最強ゲーマーは異世界で無双する ~魔法でつくる自由な国~
6.初めての戦闘
「何だ? あの辺りだけ妙に明るいような……」
未だ一面に広がる森景色。その一部に明かりが灯されている。明かりが揺らいでいる事から火によるものだろうと推測されるそれは、複数の点になって蠢いている。蠢く火はすべて同じ方向へ進んでいた。
ここからじゃよく見えないな……あっ、こういう時こそあれを試してみよう。
春人は両目を閉じた。そこから力強く見開く。
【千里眼】!!
瞳の色が明るい緑色に変化する。
彼が使用したのは千里眼と呼ばれるスキル。これにより遠くの場所も楽々見えるようになる。MLOにはこういったスキルが多数あり、獲得にはレベルアップ時に得られるスキルポイントを消費する。各スキルによってレベルがあり、レベルが高いほうがより効果が良い。ちなみにレベルの上限値はスキルによって異なり、最大レベルまで上昇させるために必要なスキルポイントも異なる。
これでよく見えるぞぉ~ えーっと、ん? あれって……
春人の視界に映ったもの……それは―――
「う……うぅ……」
「いやぁ……助けて……」
おっ女の子!?
二人の個性的な少女が身ぐるみを剥がされ拘束されている。そして彼女たちに炎の持ち手が迫る。緑色の皮膚に小柄な図体。尖った耳と鋭い目つき。その名は、
「ゲェゲヘッヘヘ」
「ゴブリン!?」
ゴブリンは亜人系の敵モンスターで、MLOでは初期に出現する雑魚モンスターとして配置されている。特徴は先に述べた外見に、棍棒や斧と言った道具を使用する事。そしてMLOのモンスター図鑑でゴブリンの説明文には、こう記されている。
ゴブリンは略奪民族であり女子と子供を好んで襲う。
その光景が今、春人の前で現実に起こっていた。
やばいやばいやばい! あの状況はどう見たってやばいぞ!? このままじゃあの子達が―――
「助けなきゃ」
迫り来るゴブリンの集団。怯える二人の少女。拘束され逃げる事が不可能な彼女達は、もはや諦めるしかなかった。自分たちはこれから死ぬ。きっと弄ばれ惨めに死んでいく。そんな未来が見えてしまった瞬間、二人は思考を止め現実から眼を背けるようにそっと瞼を下ろそうとした。
どんっ!!!
刹那、閉じる瞼を引き上げるように激しい落下音が響く。それに驚いた二人は瞬時に両目を見開いた。
立ち昇る土煙に視界が遮られている。それが徐々に晴れていき、隠されていた姿が露見する。絶望の淵にいた二人が目にしたのは、
「あぁーしまった……ちょっと勢いつけすぎたなぁ。まぁ、でもそんなに痛くは無かったかな」
「え……?」
「あ……あなたは」
「ん、俺か? 俺はただの―――通りすがりの魔術師だよ」
春人の登場によって二人の瞳に生気が戻る。変わってゴブリン達は驚きよろめいていた。
自分でも不思議だ。助けなきゃって想ったら、身体が勝手に動いてた。俺って案外正義感が強かったのか。それとも相手が女の子だったからか。それに思いの他恐怖心は感じない。初めてモンスターに面と向かって向き合っているのに、頭はいつも以上に冷静だ。
「ゲェエー」
「……」
ゴブリン達が武器を持ち戦闘態勢に入る。それを見た春人も集中を高めた。そしてしばらくの膠着を挟み、遂にゴブリン達が襲い掛かる。
「ゲェヤエェェェェェ!!」
「っ―――!」
棍棒を持ったゴブリンが一番に迫る。大きく振りかざし春人に向かって攻撃を加える。それをヒラリと躱す。続けて襲い掛かるゴブリン達。連続で来る攻撃も全て軽々と躱していく。
何だ? 何でこいつら、こんなにもゆっくり攻めてくるんだ。
春人は攻撃を次々に躱しながら、心の中でそう感じていた。
いや違う。俺にはそう見えてるだけど、こいつらは全力で攻撃してきてる! つまり……ああそうか。そういう事ならもしかして―――
春人がは急に動きを止めた。
「危ない!!」
そこに石斧を持った迫り、その斧が春人の左肩に直撃する。
「あぁ……」
「ゲェッヘヘヘヘ―――ェア?」
「やっぱり……」
春人の右手が石斧を掴む。そして、
「思ったとおりだ」
「ゲェエ!?」
掴んだ斧を握り潰した。たじろぐゴブリン。そこへすかさず蹴りを居れ、吹き飛ばされた身体が木に叩き付けられる。それを他のゴブリン達が目撃し怯え出す。
やっぱり予想通りだった。こいつらの攻撃は俺には効かない。その理由はレベル差だ!
【観察眼】―――相手のステータスを視覚的に表示する事ができるスキル。これを使用すると、モンスターの頭上にレベルとHP/MPゲージが表示される。MLOにおけるゴブリンの平均レベルは1から10前後である。
ざっと確認しただけでも、こいつらの中で最高レベルは12だ。対して俺のレベルは150……その差は100を越えてる。
MLOではレベル差が100を超えると、モンスターから与えられるダメージ値が0になる。つまりどれだけ攻撃されてもHPが減少しない。それと同じ事が今起きている。
現状を確認した春人がゴブリンを睨みつける。するとゴブリン達は恐怖に身を震わせた。
「さぁ、反撃開始と行こうか」
これが春人にとって初めての実戦。同時にこの世界の人間が、初めて彼の力を目撃した瞬間でもあった。
未だ一面に広がる森景色。その一部に明かりが灯されている。明かりが揺らいでいる事から火によるものだろうと推測されるそれは、複数の点になって蠢いている。蠢く火はすべて同じ方向へ進んでいた。
ここからじゃよく見えないな……あっ、こういう時こそあれを試してみよう。
春人は両目を閉じた。そこから力強く見開く。
【千里眼】!!
