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最強ゲーマーは異世界で無双する ~魔法でつくる自由な国~

塩分不足

10.王を討て

 ミリオンスナイプ、魔法で生成した赤い無数の矢を、手元の魔法陣からガトリングのように発射する魔法である。☆3の魔法の一つでこれもサバトが作成した。範囲は狭いものの非常に貫通力が高く、防御の硬い敵には有効だ。

「制圧完了だな」

 この魔法は高威力で周りへの被害も小さい。近距離の対象物を守るのには有効だな。

「さて次は」

 サバトが見据える先は暗い森の奥深く、ゴブリンの群れが通ってきた方向である。一旦視線を門へと戻した後、サバトは地上へ降り立った。そして衛兵達の方へ近づく。

「あんたさっきの」

 気付いたのは門番をしていた衛兵だった。

「あんたらで今の内に門を修復しろ。板でも何でもいいから塞ぐんだ」

「あんた一体……」

「いいから早くしろ!」

「わ、わかった! 皆急げぇ!!」

 衛兵たちが散らばって道具を取りに行く。サバトはため息を漏らし、再び門の外へと出た。

 感知スキルに反応は無い。潜伏してるゴブリンは居ないみたいだな。

「それじゃさっさと本丸を討つか。グラスルーラ」

 飛行魔法を唱えて空へ上昇する。向かう先はゴブリン達が来た方向、そこに根城があると予想した。道中見つけたゴブリン達を殲滅しつつ、サバトは目的地に到着した。

「ここか」

 目の前には洞窟があった。地面には無数の足跡がついている。間違いなくここがゴブリンたちの根城だ。

「門番も無しとは呆れる」

 暗い洞窟の中へと足を踏み入れる。中は明かりも無くほとんど真っ暗で何も見えない。そこをサバトは迷う事無く進んでいく。

「ゲェアアア―――ッゲ!」

 道中待ち伏せて襲い掛かってきたゴブリンを返り討ちにする。

「悪いな。こっちには感知スキルに加えて【暗視】スキルもあるんだ。待ち伏せなんて無意味だ」

 さぁて、だいぶ進んだしそろそろだろ。

 更に足を進めて行くと、道が終わり広い空間に出た。壁に備わった灯篭に明かりが灯されていく。明るくなったその場所に待ち構えていたのは大量のゴブリン。それに加えて、

「なるほど、キングか」

 通常の十倍以上の巨体をしたゴブリンが居た。

「オオォォォォォォォォ!!」

 ゴブリンキング。低レベル帯のマップに出現する最初のエリアボス。またチュートリアルで突然出現しプレイヤーを殺害、死んだ後の対応について説明される際に登場する。急に登場するのはトラウマもので、初心者が一番最初に戦う大型モンスターでもあった。

「やっぱりそうか。この大軍を指揮していたのはお前だな?」

 ゴブリンキングは通常のゴブリンに比べ攻撃力・防御力が桁違いに高い。加えてゴブリンを大量に従えている事もMLOではお馴染みだった。

「オォォォォォオオォォォ!!」

「来るかっ、だが」

 ゴブリンキングが手に持った大きな棍棒を振り上げる。凄まじい衝撃がサバトを襲う。しかし彼は無傷だった。
 
「お前のレベルじゃ、俺に掠り傷一つ付けられないよ」

 サバトは棍棒を手で払いのけた。その勢いに押されてキングは後ずさる。ゴブリンキングのレベルは30、サバトとのレベル差は100を越えている。つまり、キングはサバトにダメージを与えられないのだ。

「今度はこっちの番だぜ」

 サバトは右手を前に突き出した。

「グランドボルト!」

 キングを含めたゴブリン達の足元を覆い尽くすように魔法陣が出現する。そこから無数に鋭い岩が突き上がり、ゴブリン達を串刺しにした。串刺しにされながらもキングはまだ生きている。

「これで終わりだ―――ソニックブレード」

 風の刃がキングに襲い掛かる。次の瞬間、キングの首が真っ二つにされ地面に落下した。こうしてゴブリンキングはあっさり討伐されたのだった。


 夜が明け出し、日の光が顔を出し始めた頃、少女達は祈るように彼の帰りを待っていた。そこへ足音が近づき、閉ざされた扉に手を掛ける。

「あっ―――」

 扉の開く音にいち早く反応した二人は、一目散に扉の前に駆け寄った。そして、日の光と共に彼の姿が瞳に入り込む。

「ただいま」

「「おかえりなさい」」

 二人の潤んだ瞳は、日の光を浴びて綺麗に輝いていた。


「さて皆! ゴブリン達の恐怖は去った。もう大丈夫だ」

 集まった奴隷たちが安堵し肩の力を抜く。

「それと幸か不幸か襲撃によって、君達の主人だったバルマ公爵はここを放棄した。君達は自由なったんだ」

 奴隷達は複雑な反応をしていた。嬉しい反面戸惑い反面といった所だ。

「もう奴隷としてここで働く必要は無い。皆、自分の好きなように生きれば良い。このまま街に残るのも良し、別の街に移ったり旅をするのも自由だ。金とか道具が必要なら、この屋敷にあるものを使えば良い。どうせ放棄したんだ! 勝手に使っても文句は言われないだろ」

「あの!」

「どうした?」

「サバト様は……これからどうされるのですか?」

 その質問をしたのはダークエルフの少女だった。

「俺か? そうだなぁ~ 調べたい事もあるし、しばらくはこの街に残るかな。その後は……まだ考え中だ」

「そ、そうなんですね……も、もしよろしければ」

「ん?」

「私達に、サバト様のお世話をさせて頂けないでしょうか!」

「えっ」

 唐突な申し出にサバトは困惑した。そして確かめるように聞き返す。

「お世話って、俺に仕えたいとかそういう感じか?」

「はい!」

「私達ってまさかここにいる全員じゃ」

「そうです!」

 奴隷達は皆、ダークエルフの少女と同じ目をしていた。さらに狐耳の少女も想いを語りだす。

「ボク達、皆に話したんです! 助けてもらったこととか、さっきの領主様との話とか。それで考えたんです。これからボク達がどうしたいのか」

「それで俺に」

「はい! 皆サバト様の力になりたって想ってます! それにボクもまだお礼が出来てませんから」

 少女達は誰一人、ただの一人も目を逸らさなかった。全員が同じ想いである事をそれが物語っている。

「いいのか? せっかく自由になれたのに」

「はい、私達がそうしたいんです!」

 少女達がそれぞれで頷いている。その光景を見たサバトは小さく笑った。

 全くこの子達は……本当にすごいよ。あーもう、自由に生きろって言ったのは俺だもんな!

「わかった。これからもよろしく頼むよ」

「「はい!!」」

 一つの出会いが、大きな絆となった瞬間だった。

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