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破壊の創造士

ノンレム睡眠

028:露になる影




「それで、最後に言い残す言葉はそれでよかったのか?」




「墓場を選びたいでなら、場所はそっちに選ばせてやる。」




  決して穏やかでない二人の会話に、周りは頬をこわばらせている。ピリピリとした空気の波が肌を駆け巡る。













  時は数刻前に遡る。




『リューク様、、、もうすぐ使者が到着します。乗っているのは偵察通り、第一王子、宮廷魔導士長、そして剣聖です。』




  光の使徒の能力で、エンジュには馬車の監視をしてもらっている。心波が届く範囲に入ったため連絡が回ってきた。




 ・・・それにしても大物ぞろいだな。この場でやりあいに来たのか?




『馬車内の話だと、相手はやはり戦争に持ち込みたいようです。』




「そうか、ありがとう。もう戻ってきていいぞ。」




  連絡が途切れたとほとんど同時に、遠くから大きな馬車が駆けてくるのが見えた。










「いよいよですね。準備が実を結ぶといいのですが。」




「できるだけ結ばせたくないな。戦争はできれば避けたい。」




「大丈夫です。もしものことがあっても対応し切れる範囲にとどまるはずです。」




「そうだな。こちらには情報がある。上手く使えればなんてことないだろう。問題は相手がどう出るかだな。」

  

  まもなくして馬車が城の前で止まった。







  降りてきたのはエンジュの言う通り3人の男。金髪の若いイケメンが第一王子、背丈の低い老人が魔導士長、最後に出てきたがっちりとした男が剣聖だろう。




「待ちわびておりました。私がこの国の王、リューク・デ・エルフィです。建国したばかりの拙い国ですが、こちらも最大限のもてなしを努めさせていただきます。」




「本日は我が国の会合にご承諾くださり誠にありがとうございます。私は王国第一王子、ネルディウス・プリンシペ・ルテューユ・クロフトです。そのようにおっしゃいますが、非常に素晴らしい場所だと存じます。」




  続けて二人の紹介も終え、俺は城内へ案内した。




 ・・・不可解だ。三人からどうも悪意というものが感じられない。演技かもしれないが口調も丁寧で少し緊張も感じられる。ステータスを確認しておくか。










  ネルディウス・ルテューユ・クロフト(憑依) Lv68 ・・・




  ベンツェン・E・メルディアス(憑依) Lv188 ・・・




  メフィスト・フェレス(憑依) Lv211 ・・・










  ・・・やれやれ、またあ・い・つ・等・か。これは戦争は不可避かもな。




  俺はそのことを心波で配下に伝えた。



















「どうぞ。この地で取れた茶葉を使用しております。お熱いですのでお気をつけください。」




  そう言ってフレイアが三人の前にお椀を置いた。




「それにしても、実に見事な城ですね。王城で有名な我が国をも上回る大きさと繊細さを持ち得ています。生活環境やインフラ、それになんといってもこの美味たる食も素晴らしいです。我が国でも取り入れたい技術です。」




「そのお言葉に感謝いたします。本国は建国から間もない小さな国ですが、国民の生活を第一に考えています故、せめて生活環境だけでもと日々努力を欠かしません。」




「国の王として素晴らしい心がけだと思います。それともう一つ、先ほどこちら宮廷魔導士長、ベンツェンが申しておりましたが貴方は相当お強いようで。彼は人間であらば、どんな相手でもステータスをも見抜ける『眼』を持っておりますが、貴方の名前とスキルを見通すことができなかったっと申しております。それにLv30でありながら、我が国最強とうたわれておりますこちらの剣聖、メフィストに全く引けを取らないステータスをお持ちのようで、全く恐ろしい方です。」




 ・・・どうやらまだ本・体・のようだな。敵として認識があれば自分たちの能力を公表しない。それにその能力は事実だ。ステータスを覗いた時にあった『魔性眼』というのがそれにあたる。




「まあ、いろいろあって。それに、名前とステータスは他のものからも良く見えないといわれますので、きっとそういうものなのでしょう。」




  俺と王子が初動の挨拶を交わす。悟られると面倒なので、俺は配下達に表情を見せないように言っておいた。その間も、俺の配下達は気を抜かず真顔を貫き通している。後々全員のステータスにポーカー・フェイスというスキルが追加されていたことは別の話だ。




「ところで、父上からいろいろと申されまして、いくつか質問をさせていただきますがよろしいですか?」




「どうぞ。答えられる範囲で良ろしければご自由に。」




「ありがとう。それでは一つ目、この国は建国からまだ2か月しか当たっていないと伺ったのですが、それは本当なのでしょうか。もし本当であるならクワシイジジョウトトモニお話ください。」




