アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜
20 迷走の入学式 前半
学長先生の思いつきで、倒れたアルフレッドの代わりに新入生代表挨拶をすることになった。
『はぁー、スマホ欲しい・・・』
突然のバトンタッチ。僕はアルフレッドの代わりに挨拶をするわけだが、そこには一つの難関がある・・・・・・それは「いかに子供らしくスピーチするか」だ。
僕の今の外見は約4歳。新入生という事で、聴衆の人たちのほとんどが6歳だと脳内修正してくれるだろうが・・・・・・それでも、僕は6歳の子供なわけだ。いざ「子供らしい挨拶をしろ」と言われても、前世では身近に今の自分くらいの子供はいなかった。頭の中で会話を組み立てていくが、一文考えて次の文にシフトすると、前に考えていた文が勝手に大人の喋るような文章に変わっていってしまう・・・・・・。こういう時、常識的な文章を調べてり、メモを取ることのできるインターネットやスマホって改めてすごいな、と思わず無い物ねだりをしてしまうほどに苦戦していた。
ちなみに、フラジールがアルフレッドの挨拶用のカンニングペーパーを持っていたので少し拝借したのだが、内容は大人が考えた様な文体、大半が自分のこれまで、つまり貴族である自分の家のこととこの領地との関係を主体とおいたものだった。
『全く使い物にならない。どうしようか・・・もう式が始まる・・・』
実のことを言うと、もう僕たちは式場に入場するために扉の前で待機している状態なのだ。そしてあの提案からまだ5分ほどしか経っていない。というか、その5分もほぼ移動だった。どうやらさっきの騒動で時間が取られた、式はすでに遅延しているらしい。更に、なんと新入生入場列の一番先頭を歩くとになってしまった。毎年、新入生代表挨拶者が先頭を歩くんだと・・・・・・どうかしている。
「新入生、入場」
扉の向こうから新入生入場のアナウンスが聞こえる。それと同時に目の前の扉が開かれた。
拍手とともに迎えられる新入生一同。その会場は、普段ここが魔法練習場だなんて言われなければわからないほどに整備されていた。やっぱり魔法の力ってすごい・・・じゃない、僕が今第一に考えないといけないのは子供らしい入学代表者としての挨拶だ。
思考を巡らせる。今から子供らしい文章を考える時間はない。かといって、自分が子供の時の記憶から引っ張って参考にしようにも、子供らしい記憶があまり残っていない。
束の間の様に感じる。思考を巡らせていたからだろうか、気がつけば、僕はもうすでに自分の席まで辿り着いていた。
「新入生着席」
この司会の言葉とともに周りの新入生が一斉に席に着く。考え事をしていた僕は、視界の端に入る同級生の動きに慌てて着席する。・・・ある意味これが一番子供らしい行動だったかもしれない。
── 厳かな雰囲気で始まる入学式。
「開会の言葉」
すると、30歳ぐらいだろうか、来賓席の方から荘厳な身なりの男性が壇上に上がる。
「これより第35回、ノーフォーク公立学校の入学式を始める」
そして開会の宣言をすると、また元の席に戻っていった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
とりあえず、だ。これからの流れは確か
学長先生のお話
↓
新入生代表挨拶
↓
来賓代表挨拶
↓
閉会の言葉
だった。前世の入学式と比べるとかなり目次が少ない。・・・その分、学長先生の話が長いことを祈ろう。
「学長先生のお話」
