Azurelytone【3】アズレリイトオン

羽兼

012

「…………」

「……途絶えた」

「ふん……所詮、街のゴロツキども……情報収集すらままならんとは……」

こめかみを押さえていた指をはなすと、運転手に車を止めるよう指示する。

「ここからは、歩いていく」

「ボスには、夜明けまでに、確保すると伝えろ」

「ご無事で」

クロウズが降りると、運転手は一言だけ呟き、車をユーターンさせた。


その身体は、コートがひらめくよりも速く、暗闇に溶けた。


・・・・・

キ!!!!


ヅキ!!!!


ミヅキ!




倒れ込んだ男の顔面に、何度も拳を叩きつけた。

バキバキバキ

自身の指が折れるのも構わず、頭蓋を破壊していく。


後ろから襲いかかるもう一人を振り向きざまに
その耳に肘をねじ込む。

コイツらが、領主から与えられた部位から変質している……なら、そこを潰せば!!!


脳は、瞳が写した一瞬を、繋ぎ合わせて認識する。


人は、一秒間に60カット認識するのに対し、蜂は一秒間に250カット認識する。


蜂が、人を恐れず立ち向かえるのは、その速度に4倍以上の差があるからだ。

命を、一週間に凝縮されたミヅキは、その全身の能力を加速させた。


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