猫耳無双 〜猫耳に転生した俺は異世界で無双する〜

ぽっち。

第15話 犬族との出会いそして、ケットの過去





















「この先の森に隠れ住む、犬族のシアンってもんだ。敵意はない!」


「・・・・犬か。」


そう叫びながら氷柱の裏から出てきたのはフワッとした尻尾、ピンと張った獣耳、髪の毛は茶色く、尻尾も同じ色をしている犬族の若い男だ。
クロは犬にいい思い出が無いのだ。
クロがまだ猫宮和人だった頃。
吠えられるのは当たり前で普通に歩いていると何故か野良犬に追いかけ回される。
友人の飼い犬に噛まれる上に何故か出会った瞬間親の仇のように歯をむき出しにし、威嚇される。
猫にはかなり好かれるが他の動物、特に何故か犬に嫌われるのだ。


『・・・・クロは昔から犬が苦手だもんねぇ?』


犬に追いかけ回され、当時猫だったケットに「怖かったぁ〜」と半泣きで抱きついてきたのをケットは思い出していた。
ニヤニヤと笑うケットに少し苛立ちを覚えながら、クロは犬族の男、シアンを見る。


「・・・・で?何の用だ?」


クロは激しい殺気と魔力をシアンにぶつける。


「――――っひ!?なんでそんなに敵意剥き出してるんだよ!?と、とりあえず剣をしまってくれよ!」


クロが放つ殺気と魔力にシアンは尻尾を丸めながら、必死にクロに訴えかける。


「ッチ。うるせぇ駄犬だな。いいから答えろ。それからだ。」


「・・・・クロが人族以外にこんなに口悪くなるのは初めて見るや。」


というティナも同じ獣人とはいえ、得体の知れない彼を警戒していつでも抜刀できるように柄に手を当てている。


「わかったわかった!!・・・・えっと、ここでフレイド様が人族を追っ払ってくれたんだ。とは言っても安心は出来ないから毎日監視してるんだよ。」


「・・・・そうか。それで俺らが来たから一応警戒してたと。」


「あ、あぁ。その通りだ。ほら!説明したからその物騒なものをしまってくれよ!」


「――――ッチ。」


真偽はともかく、至って普通の理由なためこれ以上警戒する必要はない。
それに彼の実力を考えるとクロは不意を突かれようとも無傷で対処できると考える。
犬という時点でクロからすれば敵のようなものだが今は同じ獣人を毛嫌いするのはよろしくない。
不本意ながらもクロは剣を鞘に納める。
シアンはその行動を確認すると安堵する。


「・・・・ふぅ。んにしても、俺より年下のくせにスッゲェ魔力と殺気だな。」


「・・・・オマエとは経験してきた修羅場が違うんだよ。」


実際、クロが経験してきた現実はかなりのものだ。
ここに来る道中、魔物と戦ったり、人族の盗賊が襲ってきたこともあった。
全て返り討ちにしたが。


「・・・・貴方はこの先の森に住んでるの?」


シエルはいつもの無表情でシアンに問う。


「あぁ。そうだ。・・・・この辺りは人族の住む街とはかなり離れてるし安全な方なんだが、3日ほど前にコレが来てな。」


そう言いながらシアンは氷柱の中にいる人族を睨む。


「たまたま来てくれたフレイド様が居なかったら俺たちはもう終わってたな。」


そうシアンが言うとふと、クロの近くを浮いているケットに目がいく。


「・・・・精霊様?なのか?」


『ん?そうだよ。』


そう確認を取るとシアンは慌てて頭を下げる。


「は、初めまして!お、俺は犬族のシアン・ペルロと申す者です!!」


『・・・・そうだった、キミ達犬族は精霊信仰が強かったね。』


犬族達は精霊は神の使いとして崇められている。
とは言っても宗教のような教えがあるわけではなく、単に心の拠り所として信仰しているだけだ。
この世界にある教えや教会などがあるしっかりとした宗教はクロたちを苦しめているラッシュ教だけだ。


