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破壊の創造士

ノンレム睡眠

031:戦闘開始



予想していた中で最悪な事態が起きた。

『坊ちゃん。すごい数じゃ。』

ジークルスから心波が届いた。

『分かっている。ここからも見えている。』

遠目に禍々しい瘴気を纏った塊が近づいてくるのが見える。周囲はその瘴気に飲まれ、草木はしおれ、大地は黒く染められていった。俺たちがダンジョンで遭遇したスケルトンだ。その数およそ800。今の戦闘組の配下達ならタイマンでは簡単に倒すことができるだろう。しかし数が数である。

『どうしますか?相手は多勢に無勢。私たちだけでは足止め程度しかできません。』

『足止めできれば十分だ。作戦を次の段階へ移行する。スキルを解放して全力で挑め。』

『了解!』

次の作戦。それは城や防壁に仕込まれた大筒、つまり『大砲』による狙撃である。しかしここでいうそれは向こうの世界のものとはだいぶ異なる。普通の大砲は、火薬の燃焼力を使って大型の砲弾を高速で放ち、その運動量や化学的な爆発によって敵を破壊、殺傷するものだ。
だが俺が物質想像で創った大砲は、魔法を流し、一定量が蓄積されると発射されるというものだ。飛躍距離は2㎞。十分敵まで届かせることができる範囲ではあるが、戦っている配下も傷つけかねない。そこでこの度発射する弾丸は『回復魔法』だ。肝心の魔法はこのために創造した50の医療陣によって充填されている。もともと回復役がいなかったので丁度良かった。一人SSランクも創造したのだが、今は伏せておこう。

なぜ回復魔法なのか。その説明を加えておこう。生命のあるものすべての身体を駆け巡る魔素。それは生命の根源を構築し、またあらゆる生命活動、及び身体活動に関わる。これが失われれば本体を支え切れなくなり、生物の命は断たれ崩壊してしまう。即ち、体をめぐる『魔素』こそが生命維持のため最も大切である。というのがこの世界の一般常識だ。
また魔法というものも身体に巡る魔素のエネルギーを転換したものだ。ステータスのIP値が高いとこれをうまく使うことができる。俺の魔法創造は空中を漂うそれに依存するのだが。
そして魔素は、少量で莫大なエネルギーを保有する。元の世界では化石燃料不足が問題となり、世間でも一時期騒がれたことがあったのだが魔素さえあればすべて解決。それほどのエネルギーだ。わかりやすく言えばウランのようなものだ。少量で膨大なエネルギーを生み出すが、取扱注意という点で一致する。
さて話を戻そう。回復魔法の定義だが、『標的の再生能力を増大させ、再生活動を促す』というものだ。
先の話と繋げると、身体を巡る魔素に魔法が働きかけ、回復を促すということだ。
アンデッドという非生命体は仮初の体に魂を植え付けたものである。即ち、体に魔素は流れていない。そんな所に、回復魔法を打ち込んだらどうなるだろうか。アンデッドの媒体で行き場をなくした魔法に含まれる大量の魔素は、次第に形を変えていく。魔素の発散、『Black Rediation(ブラックレディエイション)』。役目、目的のない制御のされない魔素は空気に溶け込もうとする。その際に発せられるエネルギーが爆発を起こし黒い爆炎を生み出すのだ。即ち、アンデッドの体内で黒き炎が爆ぜるのだ。
それにもしこの砲弾が配下に当たったとしても回復するだけだ。実にこの戦いに相性のいい戦略である。

しかし俺が懸念しているのはこの大群ではない。
 

「リューク。もう少し離れたところに、、、。」

「分かってる。、、、強いな。」

敵大将フェネクスをはるかに上回る気配を感じるのだった。










私はリーク様の指示通り、援軍に向かって飛び始めた。
・・・それにしてもすごい数だ。私たちだけでは殲滅はできないだろう。しかしリューク様は足止めで十分だとおっしゃった。あの方がそう言うなら喜んで受け入れる。

『皆さん気をつけてください。』

私は心波でそう伝えると、体に熱を込めて豪炎を、、、吹くことはできなかった。

「グギャァァ!」

私は顎を蹴り上げられ唸りながら姿を人間に戻した。

「あらあら。そっちが本当の姿なのね。珍しい種族。フェネクス様に献上したら大層喜ばれそうね。」

そこに現れたのは金髪の大きな羽を伸ばした女だった。手足が獣のような形をしており黒く大きな爪が怪しく光っている。

「自己紹介がまだだったわね。私は『七駆鳥』の一人、サイメルティよ。、、、さよなら。」

女は地を蹴り凄まじいスピードで突進してきた。私はそれをかろうじてよけたが左腕を微かに掠める。しかし敵の攻撃はそれでは終わらない。

『フリーズウォー』

『ファイアウォール!』

私は急いで炎の膜を敵との間に張った。この膜はあらゆる魔法を書き換え炎と化し、受け流す物だ。打撃や斬撃ならともかく魔法になれば完璧に防げる。

魔法が衝突し白い煙をあげる。それが晴れた時、私は背筋に寒気を感じた。

「この魔法を防ぐなんて、なかなかの上玉みたいね。」

ファイアウォールに防がれたこちら側に被害はない。だが女の後ろを見れば、そこに広がるのは薄黒い大地でなく、すべてを凍てつかせる白い世界であった。

「それじゃあ次行くわね?」

本当の戦いが始まった。






「向こうも始まったみたいですし、こちらも始めますか?お爺様。」

「ふん。とっとと終わらせて増援に行かせてもえらうぞい。」

ワシの目の前に現れたのは3隊の霊鳥。三人はそれぞれ赤、緑、青とそれぞれの特徴を型とるような姿をしている。

「あの子はもう諦めたほうがいいですよ。彼女と戦っているサイメルティは七駆鳥最強。向こうの世界では『霊凍の覇者』と謡われていたほどの氷魔法の使い手です。まあ、私たち三人の連携も彼女に匹敵する、いえそれ以上の強さを誇りますから、貴方も私たち側に来ることも確実ですがね。」

「何をぬかすか。フレイアもワシも負けはせん。ほら、、、とっとと始めるぞ。ワシがワシで、なくなる前に、、、。」

ワシは直感で理解した。こ奴らはやばい。本気を出さなければ簡単にやられてしまう。

・・・スキル解放『破壊の予兆』

ワシの体から赤黒い瘴気が現れる。それは何よりも濃厚で、醜悪なものであった。そしてワシは雄たけびを上げ、それきりわからなくなってしまった。

































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