学長先生が壇上へと向かう。そして僕はその話の間、挨拶文を考えることに一意専心することにする。そして、壇上についた学長先生が口を開くと、僕は一気に集中する。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして御来賓の皆様、保護者の皆様方におかれましては、本日のこのめでたき式にご出席いただいた事を、心より感謝申し上げます。さて、新入生の皆さん。君たちはこれからこのスクールで将来のため、学を修め、技術を磨き、互いに切磋琢磨していかねばなりません。しかし、ここで偉そうに言葉を連ねるのは野暮というものでしょう。今日の主役は皆さんです。これから学ぶにあたって迷い悩むこともあるでしょう。そういう時は、私たち教員、そして在校生の先輩に尋ねてください。きっと力になってくれるでしょう。それでは、短い挨拶とはなりますが、今日が君たちの良き門出となることを祈っています。これで私からの話は以上とさせていただきます」
学長先生が軽快な口調で、かつシンプルな挨拶を終える。
僕は耳に入ってくる拍手の音に、思わず顔を上げた。僕は、壇上から離れる学長先生を視界に捉えたことにより、話がもう終わった事を知る。
『嘘だろ・・・1分もかかってないじゃないか』
混乱が僕を襲う。集中しすぎて時間が早く流れたのか、それとも本当に学長先生の話が早かったのか、全く話を聞いていなかった僕にはわからない。しかし一つだけ、揺るぎない真実がそこにはある。それは、僕がまだ挨拶文を考え終わっていない、ということだ。
壇上を離れる学長先生。そして、顔を上げてその様子を眺める僕とその学長先生目がふとあった。すると、学長先生は僕に向かって軽いウインクをする。まるで「お膳立てはしておいだぞ」というアイコンタクトだが、その裏には何か黒いものがあるような気がして、僕はままならない。
「えー、続いて本日の新入生代表挨拶なのですが・・・」
『ヤバイ・・・もう僕の番が来てしまった』
待った無しの司会のアナウンスに、僕は自分の番が来てしまった事を思い出す。
「えー、続いて本日の新入生代表挨拶なのですが・・・本日代表予定だった生徒が急遽、式に参加できなくなったため、代理の新入生に挨拶をしてもらう運びとなりました・・・・・・」
会場がどよめき始める。おそらく、今日の代表挨拶者のことを知っていたのだろう。というより、来賓に隣の領地のスプリングフィールド卿が並んでいるはずなのだから、知らないはずがない・・・・・・僕は知らなかったけど ────。
「それでは・・・新入生代表挨拶、新入生代表リアムくん」
「・・・・・・はい」
遂にこの時が来てしまった。前世では体が弱くて引きこもっていた僕は、こんな大勢の前で話す経験なんてそもそもない。さらに、求められるのは子供らしくも品を疑われない程度の挨拶・・・・・・難易度が高い!
名前が呼ばれ、席から立ち上がり壇上に向かう僕。同時に会場がどよめきが強くなっていく。
当たり前の反応だ。毎年、新入生代表挨拶は権力を持った貴族や商家の子供が担っているのだ。それを今、代表として、家名すら持たないダボダボのローブを着た小さな男子生徒が壇上に向かっているのだから。
僕は様々な視線に晒される。好奇の視線、疑問の視線、とにかくその視線に乗せられた感情は様々だろう。やがて、僕は壇上に辿り着く。すると、会場を包んでいたどよめきは、シンッ ──と綺麗になりを潜めた。僕はその静かに注目する視線に、もう逃げられない事を悟る ──。
『今更だけど、僕には子供の常識が圧倒的に不足している。こうなったら無理やり思考停止して頭の中の年齢を下げるしかない。いいか、頭を真っ白にして思考能力を低下させれば丁度いい塩梅にスピーチできるはずだ・・・いやできるッ!』
こうなったらもうヤケクソぶっつけ本番即興しかない。僕は深呼吸をし、集まる視線を気に留めないように頭の中を空っぽにしていく。
そして ──・・・
「麦の種まきが始まる春暖の候、私たちは今日、このノーフォーク公立学校の入学式を迎えることとなりました。私たちもこの季節に撒かれる種の様、新しい芽を出す時を迎え、こうして大勢の方に祝福いただけることをとても喜ばしく思います。そして、私たちも芽を出し成長する種のように、これからその芽を伸ばしていかなければなりません」
『・・・・・・』