瞳の色が明るい緑色に変化する。
彼が使用したのは千里眼と呼ばれるスキル。これにより遠くの場所も楽々見えるようになる。MLOにはこういったスキルが多数あり、獲得にはレベルアップ時に得られるスキルポイントを消費する。各スキルによってレベルがあり、レベルが高いほうがより効果が良い。ちなみにレベルの上限値はスキルによって異なり、最大レベルまで上昇させるために必要なスキルポイントも異なる。
これでよく見えるぞぉ~ えーっと、ん? あれって……
春人の視界に映ったもの……それは―――
「う……うぅ……」
「いやぁ……助けて……」
おっ女の子!?
二人の個性的な少女が身ぐるみを剥がされ拘束されている。そして彼女たちに炎の持ち手が迫る。緑色の皮膚に小柄な図体。尖った耳と鋭い目つき。その名は、
「ゲェゲヘッヘヘ」
「ゴブリン!?」
ゴブリンは亜人系の敵モンスターで、MLOでは初期に出現する雑魚モンスターとして配置されている。特徴は先に述べた外見に、棍棒や斧と言った道具を使用する事。そしてMLOのモンスター図鑑でゴブリンの説明文には、こう記されている。
ゴブリンは略奪民族であり女子と子供を好んで襲う。
その光景が今、春人の前で現実に起こっていた。
やばいやばいやばい! あの状況はどう見たってやばいぞ!? このままじゃあの子達が―――
「助けなきゃ」
迫り来るゴブリンの集団。怯える二人の少女。拘束され逃げる事が不可能な彼女達は、もはや諦めるしかなかった。自分たちはこれから死ぬ。きっと弄ばれ惨めに死んでいく。そんな未来が見えてしまった瞬間、二人は思考を止め現実から眼を背けるようにそっと瞼を下ろそうとした。
どんっ!!!
刹那、閉じる瞼を引き上げるように激しい落下音が響く。それに驚いた二人は瞬時に両目を見開いた。
立ち昇る土煙に視界が遮られている。それが徐々に晴れていき、隠されていた姿が露見する。絶望の淵にいた二人が目にしたのは、
「あぁーしまった……ちょっと勢いつけすぎたなぁ。まぁ、でもそんなに痛くは無かったかな」
「え……?」
「あ……あなたは」
「ん、俺か? 俺はただの―――通りすがりの魔術師だよ」
春人の登場によって二人の瞳に生気が戻る。変わってゴブリン達は驚きよろめいていた。
自分でも不思議だ。助けなきゃって想ったら、身体が勝手に動いてた。俺って案外正義感が強かったのか。それとも相手が女の子だったからか。それに思いの他恐怖心は感じない。初めてモンスターに面と向かって向き合っているのに、頭はいつも以上に冷静だ。
「ゲェエー」
「……」
ゴブリン達が武器を持ち戦闘態勢に入る。それを見た春人も集中を高めた。そしてしばらくの膠着を挟み、遂にゴブリン達が襲い掛かる。
「ゲェヤエェェェェェ!!」
「っ―――!」
棍棒を持ったゴブリンが一番に迫る。大きく振りかざし春人に向かって攻撃を加える。それをヒラリと躱す。続けて襲い掛かるゴブリン達。連続で来る攻撃も全て軽々と躱していく。
何だ? 何でこいつら、こんなにもゆっくり攻めてくるんだ。
春人は攻撃を次々に躱しながら、心の中でそう感じていた。
いや違う。俺にはそう見えてるだけど、こいつらは全力で攻撃してきてる! つまり……ああそうか。そういう事ならもしかして―――
春人がは急に動きを止めた。
「危ない!!」
そこに石斧を持った迫り、その斧が春人の左肩に直撃する。
「あぁ……」
「ゲェッヘヘヘヘ―――ェア?」
「やっぱり……」
春人の右手が石斧を掴む。そして、
「思ったとおりだ」
「ゲェエ!?」
掴んだ斧を握り潰した。たじろぐゴブリン。そこへすかさず蹴りを居れ、吹き飛ばされた身体が木に叩き付けられる。それを他のゴブリン達が目撃し怯え出す。
やっぱり予想通りだった。こいつらの攻撃は俺には効かない。その理由はレベル差だ!
【観察眼】―――相手のステータスを視覚的に表示する事ができるスキル。これを使用すると、モンスターの頭上にレベルとHP/MPゲージが表示される。MLOにおけるゴブリンの平均レベルは1から10前後である。
ざっと確認しただけでも、こいつらの中で最高レベルは12だ。対して俺のレベルは150……その差は100を越えてる。
MLOではレベル差が100を超えると、モンスターから与えられるダメージ値が0になる。つまりどれだけ攻撃されてもHPが減少しない。それと同じ事が今起きている。
現状を確認した春人がゴブリンを睨みつける。するとゴブリン達は恐怖に身を震わせた。
「さぁ、反撃開始と行こうか」
これが春人にとって初めての実戦。同時にこの世界の人間が、初めて彼の力を目撃した瞬間でもあった。
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