月下の幻想曲

矢能 智郁

2話



数週間後、魔法の基礎関連の本を読み終えた俺は早速練習に入っていた。
「えっと、まずは魔力操作からか」
本を読んでいる間に湧いてきた様々なイメージに加え、前世の知識と組み合わせ「魔力」というものをある程度理解し、 少しだが操れるようにはなっていた。
世間一般には疎かにされている魔力操作だが実際には魔法の威力に繋がる、と言う記述も見つけた。
ここ数日の間にわかったことだが、俺には成人男性の平均の数倍ほどの魔力量があるらしい。どうして分かったかはまた後日にでも。そして総量は基本的に子供の頃の鍛錬のみで増えるらしい。ということで本当は体力作りや筋トレもしておきたかったが魔法に重きを置くことにした。下手に筋トレして成長が止まっても嫌だしね。流石に身長175cm以上は欲しい。

こうして鍛錬を重ねる日々を続けていたお陰で外の世界にほとんど触れてこなかったのを思い出し、外に出かけてみようと思った。流石に下手に何かに巻き込まれないようにするため完全に散策のみに徹する予定だ。その旨を母に伝え、少量のお金を持って家を出る。

「ここが……」
少し感動した。空気は澄んでいるし文明機器の騒音もない。以外と日本よりも性に合うかもしれない。

街中ではやはりと言うべきか武器を持っている人が多い。おそらくは冒険者だろう。
「と言うことは、」
案の定、少し歩いたところにあった。
冒険者ギルドだ。
「下手に入るとテンプレに絡まれるよな」
今の俺では碌な攻撃手段を持たないから絡まれるとまじでやばい。親に迷惑をかけないようにさっさと立ち去ることにした。

…あっちょっと待ってやばい。あれ明らかにそうじゃん。すぐ近くに柄が悪そうな集団がいる。こっちに近付いてきている。
逃げた先の屋台で見たことない肉料理が売られていたので昼食にしてみる。太陽の位置を見るに真上の方にあったので今は12〜13時といったところだろう。
ちなみに銅貨3枚と安かった。

街を歩きながらもう少し具体的に情報を集めたいと思い、何か魔法を作ろうと企む。おそらくは鑑定魔法が最善だろうという結論に至り、作成。
街中を思い思いに鑑定していこうとするが、脳の処理が追いつかず少し頭痛がする。徐々に制御に慣れ、必要な情報だけを掬いとっていく。
すれ違う人々を鑑定してみるが、特にめぼしい情報は見当たらない。またその内容の身分証との違いは固有魔法についてが追加で見られるくらいだ。ただ優秀なのは武器や装備品アクセサリーの特殊効果について見られることだろう。[緑魔法up 大]や[詠唱短縮]などをよく見かけた。
補足として自分の鑑定結果はこうだ。

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 ステータス
        リヒト=キフェルネ (10歳)
        クラス : 
        称号 : 転生者、

        固有魔法 : 創造魔法、付与魔法、状態異常耐性、%?%f#ur!e、鑑定魔法

        魔力残量 : 64%

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読めないのがあったが、厄介事の匂いしかしないので後回し、というか放置。

鑑定しながら情報を集めていると、首輪を付けた人をたまに見かけた。鑑定魔法によると、奴隷であることがわかった。少し忌避感はあったが、この世界について調べた中に奴隷身分になるのは身売りか死刑にはならない重犯罪者であるらしい。少なくとも表の世界では。

他に意外だったのは、治癒魔法があるにも関わらず医療が発達していたことだろうか。魔法もなんでも治せる訳では無いらしい。これは見落としてたのか知らなかった。状態異常は効かない体質にしてもらったので、治癒魔法を覚えるのは後回しにしようと思っていたが、本当に後回しでいいかもしれない。

他に挙げるとするならば自分の容姿だろう。
青みがかった髪にある程度整った顔立ち。地球なら話題にはなるレベルではあるだろう。時々、奥様方の間でコソコソ話題にはなっていたのでおそらく自惚れではない。今までは魔法関連で半ば引きこもっていたので、そろそろある程度身だしなみに気をつけ始めた方がいいかもしれない。などとナルシスト的な思考をしつつ帰路に着く。

今回の事でレーダーのような地図兼索敵が可能な魔法も必要だと感じたため、作成。と思ったができない。普通に魔力量が足りなかった。診てみると残り16%とあった。鑑定魔法に4割近くも削っていたのでそりゃそうか。魔力は休めば回復するので明日作ることにしよう。


翌日は昨日の疲れが溜まっていたのか、起きたのは昼前だった。曲がりなりにも辺境伯家なのである程度の使用人も居るはずだが、扉が開いていたのでおそらく気を使って起こさずにしておいてくれたんだろう。辺境伯家とは言えその子供は特にすることもない。兄や姉は家を次ぐために必要な勉強をしているが、俺は次ぐつもりもないため特に何もすることが無い。簡単に外出できているのもそのためだ。ちなみに兄は3つ上でキュペル、姉は1つ上でフィーナ と言う。



さて、昨日考えていた探知系魔法を作ろうか。下手に使いにくいのが出来ても嫌なので、イメージを固めておく。
これが出来に響くかはわからないが、0ではないだろう。具体的に固まったところで作成、探知魔法と命名しておく。
早速使ってみると、目の前に地図が広がった。自分を中心に半径5m〜5kmの範囲で縮尺変更が可能で、その範囲内であればマッピングが可能になっていた。しかし昨日歩いていないところ以外は黒くなっているので、1度自ら訪れたところしか表示されないのだろう。

この日は探知魔法と鑑定魔法に慣れれるように練習に費やした。探知魔法はある程度意識せずとも扱えるようにはしておくつもりだ。

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