月下の幻想曲

矢能 智郁

0話


──目が覚めるとありえない景色が広がっていた。辺り一面に日が燃え広がっている真紅《あか》。視界に入る煤。暑さで視界は不明瞭だが、白骨の山や針山のようなものがあるのがわかる。
「っ何これ!?」
「どうですか?私監修の演出は?」
どこかから声が聞こえた気がした。見回しているとここにはあからさまに相応しくない女性が1人。銀色の髪をした西欧系の美人。
「どうでしたか???」
…圧が凄い。身長は少し高めで華麗な風貌をしているのに若干台無しだな。

「いや…どうもこうも…?てかここ何処よ」
「°%々$€5々+・2です」
「………??な、なに…?」
「そうですね…日本風に言えば天国とか天界とか、そういった類のところです」

絶対違うだろと思いつつも口には出さないでおく。どう見ても地獄なんだよなここ。
「どっちも似たようなところなのでほとんど同じじゃないですか」
察するに思考を読まれたらしい。死んだことに変わりはないってか。いや、同じではないだろ…
「いえ、顔にそう書いてありましたので。今もすごいわかりやすいですよ?」
そこで俺は何故か忘れてた重要な点に気付く。
「ってことは俺死んだのか?」
「はい」
「たしかにそんな感じもしなくはない、か。となるとなんで意識が?」
「貴方が死んだ原因の1つに私のミスがありまして、そのお詫びです」
…ん?…んん?
「俺を死んだと仮定するとあんたは神か天使とかか?」
「はい。一応転生神をやっております」
なるほど。何となくわかってきたぞ。あれだな、ラノベとかでよくある展開だな。しかもテンプレ気味の。
「転生神てことは生き返らせてくれるのか?」
「えぇ、そのつもりで呼びました」
「となるとどこぞの小説みたいにチートとか特典とかが貰えるわけだ」
「はい」
まじか
「では、転生先の選択肢を2つ用意してありますので、先にそちらを選んでください。その内容で渡すものが変わってきますから」

そう言って説明を始めだした。
「1つ目は科学が発展している世界。多少の魔法も使えるのでかなり便利です。一応文明としてはドラ〇もんの世界観から十数年後くらいの技術レベルです。地球では実現不可能だったものが日常に溢れてたりします」
…なるほど楽しそうだな。青い猫型ロボットが持ってるようなのがわんさかあるんだろうなぁ。

「2つ目は有り体に言えば剣と魔法の世界」
「そっちにする」
まぁ即答するよね。科学が発展てことは勉強量も多いんだろ?少なくとも今まで以上には。ならこっちのほうがいいじゃん。
「即答ですか…まぁ分かってはいましたが」
軽く呆れられてるなこれ。

「じゃあ具体的な説明を簡単に。まず、この世界『ヴィクトリア』にはあなたが思い描いているような様々なスキルがあります。それらは日頃の鍛錬や行動から取得出来るものが大半です。魔法に関しては火に関連する赤、水や氷に関連する青、自然や土に関連する緑、光や治癒に関連する白、精神・状態異常やデバフなどの黒、バフ系の無属性 と6種類あります。これらは体内にある魔力を変換して発動します」
「その言い方だと魔法は適正関連なく全員が全属性使えることになるけど?」
「えぇ、理論上はそうです。ですが個人の性格や出生で得手不得手が生まれます。加えて
、固有スキルと言うその人しか使えないスキルを持つ人がいます。これは先天性によるので他の人は使えませんし、受け継ぐことは極めて稀です」
「ユニークスキルってことか」
たぶん[治癒魔法]とか[魔法威力up 中]とかそんな感じに呼ばれるやつらだな。

「さて、特典の方ですが…好きなもの、と言ってもある程度制約はありますが、を3つ差し上げましょうか」
まじか、自分で決められるとは思ってなかったな。ましてや3つか…

「少し時間を下さい」
どうしようか。

「ものを作る系のやつって大丈夫?」
「制約付きでなら大丈夫です」
「制約ってたとえば?」
「個数制限や1度自分で見たことのあるものしか作れない、とかですね」
なるほどもっと重そうなのを思ってたけど予想の範囲内だったな。


・・・・(体感)30分後・・・・


「よし決めた。創造魔法と状態異常耐性100%と付与魔法で」
命名は適当。まぁ2つ目は黒魔法が精神・状態異常系で、薬物関係(睡眠薬とか毒薬とか)も恐らくあるだろうからそれ対策。

「創造魔法の制限ってさ、どんな感じになる?」
「それはお答えしかねますね」
「んー、「1度見たものしか作れない」とかならさ、地球にいた頃のものもありにしといて?」
「んー…わ、分かりました。善処します」

「あっそうだ、お願いなんだけど、転生の件で、10歳頃に記憶戻すことってできる?」
「可能ではありますが、何故ですか?」
「いや、あまり幼すぎてもやることないじゃん?あとその時期って色々大変だし。自我があると余計に、ね」
「…あぁなるほど。わかりました。そうしておきますね。万が一に具えて言語には不自由のないようにしておきます」
「おぉ、なんか待遇いいね」
「それじゃあ、いきますね」

あっ、忘れてた。これ聞かなきゃ。
「そう言えばなんで俺が転生してもらえることになったの?」
「あなたが死んだのに私のせいもあるのでそのお詫びですが…?」
そりゃそう簡単には言わないよなぁ。たぶんこの転生には裏がある。
「まぁ転生先で邪神だの魔王だのを倒せって言われてもする気はないからね?一応言っておくと」
わぁすごい驚いてる(笑)気付いてることにか働かない宣言したことにかはわかんないけど、たぶん図星だな。
「わかりました。本来は話す気はなかったのですがしょうがないですね。気づいてらっしゃるようなので」
「てへっ♡」
「性格いいですねっ。現在ヴィクトリアには魔王と呼ばれるような存在が数名います。貴方を転生させた少し後、世界を滅ぼしかねない力を持った魔王が誕生します」
「それを阻止するために俺が選ばれたと」
ここまでちゃんとテンプレか重なってる印象だな。
「はい。私達は基本世界には干渉出来ないことになっているので。また今ヴィクトリアが滅ぼされても困るので阻止しよう、と。一応転生させる日程を決める程度の権限はあるのでいじらせては貰いましたが」
「ちなみに俺が選ばれた理由は?」
「ちゃんとありますが規則上お答え出来ません」
予想通りの返答。
「他には何か?」
「いや、無いよ。そろそろ始めて」
なんでそれが分かったのか、とか聞きたいけどダメそうな雰囲気だしね。
「わかりました。ではいきますね」

そうして俺はまた意識を失った。
この先に待ち構えるのは一体なんだろうか、と胸をときめかせながら。


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