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破壊の創造士

ノンレム睡眠

026:城と緊急会議





「ようやくだ。」

 俺は右腕を額にあて、袖で汗をぬぐいながら配下達(戦闘組+メイド組+1)のほうを向き、笑顔で声を発した。

「城の完成だ。時間がかかって悪かったな。」

 一か月かけた、超大作のお披露目の時だ。俺は、エトワルに不可視化を解かせた。巨大な城が姿を露にする。

「すっごーい!お城お城!早くはいろ!」

「これは、、、どこの国とも勝る素晴らしい城じゃ!坊ちゃんの才能には度々驚かされるわい。」

「はーい!私リューク様の隣の部屋がいいです!」

「ダメですよラルファ。リューク様の部屋はもちろん王室です。隣に部屋なんかありませよ。でも、、もしあるなら、、、。」

 配下達から歓声が上がる。後半は全く城に触れてないのだが、まあそれも良しとしよう。

 俺の城を想像が付くように説明をするとだ、ドイツの『ノイシュヴァンシュタイン城』である。その外観は美しく、色の調和も取れている。ただこの城は、設計士が建築士ではなく芸術家であった。そのため内装が酷いことでも有名であるため、参考にしたのはあくまで外観だけ。内装は、住みやすさや耐震性に優れた頑丈な造にした。

 騒いでいる中、一人だけ馴染めないものがいた。

「ほら、新しい我が家だ。もっと喜んでくれ。」

「あの、、はい。凄くいいお城だと思います、、、。」

 新しく創造したSSランクの『天光族』、エンジュだ。

「そう言ってくれると嬉しな。しかしもっと騒いでもいいんだぞ?無理にとは言わないが。」

「はい、、、。努めます、、、。」

 今はまだそうではないが、いずれ馴染んでくれるだろう。俺の配下は良いものばかりだ。きっと気にかけて輪に入れてくれる。

「さて、城の中を案内する。付いてきてくれ。」

 騒ぎ声が絶えない配下達を連れて、城の中へ入った。




「リューク様、あれなーに?」

 リュンムがあるものに気が付いた。

「あれは洋式トイレだ。排泄物は各町や村で集めて肥料にするのが一般的だが、あれは魔素を通して動く『魔性製品』で、排泄物をきれいな状態に処理して川に流すんだ。処理された排泄物は土同然、無害で環境破壊の心配もない。最悪フェアリー達が浄化してくれる。」

・・・と言いつつ、結局は環境破壊などの問題に発展したのが向こうの世界の話である。俺も気をつけなければならない。

 そして俺はある部屋についた。

「ここが『音楽室』だ。ここでは自由に楽器や歌などの芸術を楽しめる。」

 エンジュダの目の色が変わった。

「自己紹介の時に、楽器や歌が得意といっていたので用意した。俺の故郷にあったものを模して作ったが、気にいてくれたか?」

「そんな、、、私のために、、、。ありがとうございます。、、、私、会話がうまくなくて、、、その、、、。」

「分かってる。無理に話そうとしなくても大丈夫だ。伝えたいことがあるなら、、、得意なことに委ねてみたらどうだ?」

 頷きながら、瞼に雫をためてエンジュは歌い始めた。

 こういった性質を持つ人間は向こうの世界にもいた。『拳で語る』といった表現があるように、所謂『芸術で語る』という部類の者だ。
 大体こういう人間は、誰からの干渉も受け付けない自分の世界を所有しており、そこに住んでいる。そのため理解が難しいという印象を持たれがちだが、最後に大成を成すのはその彼女らである。

 それにしても素晴らしすぎる。俺の中の『音楽』の概念そのものが置き換わりそうな、そんな音色だ。向こうの世界では決して聞けない、神秘そのものを乗せた歌声。

「なんと、、、永遠に耳に残り続けるこの歌声。毎晩グラス片手に聞きたいものじゃ。」

「うぅ~、感動しましたぁ。」

 歌が終わると、配下達がまたもや感嘆を上げる。

 そのままエンジュは顔を涙でグッショリにしながら俺に抱き着いた。今までうまく吐き出せなかった思いを解放でき、不安がほどけたのだろう。俺はその抱擁を受け入れ、暫くそのままでいた。



  

  
 その後も城内案内をしたが、これといったハプニングはなかった。唯一上げるとすれば、ミリアが対侵入者用の魔方陣に引っかかり、大爆発を起こしたことだ。俺の配下達は創造時に、俺の血液を含ませることで眷族扱いとなるため城内の罠に引っかかることはないのだが、ミリアのように仲間意識があるものでも、身体的なつながりがないと、触れる度作動してしまう。説明しなかった俺が悪かったのだが、ミリアに怪我はなかったのでよかった。
 それと、音楽室を出たあたりから女性陣の機嫌が悪い。大体の理由は予測できるが、あれは仕方がないことだ。あそこで突き飛ばすほど俺は無慈悲ではない。というより、あの場面で、あんな可愛い子に、あんなことされてそれを受け入れないほうがおかしいのだ。それなのにもかかわらず、戦闘組の女性陣は目を伏せ沈黙を保ち、時々ボソボソとなにか話し合っているのが聞こえる。「後で緊急会議よ。」とラルファが呟いたのを、俺の耳が拾った。怖い。ミリアに至っては、何度かあからさまにわざと俺の足を踏んでくる。ジークルスは何もフォローしてくれない。