「これから勉学に勤しむこととなる私たちが心に留めておかねばならぬ事は、貪欲に知識を吸収していくこと、また、その知識をうまく利用する経験と責任、豊かな精神を育んでいくことだと自負しております」
『・・・まあ、やる気とその姿勢を見せることは大事だよね・・・・・・』
「魔法や剣術、商売、ダンジョン攻略、どの様々な分野に置いても、そこには学びと研鑽が必ず必要となります。先生方、先輩方におかれましては、どうか温かいご指導ご鞭撻のほどを、よろしくお願いいたします。そして保護者の皆様方、どうか勉学に勤しむ私たちをこれからも支えてくださいます様、再び、よろしくお願いいたします」
『うんうん、こういう繋ぎはテンプレだよね・・・・・・あれ?これ、なんかヤバくない?』
急に現在の状況に気づいた僕は、とてつもない不安に冷や汗が流れる。しかし、その内心とは裏腹に、なぜか口が止まらない。
「最後となりましたがご来賓の方々、学長先生をはじめ諸先生方、上級生の皆さん、これまで支えてくださった保護者の皆様、入学する私たちのため、この様な素晴らしい式を催していただいき、ありがとうございます。そして、この感謝とともに、新入生代表挨拶を以上とさせていただきます。皆様、ご静聴、ありがとうございました」
物々しい!そしてダメだった。
まるで社交辞令の様なテンプレの挨拶だ。ぼっちだったが故に効かない軌道修正。前世で引きこもっていた僕には、臨機応変に話を作り上げていくなんて高度な技術はなかった。そして、緊張と頭真っ白思考低下作戦を実践した結果、記憶の底の「式の挨拶はこういうものだ」という先入観が純粋に出てしまう。気づいた時には勝手に口が動き、終わりの言葉に差し掛かるという最悪の事態に陥っていた。
『どうしよう、この空気・・・』
最後に「ご静聴、ありがとうございました」とつけなければ心が潰れそうになるほど、僕の子供らしからぬ挨拶に会場全体が静まり返っていた。
『はぁー、スマホ欲しい・・・』
突然のバトンタッチ。僕はアルフレッドの代わりに挨拶をするわけだが、そこには一つの難関がある・・・・・・それは「いかに子供らしくスピーチするか」だ。
僕の今の外見は約4歳。新入生という事で、聴衆の人たちのほとんどが6歳だと脳内修正してくれるだろうが・・・・・・それでも、僕は6歳の子供なわけだ。いざ「子供らしい挨拶をしろ」と言われても、前世では身近に今の自分くらいの子供はいなかった。頭の中で会話を組み立てていくが、一文考えて次の文にシフトすると、前に考えていた文が勝手に大人の喋るような文章に変わっていってしまう・・・・・・。こういう時、常識的な文章を調べてり、メモを取ることのできるインターネットやスマホって改めてすごいな、と思わず無い物ねだりをしてしまうほどに苦戦していた。
ちなみに、フラジールがアルフレッドの挨拶用のカンニングペーパーを持っていたので少し拝借したのだが、内容は大人が考えた様な文体、大半が自分のこれまで、つまり貴族である自分の家のこととこの領地との関係を主体とおいたものだった。
『全く使い物にならない。どうしようか・・・もう式が始まる・・・』
実のことを言うと、もう僕たちは式場に入場するために扉の前で待機している状態なのだ。そしてあの提案からまだ5分ほどしか経っていない。というか、その5分もほぼ移動だった。どうやらさっきの騒動で時間が取られた、式はすでに遅延しているらしい。更に、なんと新入生入場列の一番先頭を歩くとになってしまった。毎年、新入生代表挨拶者が先頭を歩くんだと・・・・・・どうかしている。
「新入生、入場」
扉の向こうから新入生入場のアナウンスが聞こえる。それと同時に目の前の扉が開かれた。
拍手とともに迎えられる新入生一同。その会場は、普段ここが魔法練習場だなんて言われなければわからないほどに整備されていた。やっぱり魔法の力ってすごい・・・じゃない、僕が今第一に考えないといけないのは子供らしい入学代表者としての挨拶だ。
思考を巡らせる。今から子供らしい文章を考える時間はない。かといって、自分が子供の時の記憶から引っ張って参考にしようにも、子供らしい記憶があまり残っていない。
