験の時と同じ段々の長机が数列に並んでいる様な教室だった。
僕は鞄を机の下に置き、先生が来る時間までまったり過ごすことにした。
しかし、僕が席に着くや否や、後ろの方からやってきた二つの影が僕の座る机の端に立つ。
「やっと来たか・・・この僕を待たせるなんて全くお前は不敬なやつだ・・・!」
『げッ・・・』
ものすごく聞き覚えのある声が聞こえ、ものすごく会いたくない人物がそこに立っていた。
「な・・・何だその嫌そうな顔は・・・!やっぱり不敬だ!」
おそらく誰から見てもわかるほどに、僕の顔は嫌そうに歪んでいたのだろう。
『さっきのカリナ姉さんの気持ちがちょっとわかった気がする・・・』
会いたくない時に、会いたくないラナに会って悪態をついていたカリナ姉さんの気持ちが今、何となくわかった。
「チッ・・・!まあいい・・・。とりあえず席を詰めろ」
『何なんだ・・・こいつは暴君か何かか・・・?』
「オイ・・・なんかお前失礼なことを考えてないか?」
勘が鋭いやつだ。とりあえず僕は何もなかった様、言われた通りに席を詰めることにする。ちなみにこの某フレッドくんと一緒にいたのはお供の少女フラジールだった。
「本当に不敬なやつだ・・・」とブツブツ言いながら隣に座るアルフレッドと、「失礼しますぅ・・・」とアルフレッドを挟んで同じ机につくフラジール。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
気まずい雰囲気のなか、しばしの沈黙が流れる・・・。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「ゎ・・たな・・・」
すると、周りの談笑する喧騒だけが聞こえてくる中、何かボソッとアルフレッドの方から聞こえた気がした。
「?」
僕は何を言ったのか全然わからなかったのだが、『何かあったのだろうか』とアルフレッドの方に顔を向ける。
「わっ・・・悪かったな・・・」
「・・・なに?」
僕が返事をしなかっただろうか? アルフレッドは小さな声でまた何かを口にし、それが聞こえなかった僕は「もう少し大きな声で言い直して欲しい」と、密かに要求する。
「だからッ・・・!悪かったなって言ってるんだ・・・!」
突如、アルフレッドが僕にも聞こえる十分な声で言いたかったことを口にする。
「ど・・・どうしたの急に?」
突然のアルフレッドからの謝罪に、僕は素っ頓狂な返事を返してしまう。
「入学式の時は少しむしゃくしゃしていたんだ・・・・・・」
すると、僕の疑問に答える様に、何かを語り始めたアルフレッド。
「お前と別れた後、父様と話をしたのだ・・・・・・」
どうやらあの後、アルフレッドとアルファード卿は、親子水入らずでゆっくりと話をしたらしい。
「その時聞いたのだ・・・お前に粗相し、倒れた僕の代わりにお前が代役を買って出てくれたことを・・・・・・」
『アルフレッドのために代わったわけじゃないんだけど・・・まあ、その方が都合が良さそうだしそれでいいか』
新入生代表挨拶を代わったの理由は、単純に学長先生に嵌められたからだったが、「結果が全て」という言葉もある。アルフレッドの解釈はそれはそれで都合がいいので、そのまま便乗させてもらうことにしよう。
「それに、決して父様は僕に期待していないわけではなかった・・・!だから決めたのだ!僕はこのスクールで父様の期待にも答えられる様、胸を張って、経験を積んでいくと・・・!」
どうやらアルフレッドは完全に持ち直したらしい。アルファード卿の懸念もこれで1つ消えただろう。
「お前は、そんな僕のいい友人になるだろうとも父様は言っていた。・・・父様の意向を勘違いしていた僕は入学式の日、僕よりも小さいお前についつい突っかかってしまった・・・だから・・・すまなかった・・と・・・・・・そういうわけだ」
抱負と共に謝罪の理由を話し終えたアルフレッドは、それからジッと返ってくる僕の返答を黙って待っていた。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「いいよ」
「へっ・・・?」
僕の返答に間の抜けた声を返すアルフレッド。
「だからいいよって言ってるの・・・わかった?」
僕の返答の意味がわかっていないようだったので、僕は改めてもう一度、先日の件を許す旨を彼に伝える。
▼      ▼      ▼      ▼
「まぁ・・・・・・じゃあ、これからよろしく・・・」
その後、まだ理解していないようなアルフレッドに、とりあえず和解し、確執もなくなった僕は手を差し出す。
「・・・ふんッ」
すると、鼻を鳴らしながらも、その手でようやく意味を理解したアルフレッドも手を差し出す。
・・・・・・しかし、その手が組み交わされることはなかった。
僕の手を取ろうとアルフレッドの手が伸ばされる。だが、僕の手を握るはずだったアルフレッドの手は空を切った。
「これからよろしくね、フラジール!」
僕の手はアルフレッドの手をかわし、彼を挟んで向こう側に座っているフラジールに手を伸ばしたからだ。
そんな僕の突然の行動に、アルフレッドは目を点にしている。
「ふぇぇぇえッ///!」
「・・・!・・・やっぱりお前は嫌いだ!」
突如話の輪に引き込まれ、手を差し出されたフラジールは顔を真っ赤にうろたえる。そして、同時におちょくられたことに気づいたアルフレッドは、その後先生が来るまでずっと不貞腐れていた。
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コメント
ノベルバユーザー402458
これは主人公が悪い