アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

13 ギルドカードとステータスの魔石 + α

 テールの建物の中は活気に満ちていた。


 動物の耳と尾が生えた獣人、耳が特徴的なエルフに背丈の低いドワーフもいれば背丈が2〜3mほどもある人など、雑踏の中には人に混じって様々な種族が見受けられる。


 そんな様々な種族が入り混じる回廊には建物の中心を囲む様に流曲線に広がるカウンターや取引所がずっと続いている。ダンジョンへの転送陣はどうやら地下にある様だ。カウンターとカウンターの間にあるゲート奥にちらっと地下へ続く階段を確認することができた。


「そこからずーっと、ダンジョンに入るやつらのためのカウンターだ」


 父さんが今いる場所から見えるカウンターを指してそう説明する。「いってらっしゃいませ」と受付の人がカウンター横のゲートを半自動で開く様子はシステマチックで、まるで空港の手荷物検査場と駅の改札を合わせた様だ。


「東側は主に入場専用ゲート、西側は退場用のゲートと素材売ったりする取引所って感じになってるのよ」


 さすが元冒険者の母さん。その手の情報はしっかりあるらしい。


 しかしここでふと疑問に思うことがある。転送陣は地下にあったはずだ。つまり、建物の中心部分はぽっかりと空いていることになる。


「ねぇ父さん。建物の中心には何があるの?」


「うーん、中心には広場があるんだが・・・・・・」


 父さんが説明しずらそうな顔で悩んでいる。


「まあ、後で連れてってやるよ」


 そう僕の質問に答えた父さんは「登録所に行こう」と僕の手をとり歩き始める。




▽      ▽      ▽      ▽


「確認してくるので少々お待ちください」


 受付のいかにも事務仕事が得意そうなお姉さんは、僕の許可証を見た後に確認を取るため席をはずす。
 それからしばらくすると戻ってきたお姉さんは「確認が取れました」と手元で書類の作成と手続きを始めた。


「では、ギルドカードの発行とステータスの魔石を作成します。まずはステータスの魔石の型をお選びください」


 そう告げるお姉さんは、透明の石が嵌った指輪リングとそれがぶら下がっているネックレスを目の前に置く。


「基本的にはこの2種類となります。もし他の携帯型をお望みでしたらお申し付けください。特注となりますので別途、料金が発生しますが」


「こっちの指輪リング型でお願いします」


 ネックレス型は男としてちょっと違うし、特注はお金がかかる。それに父さんがつけているステータスの魔石も指輪型だったため、それを選んだ。


「承知しました。それでは次にギルドカードとステータスの魔石について説明させていただきます」


 そこからお姉さんの長い説明が始まる。そしてお姉さんの説明をそれそぞれかいつまんで要約すると


ギルドカード
 ダンジョンポイントとダンジョンランクと名前が表示、ギルド関係の手続きはこれで管理入場ゲートで提示する必要がある。またダンジョン内のダンジョンポイント交換所の交換の際、他のギルドカード所有者とポイント譲渡・受取などを行う時に必要となる。


ステータスの魔石
 『ステータスオープン』と心の中で念じるとステータスの書かれた半透明の板の様なものが出現する。この時、他人からはそのステータスを可視することはできない。もし他人にも見せたい場合は「ステータスオープン」と声に出すことで周囲の人間からでもそれを見ることができる様になる。


だ。


 それからお姉さんの説明が一通り終わると、今度は何も書かれていないハガキほどのカードが手渡される。


「では、そのカードに血をお願いします」


 そういって針も手渡してくるお姉さんはどこか嬉しそうだった。


「わかりました」


 手渡された針を僕はなんのためらいもなく親指の腹にチクッと指してカードに血をつける。


 すると血をカードにつけた瞬間に文字や線が次々に浮かび上がってくる。まるで早送りのあぶりだしの様に浮かび上がってくるそれに、僕は徐々にテンションが上がっていた。


「すごい・・・・・・」


 やがて浮かび上がってくるものもなくなり、完成したギルドカードをジッと見つめる僕に「ではこちらにカードをお願いします」と催促するお姉さんの顔は少し不満そうだった。どうやら彼女は僕が針を刺すのを嫌がると思っていたらしく、それを楽しみにしていた様だ。