「はい!!特に俺たちの村には・・・・守り神として助けて頂いているので。」


そこでクロとシエルの耳がピクッと動く。


「・・・・精霊が居るのか?」


「・・・・ん。興味深い。」


知識欲を駆られたシエルとクロが反応を示した。
精霊は基本的に顕現化することはない。
自分たちが気に入った土地の地脈の魔素を使って顕現化する変わり者もいる。
あとはケットのように人の手により、顕現化されることもある。とは言っても事例はクロとフレイドだけだが。


『・・・・ボク達はそんな立派な存在では無いんだけどねぇ。ま、信仰するとかどうかはその人間の自由だし。』


「・・・・俺も崇めた方がいいか?ケット様?」


と茶化すように言うクロ。
ケットは嫌そうな表情を浮かべる。


『勘弁してくれよ。・・・・それにボクはどこまでいってもキミの飼い猫だよ。』


「・・・・神の使いをペットとか、俺は神様かよ?」


『ははっ!それは笑える冗談だ!』


ケットは楽しそうにケタケタと一頻り笑うとクロの頭の上にまた乗る。
閑話休題。
クロはケットを顕現化した自身の契約精霊ということやどこに向かってるかを簡単にシアンに伝える。


「・・・・まさか、フレイド様以外に精霊様を顕現化できた獣人が居るとはなぁ。しかも、俺より年下。」


「年下年下ってうるせぇ駄犬だな。ぶっ飛ばすぞ。」


クロは確かに年下だが、それは肉体年齢だ。
精神年齢に至っては誰よりも上だ。・・・・ケットは分からないが。
シアンはクロの発言に少し怯えながら、太陽の位置を確認する。
太陽は傾きかけ、あと数時間もすれば日は暮れるだろう。


「そうだ。せっかくここまできたんだ、村に寄ってくるか?」


「・・・・そうだな。しばらく野宿ばったりだったし、良い機会だ。行ってみるか?」


そう言って旅の同行者である2人に視線を向ける。
2人とも良いと思ったのか、頷いて答える。


「そうか。んじゃあ、大したものは出せないけど付いてきてくれ。」


そう言いながらシアンは目の先にある森の中に足を運んでいく。
クロ一行はシアンに付いて森の中に入っていくのであった。














森に入って1時間ほど歩いた頃、簡易的な木の塀が見えてくる。
立派なものではなく、斧などで叩けばすぐにでも壊れてしまいそうだ。


「・・・・お!シアンお帰り!」


木製の塀の上から中年の男が顔を出す。


「ロンのおっちゃん!ただいま!」


彼はどうやらこの村の警備を担っているようで塀の上から監視をしているのだろう。
村の規模は大きくはなく、クロたちが住んでいた村より少し小さいくらいだろう。


「ん?その子らは・・・・猫族かい?」


「あぁ!村長に会いたいんだがいいか?」


「もちろんさ。同じ獣人なら問題ないさ。」


そう言うとロンは塀の出入り口を開く。
クロたちは軽くロンと挨拶をして、シアンに付いて村の中に歩いていく。


「あ!シアンにーちゃん!おかえり!」


クロらよりも小さな獣耳の子供がシアンに近づいてくる。


「あぁ、ただいま!良い子にしてたか?」


「うん!」


よしよし、と言いながらシアンは子供の頭を撫でる。
一頻り撫でると別れを告げ、再び歩き始める。
それから何度かシアンは村人に話しかけられ、明るく対応する。


「・・・・良い人だね。周りの人があの人のこと好きってのが分かるよ。」


「・・・・あぁ。」


クロは彼の楽しそうな表情を見て思い出していた。
自分もこんな生活をしていたことを。
この世界の狂気に晒されて、クロらは住む場所を失った。
これは守るべき日常だとクロは思い、拳を少し強く握る。


