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最強ゲーマーは異世界で無双する ~魔法でつくる自由な国~

塩分不足

14.何やら不穏な動きがあるようです

 エクレトニア帝国、総人口五億人を超える世界最大の大国である。大陸の三分の一を国土として持ち、国家戦力もずば抜けている。国民のほぼ全員が人類種である事も特徴的である。その主要都市がここ帝都、ローマの街並みを髣髴とさせ、ファンタジー世界の王国らしい風景が続いている。中央には大きな城があり、そこにはこの国の王族が暮らしている。
 国王の名はフランシス・ギア・エクレトニア、王妃の名はステファニー・ギア・エクレトニア。二人は現在、他国との会合に向かい帝都を離れている。王城に残っているのは、

「おはようございます。お嬢様」

「ええ、おはよう」

 腰まである銀色の髪を靡かせ、毅然とした振る舞いで歩く少女がいる。彼女の名はエクレール・ギア・エクレトニア、この国の第一王女である。

「お嬢様、少しお休みになられてはいかがですか」

「ありがとうロシェル。だけど大丈夫よ」

 大統領の執務室に置かれているような机と椅子がある。そこに座り書類を手に取るエクレールと、それを気遣うメイドの姿があった。

「しかしお嬢様、もう五時間以上そうしておられるではありませんか。最近睡眠時間も減ってきているようですし、これ以上はお身体に障ります」

「それはわかっているわ。ただお父様達が不在の今、この国に何かあったら私が動くしかないの。そして悪い思想の持ち主達は、こういう時を狙ってくるものよ。だから気は抜けないわ」

「お嬢様……」

「心配しないで、あと数日もすればお父様達が戻られるわ。それまでの辛抱よ」

「畏まりました。では、わたくしもお手伝いいたします」

「ありがとう。ロシェル」

 二人は作業を進めていく。そんな中、帝都内部で不穏な動きを見せる男達が居た。エクレールの予想は正しかったのだ。
 その日の夜、全身を黒いマントで隠した集団が王城内部に侵入する。黒ずくめの男達が向かったのは、王城の地下だった。彼らの狙いは、遥か昔からそこに封印されている存在。それを復活させようとしている。

「準備はいいな」

「問題ありません」

 地下には巨大な遺跡が眠っていた。地面には大きく魔法陣が掘り込まれている。その魔法陣へ男達は石をはめ込んでいく。十……二十個程はめた所で、

「配置につけ」

 一人の男が指示を出す。全員が魔法陣の外側へ移動し、中心に向かって立つ。そのまま両手を祈るように合わせ、呪文のような言葉を唱え出す。するとはめ込んだ石が光を放ちだし、魔法陣全体へ広がっていく。

「さぁ蘇るのだぁ!!」

 眩しすぎる光が遺跡全体を覆う。その直後、帝都全域を激しい揺れが襲った。そして落石音と共に王城の一角が崩れ落ちる。

「何事ですか!」

 執務を続けていたエクレールが窓の外を覗き込む。庭の一部に大穴が出来ていて、そこから赤い光の柱が立ち昇っている。さらに広がっていく大穴、重力に反して浮き上がる瓦礫。そして―――

「何……ですか、あれは―――」

 邪悪な悪魔が姿を現した。

「ウオオォォォォオォォオオォォォ!!」

 悪魔が雄叫びをあげる。すると空を引き裂くように黒い穴が無数に開く。そこから大量の悪魔達が出現した。最初に現れた悪魔に比べサイズは小さいが、その数は一瞬にして帝都上空を埋め尽くすほど多い。さらに最初に出現した悪魔が、帝都の街に向かって右腕の一本をかざす。魔法陣を生成し、そこから魔力エネルギーの咆哮を放った。

「お嬢様っ!!」

 悪魔は右手をかざしたまま360°横回転して、帝都の街と王城まとめて薙ぎ払った。エクレール達のいる部屋はギリギリ射線からはずれ直撃は免れている。しかし天井が崩れ落ち、庇ったロシェルの額から血が流れる。

「ロシェル!」

「わたくしは大丈夫です……それよりお嬢様、早くこの場から離れなくては」

 エクレールは周囲を見渡した。帝都の街が燃えている。王城も上層部が崩れ落ち廃墟同然になっている。下では騎士達が慌ててと出動している姿が見える。その間も、空飛ぶ悪魔達が街を襲っていた。

「こんな……こんなことって」

 嘆くエクレールに巨大な悪魔が気付いてしまう。悪魔は二人の方へ身体の向きを変えた。それにロシェルが気付く。

「―――! お嬢様、早くお逃げください!!」

 エクレールもようやく気付き、見上げた先で悪魔と目が合う。悪魔は二人に向かって右手をかざし、魔法陣を出現させた。

「そんな……」

「お嬢様っ!!」

 叫びも後悔も既に遅い。魔法陣の上でエネルギーが収束している。もはや放たれる直前だった。

 嫌……死にたくない―――

 エクレールは恐怖のあまり両目を閉じる。放たれた咆哮が二人を襲う……その一歩手前で停止した。咆哮が何かに当たる衝撃音を耳にしたエクレールは、恐る恐る両目を開く。そこには悪魔の咆哮を魔法陣で防御する黒いコートの男が立っていた。

「あっ……あなたは」

 悪魔の咆哮が止み、男は魔法陣を消滅させる。そして小さく口角を引き上げ振り返りながら名乗る。

「俺はサバト、魔術師だ」

 帝国の危機に最強の魔術師が現着した。

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