『ストレスが溜まってるのか?それともただのSか・・・・・・』


 そんなお姉さんにニッコリ笑ってカードを渡すと、お姉さんの顔はまた元の営業スマイルに戻った。


「はい、確認しました。ではステータスの魔石もここで作成されますか?」


 ギルドカードに問題ないことを確認したお姉さんはステータスの透明魔石にも、ここで血をつけて完成させるかどうかを問いかけてくる。


「いえ、それは家で作成しようと思います」


 その問いに答えたのは母さんだった。


「承知いたしました。それではギルドカードに指輪型とステータスの魔石はこちらとなります。もし紛失された場合は再発行に料金がかかりますのでお気をつけください」


 そういって確認の終わったギルドカードと指輪型のステータスの魔石を差し出す。そして僕がその両方を受け取ると、「本日の要件は以上でよろしいでしょうか?」と最終確認をする。


「大丈夫です」


と再び母さんが返す。


「ではダンジョン神のご加護があなたと共にあります様に。良き冒険を」


 母さんの返答で最終確認に終えた受付のお姉さんは、見送りの決まり文句と共に頭を下げ、僕たちは受付を後にした。




 ── その後。


「さっき約束したからな。建物の中心がどうなってるか見せてやろう」


 そう先程した約束を守るべく、父さんは僕を肩車して2階に連れていく。ちなみに母さんは晩御飯の準備があるため先に家に帰った。


 建物の2階にいくとそこにも廊下が広がっていたが、そこには様々な売店があった。


「今何か買い食いすると夕ご飯が食べられなくなるからまた今度な」


 物珍しそうに売店をキョロキョロ見ている僕に「母さんの料理が一番だ」と言い聞かせのろける父さんは、一つの両開きの扉の前へと立つ。
 そして扉を開き向こう側へといくと、中心に巨大な黒い四角形の物体が浮いており、それをを囲む様に段々下がる観客席には楽しそうに談笑するたくさんの人々がいた。


「もうすぐ始まると思うんだが・・・・・・」


 そう口に出しながら席を探す父さんは空いた席を見つけると、僕を肩から降ろし二人でそこに座る。
 すると、ちょうど席についた瞬間、中心に浮かぶ黒い物体が急に光始めた。そして急に黒い物体から出た強い光は徐々に安定していき、やがてそこには森の中を進行する4人の男女のパーティーが映っていた。
 それから数秒後、複数の魔物とひときわ大きい体躯の魔物が彼らの前に姿を現す。その魔物が出現した瞬間、「オークジェネラルだ!」とか「あいつらにはまだ早いんじゃないか」と周りから次々に声が上がる会場は熱を帯び始めた。


「あそこには、エリアボスや階層ボスに挑んでいるパーティーが映し出されるんだ」


 周りが盛り上がる中、父さんは懐かしそうな目でそれを眺めている。映し出されたパーティーはオークの雑兵とジェネラルに戦闘を仕掛けはいじめる。そしてどうなっているのか、オークやオークジェネラルの咆哮や冒険者たちの音声も流れている。まるでスポーツの試合を別の場所で集まって観戦しているみたいで、そこにはスタジアムの様な臨場感がある。


「今戦ってる魔物はスモールエリアのボス、オークジェネラルとその配下だな」


 父さんが画面に映るパーティーとオークジェネラル達の戦いを見ながら説明を続けてくれる。映像ではオークジェネラルに魔導師らしき女が火の魔法を放ち、裏から回った男が腕を切り落とそうと剣を振りかざしていた。


「ほら、あいつらの装備に店のロゴが入ってるだろ」 


 確かに彼らの装備にはどこかのお店のロゴが入っている。残念ながら腕を切り落とそうと剣を振りかざした男は、配下のオークの横からの突進に邪魔され、攻撃を失敗していた。


「ああやってスポンサーをつけて支援してもらうことも冒険者が稼ぐ方法の一つなんだ」


『なるほど、こちらにもスポンサーの概念があったのか』


 確かにああいう映像と音声を流すライブは、前世でいうところのテレビの生放送の様なものだ。


 それにしても肖像権とかどうなってるんだろう?


「といっても、事前にギルドで登録しないといけないから、もしスポンサーをつけたいのなら登録しないとダメだ。まあ、スポンサーもある程度ランクを上げないとつかないから、初めは気にしなくていいぞ」


 どうやら事前登録しなければボスに挑んでもあそこに映し出されることはないらしい。秘匿したい技や作戦の権利と肖像権は守られた。
 だがあの魔道具の仕組みは一体どうなっているんだろうか。一つの疑問が解消したかと思えば次々に疑問が湧いてくる。しかしその他にも次々に疑問が湧きいてキリがないので、「魔法だから」とその疑問達を思考の中からかなぐり捨てることにした。


 その後も、僕と父さんは映像に映るパーティーの戦闘が終わるまで周りの人と一緒に応援したり、他愛のない会話から新しい知識を得たり、日が暮れるまで観戦場で楽しく過ごした。

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