「・・・・人族はこれを奪う。だから、キライ。」


シエルもクロらと同様で幸せを奪われた被害者である。
だからこそ、これらの光景を守りたいと思う。
そんなクロらの気持ちを知らぬシアンは1つの家の前に立ち止まる。


「ここが村長の家だ。ここに精霊様も居られるんだぜ。」


周りの家よりかは少しだけ大きいくらいだろうか。


「精霊と獣人が同居してるの?」


疑問に思ったシエルが問う。


「いや、同居というよりは勝手に住んでる・・・・かな。ここに来た時に雨風を凌げてゆっくり寝れる場所を提供する条件の元に守護をして貰ってるんだ。」


『随分と贅沢な精霊だねぇー。』


「お前は人のこと言えないだろ。」


そう言うクロらを見ながら、シアンは家の扉をノックする。


「村長〜!俺です!シアンです〜!報告があるんですけど開けても良いですかー?」


家の中まで聞こえる声で叫ぶと中から「勝手に入れ〜!」という声が聞こえる。
防犯意識は皆無だ。
といってもこんな小さな集落ではよくあること。クロらの村でも人の家に入るときはこのような感じだった。
扉を開き、奥に進んでいく。
リビングのような所では50代後半だろうか、少し老けているがまだまだ生気を感じさせる男が・・・・何故か狐と将棋をしていた。


「・・・・何してんだよ、村長?」


「これはしょーぎとやらでな。この前、人族の町に行った時に買ってきたんじゃ。なかなか面白いぞ?」


クロがこんな所まで広がってるのか、と感心をしていると初老の男の頭を見て少し驚く。
彼はシアンと同様に尻尾は生えているが獣人の誇りである耳がないのだ。
男はクロの視線に気がつき、苦笑しながら頭に手をやる。


「・・・・昔、ヘマをしての。気にするな、猫族の若い者よ。ワシはカロン・ジルベールだ。ヨロシクの〜。」


と、パチンと駒を動かす。
将棋の対戦相手である狐は声を唸らせて器用に駒を動かす。


「こりゃ、ルナさんや。客人にくらい挨拶したらどうじゃ?」


『――――ムムッ・・・・そうですわね。ごめんなさい。私はこの村を守ってる精霊のルナ。よろしくですわ・・・・!?』


ルナと名乗った狐の精霊はケットの姿を見ると同時に目を見開く。
即座に頭を下げる。クロらは彼女?の行動に驚きを隠せない。


『――――この度は顕現化、お喜び申し上げますわ。精霊王、セト様。』


















「・・・・セト?」


誰だそれ?とクロは思う。
その表情が表に出たのかルナはクロの頭の上に乗ってるケットに視線を向ける。


『彼女こそ、私たち精霊の王。電雷の精霊、セト様ですわ。』


クロは衝撃の発言を聞き、ヘルネの街を出てすぐの事を思い出していた。
クロはふと疑問に思ったことをケットに聞いたことがある。


「精霊に序列って存在するのか?」


『キミって突然変な質問するよね。・・・・まぁその答えは、ある。とでも言っておこう。』


何故か歯痒さを感じさせる表情で答える。


「お前はどのレベルなんだよ?」


『・・・・ま、上の方とだけ言っておくよ。ボクはそういうの気にしないからね。それにボクはそういうのは苦手なんだ。』


「・・・・そっか。お前らしいな。」


クロはこの時、あまり気にしていなかった。
そして今になって気がついた。
しかし、彼女が序列を気にしないのは当たり前だ。
彼女こそが全ての精霊の頂点、精霊の王なのだから。


『・・・・あんまり、そうやって呼ばないで欲しいね。あと、今のボクの名前はケットだよ。とにかく、久しぶりだねルナ。元気だったかい?』


『そう言えばそうでしたわね。ケット様もお元気のようで・・・・。顕現化されたとは知ってましたが・・・・彼、ですの?』


ルナはクロを見定めるように見つめる。
そして、なにかを感じ取ったようで納得した表情になる。


『・・・・素晴らしい才能スキルですわね。こんなの初めて見ましたわ。』


「・・・・??」


クロは自分の才能スキルが何なのか未だに理解していない。
ケットは「そのうちわかるよ。」と言われて気にはなっているが知らなくても今のところ困ってはないから後回しにしていた。


