アナザー・ワールド 〜オリジナルスキルで異世界とダンジョンを満喫します〜

Blackliszt

01 異世界に転生しました

 ぼやけた視界が鮮明になると、そこにあったのは知らない天井だった。


『なんだ、これ?』


 状況が理解できない。


 ・・・確かさっきまで病室のベットで家族に囲まれていたはずだ。


 病床に伏せることは昔からよくあった。


 今回も「大丈夫だろう」なんて軽く思っていたけど、まさか病状が急変してあんなことになるなんて思いもしなかった。








 ・・・・・・そっか、ぼく死んだんだ。




『?ということは、ここは天国というやつなのか』


 そんな感じで状況を理解するために色々思い出しているのも束の間、目の前に一人の女性の顔が現れた。すると体が持ち上がる感覚とともに女性の顔が少し近くなる。


「・・・ィル、ーーーが少しぼーっとしてる様なんだけど大丈夫かしら?」


 少し心配そうな顔をする女性の声が徐々に鮮明になり、それがだれかへの問いかけだとわかる。


「本当か?」


 と、どこからか男の声が聞こえた。返事から数秒がたった後、女性の顔の反対側に男の顔が現れる。そしてその男の方に僅かに視界を移すと思わず声が漏れた。




「ぁう・・・」




 すると二人とも相好を崩しこちらを見ている。僕はこの見ず知らずの二人のことを知らない。でも僕を見るこの優しい顔は知っている ── そう、父さんと母さんの顔だ。


 先ほどまでその両親に見送られていたはずなのに、どこか遠く懐かしいような感覚に少し「キュッ」と胸を締め付けられる。しかし、そんなぼくを慰めるように、今、目の前にいる二人は僕に触れる。


「あぁ、よかった。大丈夫そうね、ウィル」
「あぁ、そうだな。アイナ」


 女性をアイナ呼んだウィルと呼ばれる男性は、相槌を打ちつつぼくの頭に手を置いた。そして親指で額を優しく撫でる。




『___くすぐったい。けど、あったかい』


 額を親指で撫でられるくすぐったい感触に思わず頬が緩む。


 そんなぼくを見たウィルとアイナは笑顔で顔を合わせる。そしてその笑顔は再びこちらに向けられ、二人合わせて僕に声をかける。




「「リアム」」


 ── と。


 声はとてもやさしかった。見知らぬ二人であったが、その幸せそうな顔を見ていると、こちらまで温かくなってくる。そんな幸せのお裾分けをもらっていると、この二人から衝撃発言が飛び出す。


「さすが私たちの子供ね、、、本当にカワイイわ〜」


「さすが俺たちの息子だ、、、本当に愛らしいな」




 ・・・
 ・・・・・・
 ・・・・・・・・・
 ・・・・・・・・・・・・




 なんだって?


 いまこの二人はなんて言った?


 死ぬなんてビックリ体験をした後だから頭が混乱してるのか?






 いや、、、でも・・・・・・。


 二人がこちらに向けてくる顔には見覚えがあった。だってその笑みに両親の面影があったから。こちらを見てぼくの名前らしき人名も呟いていた。これらの今までの発言を加味するに、、、








『もしかして・・・ぼく、生きてる?』






 小さい頃から体が弱くて、しょっちゅう病床に伏せっていた気弱な僕が ──




─── 新しい世界に飛び込んだ瞬間だった。

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