月下の幻想曲

矢能 智郁

10話



特に何も無く家に着いた2人は父の下へ報告に行った。
「父さん、今大丈夫ですか?少し話が」
「ん?リヒトか。少し待て」

数分後。
「いいぞ。なんだ?2人して。今日は街に出ていたはずだが」
「その件で1つ。「常闇の夜明け」に狙われました」
「何?それは本当か?」
「えぇ間違いなく。リヒトが返り討ちにしたらしい連中の1人を見てみたら紋章があったから間違いないわね」
姉さんがそう言って、呆れた目で見てくる。
「そうか。少し信じられないがよくやったぞ、リヒト」

「しかし、リヒト、お前ってそんなにも強かったか?」
「そうでもないですよ?まだ11歳ですしね」
「だとしても連中は一人一人が精鋭の筈だ。それをやっつけるのは、並大抵ではまず無理だぞ?」
「うっ、ま、まぁ、詳しい事は兄さんに聞いてください。報告はしたので自分はこれで。あっ、姉さんの護衛、増やしてあげてくださいね」
「あぁ。それはそうだな。リヒト、お前はこれからどうするつもりだ?」
「どうするもなにもまだ11歳ですって。何も出来ませんよ」
本質的には嘘だが、表立って何も出来ないのは事実だ。
「そうか、無茶だけはするなよ?」
「??」

さて、どうするか。自分から仕掛ける気は無いが、やられたらやり返す。
何せ同僚が返り討ちにされている。私情ははさまないだろうが、報復には来るだろう。たとえ、俺がやったと知られていなくても。次に来るの奴は前より質が上がっているはず。今回ほ[時空魔法]のおかげで気付かれずに一方的に殴りれたが、上層部の奴らがきたら反射的に何かされてもおかしくはない。約1名俺に気付いてそうではあったが。
ならばある程度の対策は考えておくべきだな。となると今手を出すのは…[創造魔法]か。

[創造魔法]に関しては、転生時に前世の記憶にあるもの─実際に見て触ったものだけと言う縛りはあるが─も作れるようにしてもらっている。その中で作るのは、やはり銃だろう。

実際に本物の銃を触ったことは無いが、エアーガンならある。興味本位で銃について調べ、そのままハマった事もある。それらの知識を組み合わせれば、恐らく制限自体は問題なくクリアできるだろう。
ただ心配なのは、イメージをある程度持っておかないと正常に作れないこともある、という事だ。

今回は奇襲として使えればいいので、作るのは手の込んだ銃ではなく、拳銃─ハンドガン。
この世界で銃は未開発のものであるはずなので、初見で対応出来るやつは、そんな数居るわけではない。

「創造《クリエイト》」

手元にかかる確かな重み。試しに1発、空砲だが撃ってみる。パァンと甲高く響く銃声。一応実用可能な完成度はあるらしい。中身の細かい所まではうろ覚えだったから、よかった。
弾のことだが、作り置きはさすがにしておく。しかしこの弾作りが1番難しい。日本にいた頃に読んだピストルに関する書籍の記憶を頼りに作ってみるが、何せ重さの単位が小さい。少しのズレが致命傷になりかねない。

操作になれるために少し時間を使う。
子供の腕で撃つと反動で怪我を負うが、ここは魔法の出番。魔力で覆い、反動を軽減する。とは言え完全に軽減できるわけでもなく、手元は僅かにぶれる。そういった調整や弾の確認などを行っていく。



同日、陽も落ち薄暗くなってきている頃。
「何?アイツらがやられただと?」
蝋燭が灯る中、男がそうこぼす。
「えぇ。報告にはそう上がっています。にわかには信じ難いですが、何をされたのか分からなかった、と全員が言っています。自分たちのミスを隠すためとも思われますが」
「そんな話があるか。うちにはガキにやられるような貧弱は居ない。あいつら何を隠してやがる。狙ったのはキフェルネの次男だろう?」
「えぇ。またやられた内の1人が、朧気な意識の中ではありますが、正体がばれたことを聞き取っています」
「それはまずい、な。仕方ねぇ。確実に殺るためにアレを送り付けるか」
「!!  ですか!?いえ、確実に仕留めるにはありかと」
「だろう?あいつは条件次第では俺以上だ」
男はニヤリと不気味に嗤う。
「さて、どこまでやれるか、見せてもらおうじゃないか」

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