「えーと、これで案内は終わりだ。広くて覚えられないかもしれないが、せめて自分の部屋と食堂、それと出入り口くらいは覚えてくれ。」

 俺はそう言い残すと、居にくいその場の空気から逃れるように外へ逃げた。






~Emergency Conference For ・・・~    Fraia Side

 ここはリューク様が創造された城の、憩いの場。城内の吹き抜けになっている庭の木の下に、机を挟んで自分の前に4人の女性が座っている。

「ところで、、、どうしてワシも参加しなきゃならんの?ワシ無関係じゃよね?」

 近くの木によりかかっているジークルスが不平を漏らす。

「いえいえ、ジークお爺ちゃんにも私たちのお手伝いをしてもらいます。、、、もちろんお手伝い願えますね?」

「そうそう、ジークお爺ちゃんもリュンムといるの!」

 緊迫した視線に、ジークルスは気圧されてしまう。

「ラルファ、リュンム、そんなに真剣になる必要はありませんよ。今回の目的は新たな仲間を受け入れること、軽い自己紹介、それにルールの再確認です。」

 ピリピリとした雰囲気の中、一人だけ悲壮を浮かべ、体を震わせているものがいた。

「それで、、、何をするんですか?」

 恐る恐るエンジュが口を開く。

「拷問とかはないから、、、大丈夫。」

 ミリアが目を伏せてそう言った。既にエンジェは瞼に涙を溜めている。

 それに対して、私は優しい表情で、しかし声のトーンを落として言った。

「ですから、私たちの交友を深めることと、私たちリューク様の配下間でのルールの説明です。まず私から改めて自己紹介を、、、」

 こうして一通り、自己紹介を終えた。

「それでは、従属間のルール、『眷族間不可侵制度及び秩序維持のための包括的共有制度』の説明をします。」

 そうして私は、エンジュにこの制度について説明をした。

 まず、リューク様への抜け駆けは許されません。これに反する行為を行った場合、反省文4000字となります。次に、リューク様との仲に少しでも進展があれば、報告書を作り提出すること。リューク様の身に起こった異変や、新しく気が付いたことも隠さず、眷族間で共有すること。ect...
  



「どうですか?ご理解いただけましたか?」

「は、、はい。」

 私の長い説明に、いや、どちらかというと綿密に考えられたルールに、エンジュは呆気にとられた顔をして頷いた。変らず涙目になっている。 

「ほんとに、、、これ全部やるんですか?」

 エンジュが 怪訝そうな顔で問いかける。
 
 その言葉に、眼前の少女たちが顔を見合わせてクスクスと声を上げる。私も笑いながら、

 



「・・・なんてものはありませんよ。安心してください。リューク様はみんなのものですから!」

 と告げた。

「へ?」

 エンジュが驚いた顔で声を漏らした。

「ラルファ、リュンム、それにミリア様。ご協力ありがとうございました。ジークルスも迷惑をかけましたね。」

「いいよ。みんなで考えた計画ですからぁ。」

「私も。でも、配下はリュークに抱き着かないような制度を導入してほしい。」

 エンジュはまだ分かっていないようだ。

「どうですか?少しは馴染んでくれると嬉しいのですが、、、やり方がやり方でした。リューク様の世界ではうまくいくらしいのですが、まだまだ練習が足りませんね、、、。」

 ご主人様の知識の中に、このような人なじみの悪い者との接し方という知識があった。基本的に、しゃべらない人というのは周りに気を使っているケースが多い。そのためこちらが気にかけて話しかけても、馴染んでくれることは期待できない。
 そこで今回の強行である。まずエンジュに気を使わせないこと、私たちも気を使わないことが条件だ。この度は気合を入れすぎて、インプレスの強すぎるものとなってしまったが、初めてにしては上手く出来ただろう。

「そ、そういうことか!?ワシはマジでそんな協定あるかと思って少し引いたわい。はぁ、心臓に悪いのぅ。」

 エンジェルの理解も追いついた。彼女らは、彼女のために一役買って仲間の輪に入れようとしていたのだ。

「皆さん、、、ありがとうございます。私のために、こんな、、、」

「いいんですよ。私たちも早くエンジュと仲良くなりたかったですし。それでは本題の会議に移りましょう。リューク様に何か異常はありましたか?」

「はい!実はリューク様、私の尻尾みたいにふわふわしたものが好きみたい!」

「なんということ!?リュンム、もっと詳しく教えて。」

 いつも通りの、他愛のない、明るい会議が始まった。



 が、その時、

『ドゴォーン』

 どこかで爆音が鳴り響いた。

 
 





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