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最強ゲーマーは異世界で無双する ~魔法でつくる自由な国~

塩分不足

7.女の子達はお礼がしたいそうです

 春人が反撃を開始する。即座に駆け出しゴブリン達の中へ突入した。そして徒手格闘技で次々と蹴散らしていく。さながら魔術師というよりモンクのような戦いぶりを見せる。

「ゲェ―――ブェ!?」

 この世界の戦闘もMLOでの常識が通用する。それがさっきの一撃でハッキリした。それに大してスキル上げしてない徒手格闘でこれだけ戦える。これもMLOと同じだ。

 以前説明したとおり、MLOには職業が存在しない。変わりに剣や槍といった武器のスキルパラメーターがいくつもあり、プレイヤーはレベルアップ時やイベント等で獲得できるポイントを振り分ける事で、自分だけのオリジナル職を作る。
 武器スキルの上限は1000、レベルアップ時に獲得できるスキルポイントは一律で20である。各武器スキルにはレベルアップ時に無条件で1ずつスキルポイントが加算される。つまり、何もしなくても150までは勝手に上がる。そして最大レベル150までに獲得できるスキルポイントは3000。ポイントを極振りしても最大レベルに到達するのは三つまでとなる。
 当然そんな振り方では戦えない。加えてその他にも【料理】や【鍛冶】といったスキルも存在しており、それらを獲得するためにもスキルポイントは必要だ。だからほとんどのプレイヤーは主となる武器スキルを一つ決め最大まで振る。そして残ったポイントを各スキルに振り分けるといった手段をとっている。

 俺の場合は当然―――

「エクスプロード」

 魔法だ。

 魔法によって生じた爆発に、ゴブリン達が弾けとばされていく。エクスプロードは☆2の魔法、春人が初期に作成した魔法の一つである。

 俺の魔法スキルは1000だ。まぁ俺の場合、イベントやら大会の報酬で普通のプレイヤーよりもスキルポイントを多く貰ってる。だから魔法以外にも二つ、最大レベルまで上げる事が出来た。
 ちなみに各武器スキルを上昇させると、それに合ったステータスが同時に上昇するようになっている。例えば、俺は杖を最大レベルまで上げている。杖をあげた場合は同時に魔法攻撃力も上昇する。プレイヤーによってはそういう副次効果目当てでスキル振りをする奴も居た。

「ふぅ~ 一先ず終わったか。さて」

 春人は拘束されていた二人を解放した。今更だが、拘束されていた二人はどちらも裸だ。春人は目を逸らした。

 おおっと……このままじゃ目のやり場に困る! 何か無かったっか……

「と、とと、とりあえずこれでも羽織っててくれ」

 マジックバックから二枚の布を取り出し手渡す。二人はそれで身体を包んで隠した。それと体力も消耗していたのでヒールポーションも渡した。二人の顔を眺めてある事に気付く。

 改めてみるとこの二人……ただの人間じゃないな。

 二人にはそれぞれ、普通の人間に無い特徴が備わっていた。
 向かって右側の少女は、褐色の肌に銀色の目と髪を持っている。長さは肩にかからないくらいと短い。そして、その銀色の髪の間から尖った耳が見えている。
 左側の少女は、白い肌に明るい黄色の髪をしている。長さはもう一人の少女よりは長いが、それでも肩にかからないくらいと短い。そして、こちらには尖った耳はついていないようだ。変わりにフサフサとした狐の耳と尻尾が備わっている。

 この子の耳……もしかしてダークエルフか? それにこっちは狐の耳と尻尾がついてる。たぶん獣人族だ、どっちもMLOに居た種族だ。それを実際にこの目で見ることができるなんて……もう感動だよ。ていうか二人ともめちゃくちゃ可愛いな。外見的には中学生くらい。いや高校に上がりたてくらいか。どっちにしろまだ子供だ。何でこんな子がゴブリンに……

「あ、あの―――助けていただいて、ありがとうございます!」

 狐耳の少女が元気な声でお礼を言った。ダークエルフの少女もお辞儀をして感謝を示している。

「いやいや、別に大したことしてないから。それよりどうしてこんな場所に?」

「えっと……それは、その……」

「ん?」

 狐耳の少女が言葉を詰まらせている。代わりにダークエルフの少女が意を決するように話し出した。

「私達、生贄にされたんです」

 想定外の回答に春人は驚愕した。

「いっ、生贄!?」
 
「はい」

 そこから詳しい事情を聞く。この近くにはテレジノという大きな街がある。二人はその街を治めるバルマ家という貴族の奴隷として暮らしていたらしい。春人は奴隷という存在を認識した事で、自分が居る場所が異世界である事を改めて実感した。

「それで生贄っていうのは」

「私達が暮らすテレジノの街は、周囲にモンスターも少なく比較的安全な街でした。それが最近になって、ゴブリン達が大量に住み着くようになったんです」

 ゴブリン……確かにMLOでも基本群れで攻め来た。それに時々ゴブリンが大量発生するイベントとかもあったな。

「街には領主様がお連れになった衛兵もいるので、少数なら対処できます。ただどんどん数が増えていって……」

「対処できなくなったのか」

「はい。このままでは街がゴブリンに占領されてしまう。そこで領主様がお考えになったのが、定期的にゴブリン達に生贄を献上する事でした」

「それに君達が選ばれた」

 二人が頷く。

 何だよそれ、酷すぎるだろ。いくら自分の街を守るためだからって……この子達を何だと思ってるんだ。奴隷だから何があっても良いとか思ってるのか? もしそうだとしたら―――

「不愉快だな」

 こんなに苛立ちを感じたのは初めてだ。

「あの、貴方は何者なんですか? 確かさっき魔術師と聞えたのですが」

 狐耳の少女が質問した。

「えっ、俺は―――」

 待てよ? ここで、異世界から来ました! なんて言ったら怪しまれるよな……う~ん、

「魔術師だよ。ずっと辺境の森で魔法の研究をしてたんだけど、最近になって引き篭もるのに飽きてね? ちょっと旅に出ようかと出発した所だったんだ」

 よし、これなら完璧だろ。だって別に嘘はついてない。魔法の研究をしてたとかも本当だし、引き篭もってたのも―――……まぁ事実だしな。

「そうだったんですね……あの、魔術師様! もし良かったらボクにお礼をさせてください!」

「えっ、お礼?」

「私も! 助けていただいたお礼がしたいです!」

 狐耳の少女がそう言うと、もう一人の少女も同じように言った。

「えぇ……別にお礼なんて」

 断ろうとした時、二人の真っ直ぐ自分を見つめる瞳が見えた。そこに二人の想いを感じた春人は断るのをやめる。そして同時にある事を思いついた。

「わかった。なら俺を、君達が居たテレジノの街まで案内してもらえるかな」

「街にですか?」

「うん。ちょっと色々やりたい事が出来てね……。頼めるかな」

「はい!」

「お任せください!」

 二人は大きな声で返事をした。

「よし、それじゃさっそく案内してもらおうかな」

「はい! あっ、ですがその前に」

「なに?」

「貴方のお名前を教えていただけませんか?」

 ダークエルフの少女からの問いに春人は考えた。はたして、どちらを名乗るべきなのか。そして、

「俺はだ」

 そう答えた。

 この世界での俺は春人じゃない―――魔術師サバトだ。

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