話題のラノベや投稿小説を無料で読むならノベルバ

最強ゲーマーは異世界で無双する ~魔法でつくる自由な国~

塩分不足

9.ゴブリン狩り

 鳴り響いた鐘の音にバルマ公爵が反応を見せる。同じような反応を二人の少女も見せていた。

「何だこの音は」

「こ、これはまさかっ」

 焦りを見せるバルマ公爵の元へ兵士が一人駆けつける。

「バルマ様! 正門にゴブリンの大軍が押し寄せてきました!!」

 ゴブリンの襲撃? そうかこの音、街に危険を知らせるための鐘か。

「やはりそうか……数はどこくらいだ」

「確実な数まではわかりません。ただ、門番からの報告では正門前を埋め尽くすほどだと」

「なんだとぉ……」

 頭を抱えるバルマ公爵はある決断をする。

「襲撃されているのは正門だけか?」

「はい、確認しているのは正門だけです」

「なら裏門から行けるな。すぐに兵士達に準備させろ! 裏門から脱出するぞ!」

「はっ!」

 兵士と共にバルマ公爵が立ち去ろうとする。

「おいちょっと待て! 話はまだ終わってないぞ!」

「うるさいっ、今はもうそれ所ではない! 一刻も早くここから逃げなくては」

「逃げる? 領主のあんたが逃げてこの街はどうするんだ! 奴隷達は!」

「これから滅ぶ街など知ったことか! 奴隷などに構っている時間はない。あんな物貴様にくれてやるわ!」

 荒々しい口調で焦りを見せたまま、バルマ公爵は去って行った。

「そうか……確かに聞いたぜ。バルマ公爵」

 バルマ公爵退室した後残されたサバト達。その頃街中ではパニックが発生していた。

「ゴブリンが攻めてきたぞぁ!!」

「嫌っ、早く逃げないと!」

「逃げるってどこに逃げるんだ!!」

「領主様ぁ!!」

 住人達は領主に縋る様に声を上げている。しかしその領主はというと、

「さぁこの門から抜けるぞ!」

 兵士と使用人を引き連れ、馬車に乗り込み逃げていた。自らの領地を捨て一目散に駆け抜けて行った。

「さて、他の奴隷達を集めたら俺達も逃げるぞ」

「に、逃げるんですか?」

「ああ、大丈夫。俺ならこの屋敷に居る子達、全員を守りながら逃げられる」

「そうではなくてっ、この街はどうなるんですか!」

 狐耳の少女が訴えかけるように言う。サバトはその事に少し驚いた。

「このままじゃ街の人達が……」

「……この街の住人は、君達の事を知っていた。君達がどんな扱いを受けていて、どういう役割をさせられていたのか。それも全部知っていたんだろ?」

「……」

「知っていて目を背けていた。直接の原因は領主だけど、住人も自分達の身を守るため君達を見殺しにしていたんだ。それなのに」

 どうしてそんなに心配そうな顔をしているんだ。

「わかっています。だけど……嫌なんです。もうこれ以上誰かが死んでしまうのは!」

 狐耳の少女は瞳を涙で潤ませながら叫んだ。もう一人の少女も同じ目をして訴えかけてくる。そんな二人を見たサバトは、

 ああ、そうか。この子達は知ってしまったんだ。ゴブリンに襲われる恐怖を、目の前に死が迫る感覚を……。そして自分達の前にその恐怖を味わい、不幸にも死んでしまった仲間達の事を……。だからって普通考えられないぞ。自分達を見捨てた奴らを心配なんて……俺だったら迷う事無く見捨ててる。どれだけ優しいんだよ二人とも。俺には全然理解できない。だけどそんな眼されたら断れないだろ。

「ったく、わかったよ。俺がなんとかしてやる」

 二人は底抜けに嬉しそうな笑顔を見せた。サバトもそんな彼女達の笑顔に呆れたように微笑む。

「ただその前に屋敷に居る子達を集めよう。どうしたらいいかわからず怯えてるだろうし」

「ですがそれでは門が」

「大丈夫、ゴブリンは小柄だ。あの門ならすぐに破壊される事は無い」

 ただ一つ気になるのは、それだけの大軍を普通のゴブリンが統率できるわけが無いってことだ。おそらく群れの中に大物が、ボスモンスターが居る。

「とにかく急いで集めるんだ!」

「「はい!!」」

 三人は屋敷中を駆け回り奴隷達を集めた。見つけた奴隷達を一番広いロビーに集める。数分をかけて全員の召集が完了した。屋敷に内に残っていた奴隷達は二人を含めて総勢三十二名。皆種族はバラバラのようだ。

「全員集まったな。それじゃ俺は行ってくるよ」

 振り返り玄関の扉へ向かうサバト。彼の背中を二人の言葉が引き止める。

「あ、あの!」

「どうした?」

「必ず帰ってきてくださいね」

「ボク達まだお礼も出来てない。だからっ!」

「ああ、帰ってくるよ」

 そう言い彼は扉を開けた。

 
 その頃襲撃を受けた正門には、残った街の衛兵たちが集まっていた。数は十人も居ない。加えてレベルも10前後と低かった。ゴブリン達が門を殴り破壊している。一部が抜けて向こう側の景色が覗ける。そこから見えるゴブリンたちの姿に衛兵達は怯えていた。

「くっくそ……このままじゃいずれ」

 街の住人も怯えていた。何度呼びかけても領主からの返事は無く対応もされていない。その事から事情を察して諦めてしまう者も現れ始めた。一人の男性が蹲って頭をかかえている。

「もう駄目だ……全部お終いだぁ……」

 その時、自信の頭上を何かが飛び去る音が聞える。男性は顔をあげ正面の空を見上げる。

「あれは―――」


「ゲェエェェェ!」

 遂に正門に通過可能な大穴が開いてしまう。衛兵達は武器を構えるが心の中では諦めていた。

「もう終わりだ……」

「ゲェッヘャヘヘヘ―――ェ?」

「ミリオンスナイプ」

 上空から無数の赤い矢が降り注ぐ。その矢はマシンガンのように降り注ぎながらゴブリン達を薙ぎ払った。驚きで声も出ない衛兵達。そのうちの一人が空を見上げる。

「あっ……あれは」

 見上げた先には、魔術師が居た。

「最強ゲーマーは異世界で無双する ~魔法でつくる自由な国~」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「ファンタジー」の人気作品

コメント

コメントを書く