束の間の様に感じる。思考を巡らせていたからだろうか、気がつけば、僕はもうすでに自分の席まで辿り着いていた。
「新入生着席」
この司会の言葉とともに周りの新入生が一斉に席に着く。考え事をしていた僕は、視界の端に入る同級生の動きに慌てて着席する。・・・ある意味これが一番子供らしい行動だったかもしれない。
── 厳かな雰囲気で始まる入学式。
「開会の言葉」
すると、30歳ぐらいだろうか、来賓席の方から荘厳な身なりの男性が壇上に上がる。
「これより第35回、ノーフォーク公立学校の入学式を始める」
そして開会の宣言をすると、また元の席に戻っていった。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
とりあえず、だ。これからの流れは確か
学長先生のお話
↓
新入生代表挨拶
↓
来賓代表挨拶
↓
閉会の言葉
だった。前世の入学式と比べるとかなり目次が少ない。・・・その分、学長先生の話が長いことを祈ろう。
「学長先生のお話」
学長先生が壇上へと向かう。そして僕はその話の間、挨拶文を考えることに一意専心することにする。そして、壇上についた学長先生が口を開くと、僕は一気に集中する。
「新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。そして御来賓の皆様、保護者の皆様方におかれましては、本日のこのめでたき式にご出席いただいた事を、心より感謝申し上げます。さて、新入生の皆さん。君たちはこれからこのスクールで将来のため、学を修め、技術を磨き、互いに切磋琢磨していかねばなりません。しかし、ここで偉そうに言葉を連ねるのは野暮というものでしょう。今日の主役は皆さんです。これから学ぶにあたって迷い悩むこともあるでしょう。そういう時は、私たち教員、そして在校生の先輩に尋ねてください。きっと力になってくれるでしょう。それでは、短い挨拶とはなりますが、今日が君たちの良き門出となることを祈っています。これで私からの話は以上とさせていただきます」
学長先生が軽快な口調で、かつシンプルな挨拶を終える。
僕は耳に入ってくる拍手の音に、思わず顔を上げた。僕は、壇上から離れる学長先生を視界に捉えたことにより、話がもう終わった事を知る。
『嘘だろ・・・1分もかかってないじゃないか』
混乱が僕を襲う。集中しすぎて時間が早く流れたのか、それとも本当に学長先生の話が早かったのか、全く話を聞いていなかった僕にはわからない。しかし一つだけ、揺るぎない真実がそこにはある。それは、僕がまだ挨拶文を考え終わっていない、ということだ。
壇上を離れる学長先生。そして、顔を上げてその様子を眺める僕とその学長先生目がふとあった。すると、学長先生は僕に向かって軽いウインクをする。まるで「お膳立てはしておいだぞ」というアイコンタクトだが、その裏には何か黒いものがあるような気がして、僕はままならない。
「えー、続いて本日の新入生代表挨拶なのですが・・・」
『ヤバイ・・・もう僕の番が来てしまった』
待った無しの司会のアナウンスに、僕は自分の番が来てしまった事を思い出す。
「えー、続いて本日の新入生代表挨拶なのですが・・・本日代表予定だった生徒が急遽、式に参加できなくなったため、代理の新入生に挨拶をしてもらう運びとなりました・・・・・・」
会場がどよめき始める。おそらく、今日の代表挨拶者のことを知っていたのだろう。というより、来賓に隣の領地のスプリングフィールド卿が並んでいるはずなのだから、知らないはずがない・・・・・・僕は知らなかったけど ────。
「それでは・・・新入生代表挨拶、新入生代表リアムくん」
「・・・・・・はい」
遂にこの時が来てしまった。前世では体が弱くて引きこもっていた僕は、こんな大勢の前で話す経験なんてそもそもない。さらに、求められるのは子供らしくも品を疑われない程度の挨拶・・・・・・難易度が高い!