「・・・・ケット、すごい精霊。」


シエルは精霊の王と呼ばれたケットに視線を向ける。


『勘弁してくれよ・・・・。ボクはただの飼い猫さ。』


「でも凄いのは確かだよケット!何で隠してたの?」


『・・・・別に隠してた訳じゃないさ。聞かれなかったからね。』


「いや、誰がアナタは王様ですか?とか聞くかよ。・・・・とにかく、説明してくれ。」


クロはそう言いながら頭に未だに乗っているケットに視線を向けるように上を向く。


『・・・・はぁ。自分語りはあまり好きじゃないんだけど、まぁこの際いっか。』


ケットは語り出す。


『・・・・ボクが生まれたのはこの世界が創生され始めた頃。精霊と獣人を生み出した神から生まれた最初の精霊だよ。』


「は?」


クロは混乱した。
ケットが精霊の原点であり、世界で初めて生まれた精霊。そんなことは理解できるが、それなら何故、一度クロの・・・・猫宮和人の住んでいた世界に居たのか、そもそも何故ふつうの猫だったのか、疑問が次々と生まれる。


「・・・・ケット、何歳?」


『シエル、女性に年齢を聞くのは失礼だよ?』


と誤魔化す、ケット。
この世界が生まれた頃なんて何千年、何万年も前の話だろう。


「・・・・ん、ごめん。」


『とにかく、最初に生まれたってだけなのに勝手に王にされちゃって・・・・フレ――――あの人には困ったものだよ。』


一度、あの猫耳神の名前を言おうとするがここで言ってもしょうがないので面倒なことを聞かれないために敢えてケットは言い直した。


「・・・・事情は理解した。だが――――」


クロが話そうとするとケットは宙に浮いて、クロの顔の前で留まると小さな肉球をクロの口に当て、塞ぐ。


『・・・・キミには後でちゃんと話すよ。』


クロにしか聞こえないような小声でそう伝えるとケットは地面におり、ルナの方へ行く。


『ってことだけど、ルナも・・・・昔みたいにお姉ちゃんって呼んで良いんだよ?』


『・・・・あ、アレは生まれたばかりの頃ですわ。今はそうはいきませんですの・・・・。」


『ボク的にはそっちの方がやりやすいんだけどなぁ。とにかく、様付けは許さないよ?』


『わかりましたですの・・・・け、ケットお姉ちゃん。』


狐の姿をしているので表情は分かりにくいが、照れた様子のルナ。
クロは今日の夜、ケットから話を聞こうと思うのだった。






















「――――っ!?う、うめぇ!!うめぇよティナちゃん!!」


そう叫ぶのはなぜか一緒にご飯を食べているシアン。
クロ一行はこの村の村長、カロンの提案により家に泊めてもらうことになった。
この村には宿屋などはない為、これを提案したらしい。


「もー、シアンさん。汚いからゆっくり食べてよ。」


そう言いながらティナは自身もシチューを口に運ぶ。
今日は上手くできた、と満足気な表情を浮かべ窓から外を見る。
少し家から離れた場所でケットと話をするクロの姿が見える。
早く食べてもらいたいと思いながら、2人を見つめる。
食事をしているみんなの騒ぎ声を聞きながらクロはケットを問いただす。


