破壊の創造士
022:ダンジョン攻略前夜
「見て見て!凄く大きな階段!リュンムが見つけたの!」
「よくやったなリュンム。でもこれは、、、ダンジョンでいいのか?」
以前ギルドで、大気中にあふれる魔素が集まって一つのダンジョンを造ると聞いたのを思い出した。俺はミリアに顔を向けると無言で頷いた。
「どうしますかリューク様。ダンジョンは強力な魔物が多いと聞きます。魔石回収にはもってこいの場所ですが、個人的に準備を整えてからのほうがいいと思います。ダンジョンは魔物の祭りである一方、罠の宝庫でもあります。解除には道具がいりますし、状態異常の回復アイテムも必須だと思います。」
「そうだな、、、。ところでなんでそんなこと知ってんだ?」
フレイア曰く、創造された時から常識として既存する知識だそうだ。配下より常識がないってそうなんだろう。
「私もフレイアに賛成ですよ。日も落ちてきましたし明日から探索を始めても遅くはありません。」
リュンム以外の賛成により、今日は家(洞窟)に帰ることにした。
「ふぅ、、、。」
俺は洞窟に帰るとすぐに湯舟につかった。ジークルスと一緒にだ。
「いやぁ、初めて湯舟なるものにつかりましたが、これは気持ちよい。世紀の発見じゃ。」
「風呂は身体的な疲れだけでなく、精神のリラックス効果も期待できるんだ。最近忙しかったけど流石に癒されるなぁ」
「これも坊ちゃんの言う異世界の産物ということですかな?」
「そうだ。特に俺がいた国では、毎日入らないと死ぬとか言ってたやつもいたな。」
「ほほう。その気持ちなんとなくわかるのう。」
・・・やはり風呂はいいな。体が裸になれば心もまた裸になるとはいうが、配下とこうやって友好的な会話を交えるいい場所だ。流石に女性陣は無理だろうけど、、、。
「あら、リューク様にジークルス。まだ入っていらしたのですか?」
そう言って戦闘組3女が風呂場に入ってきた。
・・・さっきの思考ってフラグ扱いなの?
 俺は意外と冷静だった。
「お、、あ、坊ちゃん。ワシそういえば用事があったんじゃ。先に出るが、長くなっても作業に集中しているので気づかん。わしの主といっても坊ちゃんはまだ若い。周りの目を気にして流されちゃいかんぞ。」
いやいやジークルスさん。そこには気を使うところじゃないっすよ。
「ジークお爺ちゃんどこ行くの?」
「いやぁ、ワシはちょっとあれじゃ、用事思い出したから出るだけじゃ、、、。おぬしら、坊ちゃんを存分に楽しませて差し上げろ。」
・・・おいこらジークルス。
 ジークルスは爆弾を投下してその場を去っていった。出る直前に俺のほうを向いてグッドサインをしたときはリタリエイション撃とうとおもった。
「わーい!リューク様と一緒だ!」
 リュンムは裸なのも関わらず俺に飛びついてきた。生憎俺はロリコンではない。流石に12歳の少女を見て欲情するほど飢えてもない。ただ問題は、、、
「リュンムちゃんずるいですよ!ほら、ご主人様。私も抱き着かせてきださい。」
「わ、、、わたしも。」
顔を少し赤くしながらも、ずけずけとこちらにやってくるラルファと、それに続いて顔を真っ赤にしながらも湯舟につかろうとするフレイア。この二人である。
歳の近い、それも超絶美人なのだ。視界に入るだけで、所謂 My son is fun だ。そんな俺の思考を意図知れず、彼女たちは俺の腕を挟むように抱き着いた。
・・・いや触れてますから触れてますから!そんな近くで吐息かけられたら、、、。
 あ、、。これ魔法創造の出番じゃね!?
 俺は全力で魔法を想像し、展開した。
『エモ・コンタル』
 感情抑止魔法。・・・生涯くだらない魔法ランキング、間違いなく殿堂入りだな、、、。まあこの難所は乗り越えたからいいけど。
  その後俺らは様々を語らいあい、互いに友好を深めた。
 さて、風呂上りは俺の魔法創造尽くしであった。明日のダンジョン攻略のためにだ。
『キュアリス』:状態異常除去魔法
『ハーテイジ』:体力回復魔法
『ディテクト』:感知魔法
俺が創れたのはこの三つの魔法だった。四つ目が一番重要だったのだが、視界が歪んできたのでやめておいた。以前は一つ新しい魔法を創る度に倒れていた。成長はしているらしい。四つ目もぶっつけ本番で創ることにした。
 
 これから寝ようという時に、ミリアが小さな声で俺に問いかけた。
「リューク。ここに戻って来て少し思ってんだけど、私は、、、リュークたちに付いていっていいのかな?」
「ん?どうした。」
「リュークは、うすうす気づいてると思うけど。、、、私の目標は魔人を殲滅すること。でも、凄く危ない。リューク達に迷惑かも。」
「今更だよ。俺たちは既に魔人に喧嘩吹っかけちまった。あのメルガンとかいうやつも魔人の右腕なら、魔人本人にも俺たちのことが伝わってるだろう。もう後戻りはできないよ。しかも俺たちは今以上に強くなる。変われるんだ。前回みたいに死にかけたりはしないよ。」
「あぅ、、、。」
「それに、それが関係なくても俺はミリアと一緒に行くよ。行きたいから。だからそんな心配しなくていい。」
「、、、意地悪。」
そう言うとミリアは布団に潜りこんでしまった。俺はといえば自分の言ったことが恥ずかしすぎて内心悶えていた。
・・・あっ、そうだ。
『エモ・コンタル』
感情抑止魔法。くだらない魔法だと思ってたけど、使えるじゃん。
俺はそう思い、ミリアの話の意図を思案しながら眠りに落ちた。
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