名前が呼ばれ、席から立ち上がり壇上に向かう僕。同時に会場がどよめきが強くなっていく。
当たり前の反応だ。毎年、新入生代表挨拶は権力を持った貴族や商家の子供が担っているのだ。それを今、代表として、家名すら持たないダボダボのローブを着た小さな男子生徒が壇上に向かっているのだから。
僕は様々な視線に晒される。好奇の視線、疑問の視線、とにかくその視線に乗せられた感情は様々だろう。やがて、僕は壇上に辿り着く。すると、会場を包んでいたどよめきは、シンッ ──と綺麗になりを潜めた。僕はその静かに注目する視線に、もう逃げられない事を悟る ──。
『今更だけど、僕には子供の常識が圧倒的に不足している。こうなったら無理やり思考停止して頭の中の年齢を下げるしかない。いいか、頭を真っ白にして思考能力を低下させれば丁度いい塩梅にスピーチできるはずだ・・・いやできるッ!』
こうなったらもうヤケクソぶっつけ本番即興しかない。僕は深呼吸をし、集まる視線を気に留めないように頭の中を空っぽにしていく。
そして ──・・・
「麦の種まきが始まる春暖の候、私たちは今日、このノーフォーク公立学校の入学式を迎えることとなりました。私たちもこの季節に撒かれる種の様、新しい芽を出す時を迎え、こうして大勢の方に祝福いただけることをとても喜ばしく思います。そして、私たちも芽を出し成長する種のように、これからその芽を伸ばしていかなければなりません」
『・・・・・・』
「これから勉学に勤しむこととなる私たちが心に留めておかねばならぬ事は、貪欲に知識を吸収していくこと、また、その知識をうまく利用する経験と責任、豊かな精神を育んでいくことだと自負しております」
『・・・まあ、やる気とその姿勢を見せることは大事だよね・・・・・・』
「魔法や剣術、商売、ダンジョン攻略、どの様々な分野に置いても、そこには学びと研鑽が必ず必要となります。先生方、先輩方におかれましては、どうか温かいご指導ご鞭撻のほどを、よろしくお願いいたします。そして保護者の皆様方、どうか勉学に勤しむ私たちをこれからも支えてくださいます様、再び、よろしくお願いいたします」
『うんうん、こういう繋ぎはテンプレだよね・・・・・・あれ?これ、なんかヤバくない?』
急に現在の状況に気づいた僕は、とてつもない不安に冷や汗が流れる。しかし、その内心とは裏腹に、なぜか口が止まらない。
「最後となりましたがご来賓の方々、学長先生をはじめ諸先生方、上級生の皆さん、これまで支えてくださった保護者の皆様、入学する私たちのため、この様な素晴らしい式を催していただいき、ありがとうございます。そして、この感謝とともに、新入生代表挨拶を以上とさせていただきます。皆様、ご静聴、ありがとうございました」
物々しい!そしてダメだった。
まるで社交辞令の様なテンプレの挨拶だ。ぼっちだったが故に効かない軌道修正。前世で引きこもっていた僕には、臨機応変に話を作り上げていくなんて高度な技術はなかった。そして、緊張と頭真っ白思考低下作戦を実践した結果、記憶の底の「式の挨拶はこういうものだ」という先入観が純粋に出てしまう。気づいた時には勝手に口が動き、終わりの言葉に差し掛かるという最悪の事態に陥っていた。
『どうしよう、この空気・・・』
最後に「ご静聴、ありがとうございました」とつけなければ心が潰れそうになるほど、僕の子供らしからぬ挨拶に会場全体が静まり返っていた。
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コメント
ノベルバユーザー294208
新入生代表のレベルじゃない‼