「――――で、どう言うことなんだ?」


『別に隠してた訳じゃないさ。説明が・・・・面倒だからね。』


「・・・・お前らしいな。じゃあ教えてくれ。」


『そうだねぇ・・・・何処から説明しようか――――。』






















これはクロが猫宮和人であり、その和人に拾われる一年前ほどの頃。
神々が住む神界でケットは自分を生み出したフレイヤに言われた。


『・・・・なんでボクが異世界に?』


「うむ・・・・セトよ。未だにこの世界は安定しておらん。それは知っておるだろう?」


『・・・・あぁ、確証がないけどラッシュのヤツが何かしてるのは理解してるよ。』


「この世界の隣にある世界は紆余曲折があったがある程度安定した世界らしい・・・・。そこを見てきて貰いたいのだ。」


『なるほどね。理解したよ。』


実はこの頃のケットは今ほど自由気ままではなかった。
あちらの世界で猫をしているうちに本来の性格が出てきたのだ。


「すまないな・・・・。頼んだぞ。」


『ま、フレイヤのためさ。』


そう言って、その場からセトは姿を消した。
地球に転移した彼女は1匹の猫として生まれる予定だった猫に憑依して生活していく。
一年経った頃、思ったより快適に過ごしていた彼女はミスを犯す。
冬支度を何もしていなかったのだ。日本の冬は冷え込み、下手したら死んでしまう。


『(しまったなぁ・・・・このままじゃこの身体が死んでしまう。)』


そうして困っている時に彼女は出会ってしまった。
猫に愛される才能を持った、猫宮和人に。


「こんな所で何してんだよ・・・・?寒いだろ?うち来るか?」


――――一目惚れだった。
いや、猫の身体であるせいかそれとも彼の才能のせいか、どちらにせよ彼女は彼の魅力に逆らえなかったのだ。


「――――ミ、ミャー」


「ははっ!そんなに舐めるなって!」


気づけば骨抜きにされていたのだ。
その後、セトはケットという名前を貰う。
初めは元の名前があるのに、と思っていたが和人にケットと呼ばれるのが心地よかった。
嬉しかった。
そこからケットは猫宮家に引き取られて、身体の寿命が尽きる、約15年間そこにで暮らした。
幸せな日々だった。
元の世界に帰ってきて数年が経ったある日、ケットはフレイヤに呼び出される。


「――――セト、いやケット、すまない。」


出会って早々、謝られた。
話を聞けば和人が自分のミスによって死んでしまったのことだ。
最初は目の前が真っ暗になった。
愛しい存在の彼ともう会えないのか、名前をもう読んでもらえないのか・・・・ケットは気がつけば涙を流していた。
彼女は生まれて初めて泣いたのだ。
何度か気に入った人間と共にしたこともあった。しかし、最初の方は悲しんだものの精霊と人間では生きていく時間が違う。
死別には慣れていたはずなのに、涙は止まらなかった。
そして、ケットは懇願するのだ。


『フレイヤ・・・・一生のお願いだ。彼の記憶は消さないでくれよ・・・・。』


フレイヤは驚愕したのだ。
セト・・・・ケットは生まれてから一度もフレイヤにお願いをしたことは無かった。
そして、最初は記憶を消そうとしていたがそれは辞めた。
この選択は正しかった。
こうしてケットは彼が自身を顕現化できるレベルに到達したのを見計らって声をかけた。
また、彼に名前を呼んでもらうために。


















沈黙が流れていく。
ケットの話を聞いたクロはぷかぷかと浮かぶケットを抱きしめる。


『――――ちょ!?クロ!?』


猫の姿だからこそ恥ずかしくはないが少し、照れ臭い。


「ケット、俺はお前が離れない限り離れないよ。」


そう言って前世の記憶にあるケットの撫でられて好きな頭を撫でる。
ケットは撫でられ、優しく温かい気持ちが溢れてくる。


『・・・・知ってるよ。猫好きだもんね。』


クロはそれを聞いて首を横に降る。


「猫だからってのも理由の1つかもしれない。でも、もっと、もっと大切な理由がある。ケットは――――」


クロはケットを優しく撫でながら、柔らかな表情で伝える。


「――――ケットは俺の家族だからな。」


クロにはもう親はいない。
前世の両親にも今世の両親にも・・・・もう会えない。
でも、生意気で自由気ままで太々しい態度の妹のような、姉のような家族が、前世からの家族がここにいる。
この日、ケットは2度目の涙を流す。
悲しい涙ではない。幸せな、涙だ。


『――――ありがとう、クロ。』

































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