「その話は本当ですよ。事情ですが、それでは一つ失礼。」




  俺が手を一つ打つと、扉からゴーレムが三体入ってきた。二人は王子を守るように、一方は杖を、もう片方は剣先をゴーレムは向けた。




「ご心配なく。これは私に使役されております。あなた方を傷つけることはございません。」




「そうですか。なるほど。貴方は魔物を使役してこの国をそんな短時間で創ったということですね。それなら納得です。特にこのゴーレムなどは疲れ知らずと存じておりますので、より効率的に作業を進められるでしょう。それでは二つ目です。」




「貴方はかの『不死の魔人』の右腕のメルガンを倒したと我が国でも有名なのですが、それは本当でしょうか?」




「それも事実です。しかしこちらの数が多かったため、傷を負ったメルガンにとどめをしたのみでございます。私だけでは到底無理だったでしょう。」




「そうですか、、、。それでは最後の質問です。貴方は、『魔法を創る』という能力をお持ちだと父上がおっしゃっていましたが、それも事実なのでしょうか?」




 ・・・やはりそれか。




「、、、それは事実ではありません。私にできることはあくまで魔物の使役。魔法創造などできるはずもありません。」




「そうですよね、道中ベンツェンから伺ったのですが、過去魔法を創れた者は存在しないとのことです。そも、魔法というのは古代女神が地上にもたらしたものだといわれております。神域の産物を人なんぞが造れるはずもないです。」




 ・・・ここで女神様登場か。多分俺が最初にあった人?だろう。




「それと一つ、お願いがありますがよろしいでしょうか?」




「ええ。どうぞなんなりと。」




  俺は何を言われても、どう動かれても対応できるように『仕掛けの一つ』の作動の準備に入った。配下達も身構えている。




「どうか私とは対等な接触をしてもらえませんか?」




  俺たちは驚いた。はっきり言って、後ろの魔法使いから爆撃を受けるか、剣聖に首を撫でられるかと思った。




「それは結構ですが、、、どうしてか伺っても?」




  クロフトは笑顔で答える。




「貴方は非常に頭がいい。それに配下達にも尊敬されているようです。私も会話を通して、貴方が博学であり思慮深い人間だと感じました。そのため、貴方に相談したいことがいくつかあるのです。それなのに、いつまでも私が目上を振舞うのはとても恥ずかしいことです。」




「わかりました。しかし相談というのも国のことでしょう。まだ小さいといえ、他国に自国のことを話すのはまずいのでは?」




「確かにその通りです。しかしあなたは信用できます。私の『スキル』がそう言っております。」




  確かに、そんな感じのスキルはもっていたな。




「そうですか。私でよければ是非相談に乗ります。」




  俺としても、魔人の情報が流れうるこの国の情報、状況を知れるのはありがたいことだ。エンジュも常に見張れるわけでもない。




「そうですか。ありがとうございます。これからよろしく頼みます、リューク。」




「こちらこそ、力になれると嬉しいよ、ルテューユ。」




  そのあと俺たちは互いに友好を深めあい、共に語り合った。






















「ところで相談をしてもいいか?」




  かなり打ち解けてくれたルテューユが真剣な顔で尋ねる。




 「いいぞ。解決できるかはわからないが。」




  俺もかなり打ち解けていた。というのも彼とはかなり気があった。短い高校時代に会っていたら、俺は不登校にならなかったかもしれない。




「私は第一王子であり、未来一つの国を背負わならない。父は教育こそ受けさせてくださるが、どうも最近おかしいところがあって、国の利益にしか目をくれない。そのため国は潤い、結果として国民の生活は豊かになったがそれに伴って戦争も増えた。度々国民が徴兵されるが、相手を殲滅した戦いですら、毎回誰も死なずに帰ってくる。我が国の民がそこまで強いわけがないし、強力な兵器もない。そこで俺はその原因を探ろうとしたのだが、、、うっ」




  突然ルテューユがうめき声をあげる。同時に後ろの二人もだ。俺と配下達は心配して彼らに近づく。が、、




  「なっ!!」




  俺は剣聖の振るう剣に吹き飛ばされた。俺は受け身をとって衝撃を殺したが、鞘が付いていなかったら両断されていたかもしれない。




  三人がよろめきながら立ち上がる。その表情はどれも険悪に満ち溢れていた。




「ようやく眠ったかクソが。受け入れないのはお前らだけだぜ?」




  それは先ほどとはまるで異なる声質だった。

 

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